記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和6年10月11日(金曜日)14時00分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言:日加・日独・日仏外相電話会談

【岩屋外務大臣】まず、冒頭、いくつか御報告がございます。
 一昨日、衆議院が解散されましたが、外交の歩みを止めることはできません。石破総理は、早速、ラオスに出張されまして、御案内のとおり、ASEAN関連首脳会議に出席するとともに、中国や韓国を始めとする国々と、精力的に二国間会談を行っております。
 インド、ベトナム、ラオスとの間でも、バイの会談が行われたと承知しております。
 私(岩屋大臣)は、先ほど、カナダのメラニー・ジョリー外務大臣と、初めての電話会談を行いました。
 私(岩屋大臣)からは、カナダが、インド太平洋地域への関与を強めていることを歓迎する旨をお伝えいたしまして、ジョリー外相と、これから日加間で、日本とカナダの間で、戦略的パートナーシップを、より深化させていくということで、一致を見たところでございます。
 国際社会の様々な課題への対応に関しましては、同志国の連携が不可欠であり、来年の議長国であるカナダとしっかり連携していきたいと考えております。
 また、この後、同じくG7のメンバーでありますドイツのベアボック外相、及びフランスのバロ欧州・外務相、欧州を担当する大臣であり、また、外務大臣であるバロ外相との間で、電話会談を行う予定でございます。
 これら、基本的価値や原則を共有する重要なパートナーでありますドイツ及びフランスとの間で、二国間関係の一層の深化、また、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、緊密な連携・協力を確認していきたいというふうに思っております。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

アジア版NATO

【共同通信 西山記者】石破首相が提唱しているアジア版NATOについて伺います。石破首相は、小野寺政調会長に対して、アジア版NATOを構想する新組織を党の方に立ち上げるように指示しました。他方、アジアの中では、中国とのバランス外交を志向する国々も多く、警戒感を招くのではないか、というような懸念の声も上がっております。岸田政権は、格子状の関係構築を進めてきたわけですが、その妨げになるのではないか、というような指摘もあります。岩屋大臣のお考えをお聞かせください。

【岩屋外務大臣】よろしいですか。石破総理から、今、御指摘があったように、将来のアジアにおける安全保障の在り方について検討するように、自民党に、小野寺政調会長に、指示が出されたということは承知しております。
 アジア版NATOという考え方については、既に石破総理、御自身が、「これは一朝一夕に実現するとは思っていない」と。「まずは、喫緊の外交安全保障上の課題に取り組んでいく必要がある」と。「加えて、日米同盟の抑止力・対処力を強化し、また、同盟国・同志国間のネットワークを、有機的・重層的に構築して、抑止力を強化する観点から検討し、対応していく」と、述べているところでございます。
 この地域における、安全保障の枠組みの構築は、非常に大きな構想でございますので、当然のことながら、最終的にどのような枠組み、どのような組織になることが適切かということは、今後の議論次第だと思っておりまして、当然、こういう枠組みは、いずれか特定の国を念頭に置いたものではありません。
 いずれにしても、日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、その強靭性・持続性を高めていくとの観点から、同盟国・同志国とのネットワークを、有機的・重層的に、私(岩屋大臣)は、いつも、「縦横十文字、網の目のように」というふうに申し上げておりますけれども、そういうことを、まず、しっかり取り組んでいきつつ、将来のアジアの安全保障の在り方ということを、じっくり検討していくべきだというふうに考えております。

日中関係(領空侵犯)

【朝日新聞 里見記者】8月の、領空侵犯、中国軍機の哨戒機による領空侵犯についてお尋ねします。9日の、一昨日の夜ですかね、外相電話会談、日中でありましたけれども、昨日は、石破総理と李強(り・きょう)首相の間でも会談があって、石破大臣と岩屋さんの方からも、この十分な説明を中国側に求めるというふうに、求めたということですけれども、それについて回答は、十分な説明はあったのかというのが、これ、一つです。
 加えて、中国側の発表によると、電話会談で王毅(おう・き)外交部長は、「日中は協力するパートナーであり、脅威とはならない」と、改めて強調したということなんですけれども、その後、8月以降、領空侵犯や日本周辺の海域の方の中国軍艦艇の航行とか、そういった活動と照らして、中国側のこの姿勢をどういうふうに捉えていらっしゃるかというのをお尋ねできたらと思います。

【岩屋外務大臣】9日の外相電話会談におきましては、私(岩屋大臣)から王毅外交部長に対しまして、また、今、御指摘あったように、昨夜行われた日中の首脳会談においては、石破総理から李強総理に対して、それぞれ、直接、8月の中国軍機による領空侵犯や、9月の空母による我が国領海に近接した海域の航行といった、中国軍の活動の活発化について、深刻な懸念を伝えたところでございます。
 また、領空侵犯について、十分な説明を速やかに行うように、改めて求めました。これに対しまして、中国側からは、従来の中国側の立場に沿った発言がありましたけれども、我が国としては、現在の中国側の対外的な姿勢や、軍事動向は、我が国と国際社会の深刻な懸念事項である、ということを伝えておりまして、日本の領土・領海・領空を断固として守るという決意の下、今後も冷静かつ毅然に、対応してまいりたいと考えております。

【朝日新聞 里見記者】すみません、関連でなんですが、今の、先ほどの質問で、中国側のこの姿勢というか、脅威にはならないというふうに言っている一方で、こういった活動を広げているという、あちらの姿勢についての捉え方は、いかがでしょうか。

【岩屋外務大臣】中国側の発言は、先ほど申し上げたとおり、従来の中国側の立場にとどまるものでありました。
 それ以上の外交上のやり取りについては、詳細についてお答えすることは控えたいと思いますが、これらの行動・活動に対して、「これは我が国と国際社会の深刻な懸念事項である」ということを、重ねて伝えておりますので、中国側の適切かつ誠意ある対応を求めていきたいと思っています。

日中関係(台湾問題)

【China Daily 江記者】
 (以下は英語にて発言)
 岩屋さん、中国の王毅外交部長は、10月9日、電話会談を行いました。王毅外交部長は、日本側が、台湾問題に関する政治的約束を守り、揺らぐことなく一つの中国の原則を堅持し、地域全体の平和と安定を大切にし、特に、外部勢力が地域の対立をあおることを防止することを希望する、と表明しました。
 これに対し、日本政府は具体的にどのような行動をとるつもりでしょうか。よろしくお願いします。

【岩屋外務大臣】台湾との関係については、1972年(昭和47年)の「日中共同声明」を踏まえて、非政府間の実務関係として維持していくというのが、我が国の一貫した立場でございます。「一つの中国」という考え方は、理解し、尊重するけれども、これは両岸において、平和的に、解決されなければならないという考え方でありますけれども、これが我が国の、引き続いての一貫した立場でございます。
 政府としては、このような従来からの基本的立場を踏まえて、日台間の協力と、交流の更なる深化を図っていく考えでございます。
 また、台湾海峡の平和と安定は、我が国を含む国際社会にとって極めて重要でございます。9日の電話会談におきましては、私(岩屋大臣)から王毅外交部長に対しまして、この点を改めて強調させていただきました。
 世界に、欧州や中東など、戦火が広がっている中にあって、アジアの平和と安定は、極めて重要であると。国際社会全体にとって、東アジアの安定は、極めて重要であるということを私(岩屋大臣)から申し上げさせていただきました。
 最近の軍事情勢を含む動向を注視しておりますし、台湾をめぐる動向についても、引き続き注視していきたいと思っております。

靖国神社秋季例大祭

【共同通信 西山記者】靖国神社への参拝について伺います。秋季例大祭が10月17から19日まであります。岩屋大臣、参拝の予定、真榊の奉納をする予定はございますか。よろしくお願いします。

【岩屋外務大臣】それぞれ、予定はございません。

日加外相電話会談

【NHK 米津記者】カナダの外相との会談についてお伺いしたいんですけれども、発表では、早期に対面での会談を目指す旨ありましたけれども、G7の外相会談などもありますが、具体的に、どのような場で対応していきたいとお考えか、また、来年のG7の議長国という立場であるカナダと、どのように連携を図っていきたいか、一致点などもございましたら、その点についてもお聞かせください。

【岩屋外務大臣】カナダの外相とも、できるだけ早く対面でお目にかかって、お話をさせていただきたいと思っておりますが、どの段階、どの場面で、それが実現するかというのは、ちょっと今の段階では確定的に申し上げることはできません。
 カナダ国内の政治日程なども、これから出てくるでしょうから、よく連絡調整をして、できるだけ早く、来年のG7の議長国であるカナダの外相とも、しっかりと連携できるような関係を構築したいと思っています。

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