記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和6年12月13日(金曜日)12時28分 於:参議院内)

岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

官民合同テロ・誘拐対策実地訓練

【岩屋外務大臣】まず、私(岩屋大臣)から、一つ御報告がございます。
 本日、官民合同テロ・誘拐対策実地訓練を実施しております。これは、企業関係者を中心に、外務省の職員も加わりまして、約100名が実践的な訓練を、三田の共用会議所で行っております。
 この訓練は、日本企業関係者が犠牲になりました2016年(平成28年)のダッカ襲撃テロ事件の教訓を踏まえまして、日本企業の海外における安全対策を強化するために、2018年(平成30年)から、実施しているものです。
 企業の海外事業の基盤は、言うまでもなく安全対策です。今年に入ってからも、世界各地で、武力紛争やテロが多発しておりまして、日本人が巻き込まれる事案も、残念ながら発生しております。こうした中、外務省としては、日本企業の海外展開を安全面からも後押しすることが重要だと考えております。本訓練が、その一助となることを期待しています。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

日米拡大抑止協議

【日経新聞 馬場記者】拡大抑止協議についてお伺いします。10日から12日まで開催されましたけれども、石破総理は、米国が核を使用する際の意思決定の過程に、日本が関与する仕組みを作るべきだと訴えておられるなど、拡大抑止への関心を高く持たれておりますけれども、この石破政権下、あるいは、米国の次期トランプ政権発足前の協議、今回の協議について、どう評価をされるか、また、今後の議論に何を期待されるかをお伺いします。

【岩屋外務大臣】これは、いつも申し上げておりますけれども、我が国を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しい、そして、我が国は、核保有国に、ある意味取り囲まれているわけでございます。そして、その核の体制は、質的にも量的にも、これまた残念なことに、むしろ増強されつつあると、そして、核保有国の中には、核の使用をちらつかせて威嚇をするような国も出てきているという状況の中で、やはり、こういう脅威にしっかりと対応するためには、拡大抑止の実効性と言いますか、強靱性と言いますか、それを強化していかざるを得ない、また、いくべきであると、こういう考え方に立って、御指摘のとおり、10日から12日まで、日本政府主催の下に、外務省で、日米拡大抑止協議を実施したところでございます。
 今回の拡大抑止協議では、核戦力、及び通常戦力により、いかに抑止力を高めるか。平時と緊急時におけるメッセージング、いかに抑止のためのメッセージを出していくか、そして、エスカレーション管理の調整、よくエスカレーション・ラダーと言われますけれども、そこのコントロールというか、その調整をどうするか、あらゆる状況における二国間の調整の在り方などについて議論を深めるとともに、一方で、軍備管理や不拡散等の取組が果たす役割についても認識を共有したところでございます。
 事柄の性質上、それ以上の詳細については申し上げられませんけれども、今後とも、日米拡大協議、7月に実施した拡大抑止に関する閣僚会合のような様々なレベルでの協議を通じて、拡大抑止の信頼性を維持・強化していきたいと考えております。

韓国情勢

【共同通信 阪口記者】韓国の情勢についてお尋ねします。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案の再採決が、14日にも予定される見込みです。与党の韓(ハン)代表は、賛成を表明して、与党議員の一部も既に賛成の意向を示しており、可決が現実味を帯びつつあります。現状への御所感をお尋ねします。併せて、日本周辺には、北朝鮮とかロシア、中国、拡大抑止の脅威があるかと思いますけれども、依然として脅威が存在している中であります。韓国の混乱が安全保障に与える影響を、どのように分析しているかも、併せてお尋ねします。

【岩屋外務大臣】14日に、弾劾訴追案の採決が予定されていると承知をしておりますけれども、正直、どのような展開になるかは、なかなか予断を許さない状況なのではないかなと思います。
 他国の内政のことでございますから、これ以上のコメントは差し控えたいと思いますけれども、日本政府としては、引き続いて、韓国の状況を、特段かつ重大な関心をもって注視をしていきたいと思っております。
 その上で、韓国の政治状況の一日も早い安定を願っておりますけれども、いずれにしても、韓国は、我が国にとって、様々な課題を共に取り組むべき重要な隣国であることに変わりはないと考えておりまして、一昨日でしたか、趙兌烈(チョ・テヨル)長官、韓国外務大臣との電話会談におきましても、様々な情勢が複雑化する中にあっても、日韓、そして日米韓の、緊密な連携を確保していこうということについては、再確認をしたところでございます。
 我が国を取り巻く環境が非常に厳しい中にあって、日韓、日米韓、もちろんそれにとどまらず、豪州、インド、様々な同志国との連携を、多重的・多層的に丁寧に組み上げていきたいと。そのことによって、抑止力・対処力を強化して、粘り強い外交による対話によって、この地域の平和と安定を、これからも、しっかり維持していきたいと考えております。

今年の漢字

【日経新聞 馬場記者】大臣の選ばれた今年の漢字につきまして、お願いを差し上げていた色紙の方を拝見してもよろしいでしょうか。

【岩屋外務大臣】聞かれると思って、書いてまいりました。私の今年の漢字は、これ、「震(しん)」ですね。今年は、元旦早々に、能登地震ということも起こりました。今回の補正予算も、主たる目的の一つが能登の復興ですけれども、こういう災害が、来年は起こってほしくないなと、穏やかな1年になってほしいなと思いますし。
 それから、国の内外も、激震が続いてますよね。外は、もう言うまでもない、ウクライナあり、ガザあり、今回の韓国の状況もありますし、シリアもある。米国では、新政権誕生が決まったというですね。
 そして、国内では、私ども、石破政権立ち上げましたけれども、選挙で厳しい審判をいただいて、少数与党ということになりました。そういう様々な、内外の激震が起こった1年だったので、あえてこの字を選んだわけですが、来年は、この激震の「震」、この震えがですね、もう収まっていく、穏やかな安定した、平和な、実りある1年になるように頑張っていきたいと、いかねばならないと、そういう思いを込めて、この字を選ばせていただいたところです。

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