記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和6年12月3日(火曜日)13時16分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

国会での議論、自民党の外交力強化決議

【岩屋外務大臣】まず、昨日から、衆・参両院の本会議におきまして、代表質問が行われておりまして、その中で、外交・安全保障に関しても、様々な議論が展開されているところでございます。
 また、本日は、自民党から、外交力の抜本的な強化を求める決議を手交いただきました。その中では、外交力と防衛力をバランスよく強化して、我が国の平和、地域の安定を実現する観点からも、外交力の抜本的強化が必要だということが述べられております。
 こうした国会での議論、あるいは、自民党党内での関係部会、調査会での議論の結果も十分に踏まえながら、これから必要な予算、そして人員を確保して、しっかりと対話と協調の外交を進めていくことができる、そういう体制作りをしていきたいというふうに考えているところでございます。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは、以上です。

国連安全保障理事会・非常任理事国選挙

【NHK 米津記者】国連安保理についてお伺いします。午前の官房副長官会見で、日本が、2043年の安保理非常任理事国の選挙への立候補を決めたと御説明がありました。2032年の非常任理事国選挙への立候補に続いて、2043年にも立候補する狙いをお聞かせください。また、かねてより目指してきた常任理事国入りについてのお考えと、安保理改革について、どのように取り組んでいきたいかもお聞かせください。お願いします。

【岩屋外務大臣】安保理の非常任理事国選挙をめぐる競争環境は、年々厳しくなってきております。したがって、これまで以上に、周到な、また、前広な準備をすることが必要になってきているわけでございます。
 したがって、2032年はさることながら、2043年の選挙ということになると、ずいぶん先の話だなとお感じになる国民の方もいらっしゃると思いますけれども、今申し上げたように、前広に周到に準備をしていく必要があるということで、2043年の選挙にも立候補することを決定し、その旨、国連の手続きに従って登録しているというところでございます。
 安保理は、国際の平和と安全の維持に主要な責任を有しておりますので、我が国としても、引き続き、これを重視していきたいと思っております。
 その上で申し上げれば、現行の安保理というのは、残念ながら非常に機能不全に陥っているということも事実ですよね。したがって、安保理改革、ひいては国連改革ということについても、しっかり取り組んでいく必要があると思っておりまして、そういった改革の議論を、我が国として、しっかりと主導できるように、努力してまいりたいと思っております。

米国の拡大抑止

【毎日新聞 金記者】核共有についてお伺いします。総理は、本日午前の参院本会議の代表質問で、核共有について問われ、「非核三原則の堅持を明言した上で、米国の拡大抑止の信頼性をこれまで以上に強化させるよう事務方に指示した」と、答弁されました。日米におかれましては、これまで、今年4月の首脳会談で、日本の防衛力強化によって増進される米国の拡大抑止を、引き続き、強化することなどを確認し、6月には、従来の日米拡大抑止協議を更に格上げして実施しているところと理解しておりますが、政府としては、従来のこのような取組を更に強化する必要があるというふうにお考えでしょうか。または、例えば、NATOの核計画グループや、米韓の拡大協議グループのような、新たな拡大抑止に関する枠組みの創設等を想定しているのでしょうか。よろしくお願いします。

【岩屋外務大臣】今日の総理の答弁は、何か新たに追加的なことを指示したということではなくて、これまでの核抑止の充実・強化に関する一連の取組全体を指しておっしゃったものだというふうに、私(岩屋大臣)は理解しております。
 日米間では、事務レベルの拡大抑止協議の場を含めて、同盟の抑止政策に関連する様々な事項について、日頃から様々なレベルで、緊密に、かつ幅広く、意見交換しております。
 この4月の日米首脳会談では、これは、まだ、もちろん石破政権ではありませんでしたけれども、日本の防衛力によって増進される米国の拡大抑止を、引き続き、強化することの決定的な重要性を改めて確認し、二国間協力を更に強化していくことで一致しております。
 そして、今御指摘があったように、本年7月の日米「2+2」のときには、拡大抑止に関する日米閣僚会合を実施しております。これは、閣僚レベルに引き上げたということですよね。日米拡大抑止協議を通じて、地域の安定を促進し、紛争の発生を抑止するために、拡大抑止を強化するための最善の方法を、これからも探求し続けるということで、一致を、確認したところでございます。
 こういう様々な取組を、これからも進めていくという方針を、お述べになったということだと思いますので、何か追加の、新しいことをやるべし、という指示が出されたということではないというふうに、御理解をいただきたいと思います。

日本製鉄によるUSスチール買収(トランプ氏反対)

【日経新聞 馬場記者】USスチールについてお伺いします。米国のトランプ次期大統領は、自身のXアカウントで、「USスチールが、日本製鉄に買収されることに断固反対で、取引が実現しないように阻止する、買い手は注意をするように」と投稿しました。税制優遇措置と関税で、USスチールを再び強く偉大にする、速やかに実行すると、も発信していますが、外務省としての受け止めをお願いします。

【岩屋外務大臣】御指摘のトランプ次期米国大統領による発信については、その報道は、私どもも承知しておりますが、そもそも、個別の企業の経営に関する事柄でございますので、政府としてコメントをすることは、控えさせていただきたいと思います。
 その上で申し上げれば、日米相互の投資の機会を拡大すると、そして、経済関係を一層強化していくということは、お互いにとって必要なことだと考えております。
インド太平洋地域の持続的、また、包摂的な経済成長の実現に、資していく事柄については、進めていくべきだと考えております。
 そういう大きな枠組みではお話しできますが、個別の企業の経営に関する事柄ということでございますので、それに対するコメントは、控えさせていただきたいと思っております。

日・ウクライナ関係

【共同通信 阪口記者】弊社(共同通信)の個別インタビューに、ゼレンスキー大統領がお答えになりまして、ロシアによる一部の占領地域について、武力での奪還は困難だとお認めになって、外交での全領土の回復を目指す必要があると述べられました。岩屋大臣自身が、先月、ウクライナに訪問されていらっしゃると思いますけれども、その際に、ゼレンスキー大統領から、そういったお考えを披露されたのか、何かそういった考えがあったのかどうか伺わせてください。それと、戦闘の終結後に、日本が果たすべき役割についてどのようにお考えになるか、併せてお願いします。

【岩屋外務大臣】先月、ウクライナ訪問させていただいた際には、ゼレンスキー大統領、シュミハリ首相、シビハ外相を始め、要人の皆さんと会談をさせていただきましたが、その中身については、外交上のやり取りでございますので、控えさしていただきたいと思います。
 いずれにしても、ウクライナに公正で永続的な和平を実現する、取り戻すということが、最も大切なことであって、我が国としても、そのために最大限の支援を申し上げるということを、私(岩屋大臣)からお伝えしてきたところでございます。
 戦闘終結後に、日本が果たすべき役割というのは、非常に大きなものがあると考えておりまして、我が国は、軍事的な支援には制約があるわけでございますけれども、今も、越冬のためのエネルギー関連施設に関する支援でありますとか、それから、地雷除去に関する取組でありますとか、様々なことをやっておりますけれども、復旧・復興についても、最大限の支援を行っていく考えでございます。
 ロシアに侵略されたウクライナが、戦闘が終結して、復興していくということは、国際社会全体の利益につながっていくと思いますので、そのような観点からウクライナの復旧・復興には、官民一体となって、強力に、これを後押ししていきたいと思っているところでございます。

日本の対ウクライナ支援

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濱本記者】重ねてウクライナについて質問します。岩屋大臣は、11月16日のキーウでのゼレンスキー大統領との会議会談で、ウクライナへの30億ドル、約4,600億円の追加支援を約束しました。日本がこれまでにウクライナに提供してきた支援金の総額は、約120億ドル、1兆8000億円に上ります。ポーランドの元労働副大臣のピョートル・クルパ氏は、ウクライナのメディアのインタビューに答えて、ウクライナの役人が、米国を始め、日本など西側からの支援金を横領しており、更には、米民主党へも還流している。横領額は、最大で50%に及ぶと指摘しています。所得税の基礎控除103万の壁の改革に、税収が4兆円不足することが重要な内政問題となっている折、日本国民の血税をウクライナ支援としてたれ流すことは、その使途を追跡した上で見直すべきではないかと考えますが、この現状について、大臣のお考えをお聞かせください。

【岩屋外務大臣】まず、ただ今、御指摘になったような横領のような話は全く承知をしておりません。
 その上で申し上げれば、ロシアによるウクライナ侵略というのは、まさに国際秩序を破壊する行為ですよね。そして、今、欧州・大西洋の安全保障と、アジア・インド太平洋の安全保障というのは、まさに密接不可分になってきていると思います。北朝鮮兵が、ウクライナに行っているというこの一事をとってみても、まさに密接不可分な状況にあるわけで、これは、世界全体の、私(岩屋大臣)は大問題だと思っております。
 国境を力によって、一方的に、この変更していくということが、まかり通ってしまえば、それは世界のどこでも起こり得るということになってしまうわけで、これを認めていくわけにはいかないと考えております。
 そういう観点から、我が国は、これまで一貫して、強力なウクライナの支援を実施してきたわけでございます。支援額は、御指摘いただいたとおり、これまで総額約120億ドル以上の支援を表明し、それを着実に実施をしてきているところでございます。
 これからも、ウクライナ政府を始め、関係機関、あるいは国際社会と連携して、この取組を継続していきたいと考えているところでございます。

日中関係(日本人向け中国短期滞在査証の免除措置)

【共同通信 阪口記者】中国が、日本人への短期滞在ビザの免除措置について、先月30日に再開をいたしました。率直に、外務省として、この問題、ずっと取り組んでいらっしゃったと思いますけれども、この結果について、大臣に御所感があれば、まず、伺えればと思います。プラス、日中関係、未だに懸案もありますけれども、ビザの措置、再開が両国関係に与える影響について、どのようにお考えになるか、お願いいたします。

【岩屋外務大臣】この短期滞在ビザの再開については、これまでも累次にわたってあらゆるレベルで、申入れを行ってまいりましたので、先般、11月30日から、査証免除措置が再開されたことを歓迎したいと思っております。
 日中関係、友好的で建設的な関係にしていくためには、何よりも、国民同士の交流というのが、基盤になっていくと考えておりますので、今回の措置を通じて、日中両国民の交流が、更に活発になっていくことを期待したいと思いますし、経済界からも、長きにわたって、このビザの再開ということが、要請されておりましたので、経済活動も、より活発になっていってくれることを期待しているところでございます。

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