記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和6年11月1日(金曜日)14時41分 於:本省会見室)

岩屋外務大臣記者会見

冒頭発言

外務大臣就任1か月

【岩屋外務大臣】本日、外務大臣就任からちょうど1か月を迎えました。
 この間は、衆議院選挙もございましたけれども、我が国は、今、戦後最も厳しい安全保障環境に直面を押しておりますので、外交の歩みを止めることはできないと考えております。
 昨日も、北朝鮮がICBM級の弾道ミサイルを発射したことを受けまして、石破政権で初となる国家安全保障会議の四大臣会合を実施しましたほか、私(岩屋大臣)は、米国のブリンケン米国務長官及び韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官との間で、日米韓の外相電話会談を行ったところでございます。
 その際には、北朝鮮によるロシアへの兵士派遣及び武器移転の継続を含む露朝間、ロシアと北朝鮮の間の軍事協力の深化についても意見交換を行いまして、これを強く非難をしたところでございます。
 日本の平和を守り、東アジアの安定を図っていくことは、世界全体の平和と安定にとっても極めて重要だと考えております。引き続き、日米同盟を基軸にいたしまして、日韓、日米韓で、一層緊密に連携して、この事態に対処してまいりたいと考えております。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

北朝鮮兵士のロシア派遣

【共同通信 西山記者】北朝鮮のロシア派兵について伺います。ロシア派兵をめぐっては、ウクライナのゼレンスキー大統領と韓国の尹(ユン)大統領が、10月29日に電話会談するなど、韓国とウクライナの直接のやり取り、ハイレベルのやり取りを行われていると思いますが、日本としても同様に、ウクライナ側と直接ハイレベルの協議をする予定などはございますが、今後の方針をよろしくお願いします。

【岩屋外務大臣】今、御指摘がありましたように、北朝鮮兵士のロシア派遣をめぐりましては、10月29日、尹大統領とゼレンスキー大統領との間で、首脳電話会談が行われたと承知しております。
 ロシアに派遣された北朝鮮兵士が、ロシアによるウクライナ侵略に加担をする、その可能性を含めて、最近の露朝軍事協力の動きは、ウクライナ情勢の更なる悪化を招くのみならず、我が国を取り巻く、このアジアの安全保障に与える影響の観点からも、深刻に憂慮しております。そこで、米国、韓国とも緊密に連携している。また、一層していくという考えであります。
 今、指摘のあった、我が国とウクライナとの間では、平素から様々なレベルで意思疎通を行ってきておりますが、適切なタイミングで、ハイレベルの意思疎通を行いたいというふうに思っておりまして、ウクライナ側との連携は、更に強化してまいりたいと考えております。

女子差別撤廃委員会対日審査

【読売新聞 上村記者】皇室典範に関する国連の勧告についてお伺いします。ちょっと何点かありますのでまとめてお伺いします。
 国連女子差別撤廃委員会は、10月29日に、男系男子による皇位継承を定めた皇室典範を改正するように勧告しました。まず、改めまして、この受け止めと、日本側が、抗議と削除の申入れを行っていると承知していますが、それが、その後どうなったかについてお伺いします。
 また、併せて、この抗議はいつ、どのレベルで行ったかということもお聞かせください。
 また、関連してなんですが、こうした勧告は、過去にも同様の内容の話はあったと承知しています。その際は、素案の段階で削除を申し入れて、実際には取り上げられなかったと承知していますが、今回は、そのような働きかけは、あったのか否かをお聞かせください。

【岩屋外務大臣】お尋ねの、女子差別撤廃委員会対日審査における皇位継承に関してですが、先日、官房長官もお答えしたとおりに、我が国としては、10月17日の委員会審査におきまして、我が国の「皇位継承の在り方は、国家の基本に関わる事項であり、女性に対する差別の撤廃を目的とする女子差別撤廃条約の趣旨に照らして、委員会が、我が国の皇室典範について取り上げることは適当ではない」という旨を説明をしたところです。
 審査終了後には、委員会に対して、皇位に就く資格は、基本的人権には含まれていないことから、皇室典範において、皇位継承資格が男系男子に限定されていることは、女子差別撤廃条約第1条の「女子に対する差別には該当しない」という我が国の立場を表明するとともに、強い遺憾の意を伝達をしたところでございます。
 それにも関わりませず、最終見解に、皇位継承に係る記述がなされたことは大変遺憾に思っております。
 今般の発表を受けまして、委員会側に対して強く抗議するとともに、削除の申入れを行いました。抗議は、最終見解公表の当日、我が方のジュネーブ代表部大使から、委員会側に対して行ったところでございます。
 それから、過去の経緯についてもお尋ねがございましたが、前回、2016年(平成28年)の女子差別撤廃委員会による審査におきましては、審査終了まで、皇室典範が一切取り上げられなかったにもかかわらず、最終見解案において、皇室典範改正の勧告が含まれていたことから、日本側の申入れにより、手続的な瑕疵があったとして、当該部分は削除されたという経緯でした。
 いずれにいたしましても、今回の審査で皇室典範が取り上げられて、最終見解において、我が国の皇室典範に関する記述が盛り込まれたということについては、大変遺憾に思っております。
 我が国の、皇位継承の在り方は、国家の基本に関わる事項でございまして、女性に対する差別の撤廃を目的とする同条約の趣旨に照らして、委員会が、我が国の皇室典範について取り上げることは適当ではないという、我が国の立場については、委員会側に対して、重ねて抗議をするとともに、削除の申入れを行ったところでございます。

日本の対北朝鮮政策

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 パン・オリエント・ニュースのアズハリ・カルドンです。
 北朝鮮への非難や制裁といった現行の対応が、無意味とまでは言わずとも効果的ではないことが、益々明らかになってきています。それらは、最近の、また、度重なる高精度のミサイルの発射に示されており、これらをみると、北朝鮮が軍事技術を進化させ続けていることがみてとれます。
 日本とその同盟国には、対立ではない新たなアプローチが、緊急に必要とされていると思います。この地域を核戦争から、もしくは核戦争とまではいかずとも壊滅的な戦争から救うためにです。
 政府の掲げる安全保障戦略は、外交的なアプローチを呼びかけているものなのでしょうか、それとも、この地域における軍拡競争や対立を求めるものなのでしょうか。外交的な解決こそが喫緊に必要であることは、強調してもしすぎることはないと思います。

【岩屋外務大臣】昨日のICBMの発射は、北朝鮮による、こういった核・ミサイルの開発は、そもそも、国連安保理決議違反でして、我が国の安全のみならず、地域全体の、あるいは国際社会の平和と安全を脅かすものだと考えております。
 我が国の、そういう外交的なスタンスを改めるべきではないかという御指摘だったと思いますが、国家安全保障戦略に基づいて、防衛力を抜本的に強化しつつ、外交努力によって、平和を達成していきたいというのが、我が国の基本的な考え方でございます。
 国家安全保障戦略においては、日本の安全保障に関わる総合的な国力の要素として、まず外交力、これを挙げております。外交によって、危機を未然に防ぎ、平和で安定した国際環境を能動的に創出する。これが、まず第一に、行われなければならないことだと考えております。
 その上で、北朝鮮に対する我が国の基本方針は、日朝平壌宣言に基づいて、拉致、核、ミサイルといった懸案を包括的に解決して、さらに、不幸な過去を清算して、日朝国交正常化を実現するというものでございまして、この考え方に、いささかの変更もございません。
 したがって、対話をする構えは、とり続けているわけでございます。
 引き続き、米国及び韓国を始めとする国際社会とも、しっかり連携協力をしながら、国連安保理決議の完全な履行を進めて、北朝鮮の核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていくための外交を展開し、最終的には、先ほど申し上げたように、日朝平壌宣言に基づいて、国交を正常化するということを実現していきたいと考えております。

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