記者会見

上川外務大臣臨時会見記録

(令和6年4月30日(火曜日)23時15分 於:ナイジェリア)

冒頭発言

(大臣)今回の最初の3か国、マダガスカル、コートジボワール、ナイジェリアの訪問を概ね終えました。マダガスカルは日本の外務大臣として初、また、コートジボワールとナイジェリアは共に45年ぶりの訪問であります。
 今回の訪問では、連結性の強化、投資促進・スタートアップ支援に焦点を当てました。また、それぞれの国と、二国間関係に留まらず、WPSや国連安保理改革、軍縮といった国際場裡での協力やグローバルな課題について認識を共有しました。
 特に、連結性強化の観点からは、地域のハブとなる拠点作りを意識しました。3か国で、大学・病院・港湾・図書館の関係者と議論する中で、多くの素晴らしい取組を、点のレベルに止めず、面のレベルに展開をしていく、そうした潜在力を実感しました。こうした考えをさらに深堀りし、本年8月に私が議長を務めるTICAD閣僚会合に向け具体的な成果としたいと思います。
 加えて、各国で在留邦人・日系企業関係者から、現場でしか聞けない生の声を直接伺いました。私からは、出張に先立って指名を発表した経済広域担当官を通じて、国のレベルにとどまらず、地域レベルでグローバルに展開する日本企業を支援していく考えを伝えました。

 マダガスカルでは、大統領表敬及び外相会談を行いました。共に海洋国家として、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の推進に向け戦略的に協力していくことで一致しました。具体的には、喜望峰を通るグローバルサプライチェーンの要衝に位置するトアマシナ港拡張計画を通じた海の連結性強化のほか、オファー型協力を活用してマダガスカルの多角的な開発に取り組むことで一致をしました。

 コートジボワールでは、大統領表敬及び外相会談を行いました。特に、日本での留学・勤務経験があるアドム外相とはじっくりと意見交換ができました。日アフリカ官民経済フォーラムを共催することについて合意をし、経済面で関係強化をさらに進めることについて一致しました。

 ナイジェリアでは、外相会談を行い、スタートアップ・エコシステムの推進を始め、ビジネス・経済関係の一層の強化について確認をしました。WPSに関し、国内避難民の方々と実際に話をする機会も得られました。

 また、私は、文化外交の一環として、出張時にその国の書店を訪ねるようにしており、今回もコートジボワールで書店を訪ねました。さらに、今回マダガスカルでは市立図書館を訪問しました。図書館も言うまでもなく活字文化の集積地であります。特にこの市立図書館は、日本がフランスと共に整備したもので、今後日本との活動や交流を扱った一角を設けるなど、両国の相互理解促進のためのエントリーポイントとしてくことで、館長他関係者と一致しました。
 この関連で、明日はパリの日本文化会館を訪問し、国際交流基金とも連携して、この事例をモデルケースとして、多くの国に取組を拡大していきたいと考えています。

 今回の訪問で最も印象的だったのは、街から感じるエネルギー、特に多くの子供や若者の笑顔であります。アフリカが持つダイナミズムやポテンシャル、日本に対する強い期待を肌で感じました。同時に、女性を含む日本の若者が既にアフリカで新たなビジネスや課題に挑戦している姿を見ることができたのは嬉しい驚きでありました。日本とアフリカの間には、30年以上にわたるTICADを通じて培われてきた信頼関係があります。アフリカ経済のダイナミズムを日本に取り込むとともに、アフリカの経済成長及び平和と安定を実現する方策を、アフリカと共創していく、共に創り出していく考えであります。

 今回の一連の出張の目的の一つは、グローバル・サウスとG7を始めとする同志国との橋渡しとなることであります。ここアフリカで実際に見て、聞いた現場の実情と声を、明日から訪問するフランスでのOECD閣僚理事会における議論に活かしていく考えです。
 私からは以上です。

質疑応答

(記者)大臣の方から説明がありましたが、日本は今年8月に閣僚会合、来年8月に首脳級会合を開催ということで一連のTICADプロセスが始まります。世界各国のアフリカへの視線が熱くなる中、今次会合で先方から感じた日本の取り組みへの期待感とはどのようなものがありましたでしょうか。また、先方の期待をどのようにTICADプロセスに生かしていくか、認識をお願いします。

(大臣)先程申し上げたとおりでありますが、私が今回訪問した3か国におきましては、何と言っても、長年に亘る日本との協力関係に基づく日本への信頼、また日本からの投資の拡大、また日本技術力、また人材育成の知見の活用への強い期待を感じました。また、若者や女性がアフリカで新たなビジネスや課題に挑戦をしている、こうした頼もしい姿を見ることができました。
 また、各国との外相会談、また平和構築の最前線、更に政治・経済分野で活躍する女性と議論する中におきまして、日本とアフリカが相互に学び合い、WPS分野での協力を強化するということについても強い可能性を感じました。
  今回の訪問を通じまして感じた期待に応えるべく、日本らしい取組を一層強化していくことが重要であると考えております。先ほど申し上げたとおりでありますが、本年8月のTICAD閣僚会合に向けまして、日本の取組を点から面のレベルに展開していくこと、地域の人材育成のハブとなる拠点につなげていくこと、またWPS分野での連携強化などを、本年の8月TICAD閣僚会合に向けまして、深掘りをし、具体化していきたいと考えております。
 このような日本の強みを活かした取組を通じて、アフリカ経済のダイナミズムをこれを日本に取り込み、アフリカの経済成長及び平和と安定を実現する方策につきまして、アフリカと共創していく考えであります。

(記者)今回の外遊では、中国が影響力を強める中、日本としてもグローバル・サウスを重視し、総理が南米、大臣がアフリカや南アジアと、2人で地域を手分けして回られることになりました。このことの意義についてどのように考えておられるかお願いします。
 また、中国の王毅外相は1月のアフリカと中南米歴訪して、一帯一路を通じた経済協力などを確認されました。今回、大臣は中国の影響力について現地でどのような意見を交わされ、中国による経済協力が顕著となるグローバル・サウスにおいて、大臣ご自身としてどのように日本としての独自の存在感を発揮していく考えか、お考えをお伺いします。

(大臣)第一点目の質問でありますが、グローバル・サウスとして今世界に大きな存在感を示す途上国・新興国との連携を、これを今後更に強化し、それらの国々をパートナーとしていくことは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化をし、国際社会が今分断・対立にある中、協調に導く上で極めて重要であると考えております。
 こうした考えの下、私自身、昨年9月の外務大臣就任以来、東南アジア、中東、大洋州島嶼国、中南米を始め、多数のグローバル・サウスと呼ばれる国々への関与に取り組んでまいりました。これらに加え、このたび総理が中南米を訪問し、また、私自身がアフリカ及び南アジア2か国を訪問することは、我が国の関与を更に強化していくという力強いメッセージを発信する上でも有用であると考えております。
  二点目ですが、今回、マガダスカル、コートジボワール、ナイジェリアのそれぞれの外相等と対面で、東アジアを含む地域情勢につきましても議論をしました。民主主義や法の支配に基づく自由で、開かれた国際秩序の重要性、そして、これらを土台にアフリカの持続的な発展、さらには地域の平和と安定、さらにはグローバル課題への対応につなげていくことについて、このことについて確認することができた、ということは大変重要であったと認識しています。

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