記者会見
茂木外務大臣臨時会見記録
(令和8年9月3日(木曜日)17時53分 於:ウランバートル(モンゴル))
冒頭発言
この後、バトツェツェグ外相との夕食会もありますが、今回の一連の外交訪問、日程ほぼ終えたところでありますので、私から全体の所感についてお話をしたいと思います。今回の一連の出張には、 3つの目的、 第一に、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持強化に向けた連携の確認。二つ目に、エネルギー・インフラ分野を含みます経済協力の推進。第三に、同志国やグローバルサウスとの連携強化、こういった3つの大きな目的がありました。まず、日本の外務大臣として9年ぶりの訪問となりました トルクメニスタンでは、メレドフ副首相兼外務大臣との会談及び大統領の表敬を行いました。国際情勢が大きく変化し、厳しさを増す中、中央アジアの地政学的な重要性はますます高まっています。昨年、東京で初めて開催されました「中央アジア+日本」対話・首脳会合の成果も踏まえつつ、資源、エネルギー、資源循環、AIをはじめとする幅広い分野での協力を推進していくことで一致をしたほか、地域国際情勢について率直な意見交換を行い、国際場裡での連携を確認することができました。
また、 2か国目、スロバキアでは、「ヴィシェグラード・グループ」、通称「V4」諸国との間で、「V4+日本」外相会合、5年ぶりになりますが開催をしまして、また、集まっていただいた4か国の外相とそれぞれ二国間会談も行いました。「V4」諸国とは、欧州大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分である、こういった認識を共有をし、進化したFOIPへの支持の確認をすることもできました。また、インド太平洋、ウクライナ、 中東といった地域情勢についても議論を深め、諸課題の対応で緊密に連携していくことで一致をいたしました。また、日本の「ホライズン・ヨーロッパ」への準参加、これも好機としてAIを含みます先端技術分野での連携の一層の推進、さらにEU市場での日本企業の活動の支援、開かれた市場及び安定的なサプライチェーンの維持強化などを確認することができました。サプライチェーンを維持強化していく、それも同志国間で信頼できる強靭なサプライチェーンの強化を行っていくということについては、どの国も全く同じ意見だったと、こんなふうに考えております。
続いて来年からですね、国連安保理の非常任理事国を務めるオーストリアを車で移動したわけでありますけれど、マインル=ライジンガー外相との間で、国連などの場においても緊密に連携をすることで一致をしました。さらに、ウクライナ、中東、東アジア情勢についても、日本の立場を説明し、理解と支持を得ることができました。ウクライナ支援についてはですね、ヨーロッパの各国から、日本のですね、立場について、強い期待、また感謝の言葉もあったところであります。さらに、製薬やライフサイエンスといった先端的な分野も含め、政府が後押して、オーストリアでありますが、企業や研究者間の交流を一層促進していくこと、 加えて、半導体や次世代エネルギーとの分野における協力の強化についても確認をしました。
最後のモンゴルでありますが、先ほど記者会見で詳しくお話もいたしましたが、バトツェツェグ外相との会談において、モンゴルの「第三の隣国」として進化したFOIPのもと、自律性・強靭性の強化に向けて協力していく方針を伝えました。 また、モンゴルにおける空の連結性の鍵でありますチンギス・ハーン国際空港について、その拡張に向けた協力が実質合意に至ったことをともに歓迎をしたところであります。インド太平洋情勢についても時間をかけて率直に議論し、拉致問題について私からモンゴルの理解と協力に改めて謝意を伝えました。また、日本の平和国家としての歩みに対して、モンゴルから高い評価をいただいたところであります。このほか、大統領、そして国家大会議議長、日本の国会議長ですね、との間でも、「特別な戦略パートナーシップ」の更なる強化に向けて、有意義な意見交換、このモンゴルでも行うことができました。今回訪問会談した国々との間では、長年にわたって友好と信頼関係を構築していきました。これを基盤として、重層的な対話を継続しながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、今回の訪問の成果を着実にフォローアップしていきたいと考えているところであります。
最後に、今回の訪問とは別件になりますが、ネパールへの災害支援についてお話したいと思います。スロバキア滞在中には、ネパールのカナル外相との電話会談を行いましたが、それについては報道発表したとおりであります。政府としては、まず連絡が取れていない邦人5名の方々の安否確認に全力で当たり、邦人保護にしっかりと取り組んでいく考えでありますし、また、ネパールとしてもそれに全面的に協力したいと、そういう話をいただいたところであります。その上で、ネパールへの支援についても対応、検討を進めているところであります。まず、昨日2日には、緊急援助物資、テントや毛布でありますが、これがネパール政府に引き渡されました。さらに、国際緊急援助隊として、身元確認支援、これを行う専門家チームを明日4日金曜日にですね、現地に派遣することを決定いたしました。さらに医療チームとして、JICAの調査団が昨日2日水曜日に現地に到着しておりまして、実際、医療面でどういうニーズがあるのか、その特定も進めていきたい、それに沿ってですね、また必要な支援を検討していきたいと考えております。ネパールは日本にとって長年の友人でありまして、今後も日本政府としてあらゆる支援を惜しまない、こういう考えであります。私からは以上です。
質疑応答
日モンゴル関係、今後の対中外交
(記者)中国、ロシア、そして北朝鮮が連携を強める中で、中国とロシアに陸で接しているモンゴルとの二国間関係を強化できた意義について伺います。特に日本と中国は昨年来、関係が悪化した状況が続いていますけれども、今回、日中関係においてモンゴル側とのやり取りは何かあったのでしょうか。可能な範囲でご紹介ください。 また今後、国際会議の場などを通じて、中国側とハイレベルで接触する機会も出てくると思います。改めて対中外交にどう取り組んでいくか教えてください。
(大臣)陸で接しているというか、モンゴルの場合、中国、ロシアに囲まれている、こういう状況でありますが、今般、モンゴルとの間では、日本としてモンゴルの「第三の隣国」政策、これを支持しており、進化したFOIPの下で協力を推進したい旨、申し上げたところであります。そして、モンゴルの自律性、強靭性を力強く支えるために更なる協力を進めるということで一致をいたしました。更に、インド太平洋情勢についても議論を深め、地域の平和と安定に向けた協力を一層強化していくことで一致をいたしました。 先方、モンゴルの方から、我が国の平和国家としての貢献に対する高い評価が改めて示されたところであります。中国については、中国は重要な隣国でありまして、日本にとっても。中国との間で戦略的互恵関係を包括的に推進し、建設的かつ安定的な関係を構築していく、こういった方針は一貫をしております。その上で、日中間ではですね、懸案と課題があるわけでありまして、こういったものが懸案と課題があるからこそ、あらゆるレベルでの様々な機会の対話を行い、そして意思疎通していくことが重要であると考えております。今後も中国側と意思疎通を継続しつつ、国益の観点からですね、冷静かつ適切な対応を行っていきたい、こんなふうに考えております。
平和国家に係る成果
(記者)大臣の今回の外遊では、トルクメニスタンのメレドフ副首相兼外相から、日本が戦後国際社会の平和と安全に貢献してきたことを高く評価するとの言及があったほか、先ほどご言及もありましたけれども、モンゴル側からは日本の平和国家としての歩みに評価がありました。特にバトツェツェグ氏は6月に中国の王毅外相と軍国主義批判の共同コミュニケを公表した経緯があり、今回の言及は中国が展開する新型軍国主義との批判に対抗した形かと思います。こうした表明の受け止めをよろしくお願いします。
(大臣)やっぱりですね、直接会談をしてですね、日本の考え方であったりとか、実際日本がどうしているか、こういったことをしっかりしたいということは極めて重要だということを改めて感じたところでありますが、トルクメニスタン、またモンゴル、いずれも従前からですね、日本の平和国家としての貢献、評価をしていただいているところであります。今回の両外相との会談においても、先方からですね、その一貫した立場に改めて示された評価というものを歓迎するところであります。こちらから言うというよりも、先方の方からですね、日本が平和国家として国際社会の平和と安定に貢献してきたことを評価するという発言が先に出る、こういう形でもありました。引き続き、戦後80年以上の日本、我が国の平和国家としての歩みについて、国際社会における正確な理解の確保、促進に努めていきたい、こんなふうに考えています。
夏の一連の大臣外遊の振り返り
(記者)大臣は一連の夏の外遊を今日で終えられました。NATO首脳会合やASEAN外相会議の後、中南米、中東、今回は東欧や中央アジアと距離的な問題もあり、これまで日本外交で必ずしも優先されてこなかった地域を重点的に回られたかと思います。大臣が就任時に掲げられた力強く視野の広い外交という目標に沿う形だったかと思いますが、これまでの外遊の振り返りをお願いします。
(大臣)振り返りますと、7月のNATO首脳会談でのトルコ訪問から始まりまして、フィリピンでのASEAN関連外相会議に出席し、そして先月の中南米、そして中東訪問、さらにですね、今回の中央アジア、欧州、アジア諸国訪問と幅広い地域の合計12か国を訪問してですね、それ以外にも「V4」で言いますと、近隣の外相とも会談を行いましたし、40以上の会談を実施いたしました。移動距離で言いますと10万キロ以上、地球を2周半したことになると思いますが、その分ですね、実りの多い会談になったと考えておりまして、全体としてはですね、先ほど来申し上げておりますが、大きく3つの点に注力して、様々な議論を行い、また協力関係も確認をし、成果のある海外訪問にあったと、こんなふうに考えております。
第一にですね、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化ということであります。進化したFOIPのビジョンを踏まえてですね、欧米の同志国であったりとか、グローバルサウス諸国との重層的な連携、これをしっかりと確認することができた、これが第一点になります。
第二に、各国とのですね、今の課題になっておりますサプライチェーンの強靭化であったりとか、エネルギー分野、このエネルギー安全保障、そしてエネルギー協力についてであります。現下の資源エネルギーをめぐる厳しい情勢、これを踏まえ、経済安全保障に係る分野について、数多くの協力の具体化をしていくということで、各国との間で一致をすることができました。
最後にですね、厳しい国際情勢を踏まえた率直な意思疎通ができたと思っております。私から各国外相等にインド太平洋であったりとか、中東地域をはじめとする国際社会の諸課題に対する我が国の立場であったりとか、問題意識を説明し、更なる連携の足場を固めることができたと考えています。中東に行きますと、サウジでもそうですし、オマーンでも、やっぱり非常にリピートな情勢、これもわかりますし、また、そういった深い意見を聞くこともできたわけでありますし、また、東欧に行きますと、ウクライナ情勢等についてですね、今、現状がどうか、見通しがどうか、また日本とどう協力していくか、こういった議論も深めることができたと考えております。まさに力強く視野の広い外交を着実に展開することができた一連の外国訪問だったと考えております。確かに体力的にはきつかったですね。もう一回見直さなくちゃいけないかなと、こんなふうに考えていますけれども、 各国との会談におきましても、一様に日本に対する高い期待というものを肌で感じることができました。やはり日本という国は信頼できる国である、そしてしっかり約束したことを実行してくれる国である、こういったことを各国が正しく理解をし、またその分ですね、そういった信頼できる日本に対する 期待を持っているということを感じたところであります。今後もですね、今回築きました、各国地域との信頼、協力関係をしっかりと生かしながら、日本外交というものを主体的・積極的に展開をしていきたいと、こんなふうに考えています。
