記者会見

茂木外務大臣臨時会見記録

(令和8年8月20日(木曜日)15時46分 於:マスカット(オマーン))

冒頭発言

 先ほど、今回の中東訪問のすべての日程を終えたところであります。バトル大臣との会談が3時までかかりましたので、会見の時間が少し遅れることになりました。
 今回のサウジアラビア及びオマーン訪問では、まず、イラン情勢に関して主に3つの目的がありました。一点目は、今年2月のイランをめぐる事態発生以来初めてとなる中東訪問を通じて、地域全体の平和と安定に向けた連携を深めることです。二点目は、米国とイランの間の早期の交渉再開と最終合意に向けた環境づくりを行うことです。三点目は、ホルムズ海峡とバブ・エル・マンデブ海峡の自由で安全な航行の確保に向けた連携を確認することでありました。
 また、二国間及び中東諸国との関係で言いますと、各国との間で、エネルギー分野を含む幅広い分野での協力を一層進展をさせること、そして、湾岸諸国の経済・エネルギー強靭化について、日本として最大限の貢献をしていく考えを示すこと、こういった二つの目的がありました。
 こうした観点から、サウジアラビアでは、ファイサル外務大臣との間で、第3回目となる戦略対話を実施したほか、サウジアラビアに所在するイエメン政府の実質トップであるアリーミー大統領指導評議会議長への表敬を行いました。また、オマーンでは、先ほどバトル外務大臣と会談を行ったところであります。
 イランをめぐる情勢は、まだまだ様々な難しい課題がありますが、今回の訪問の目的との関係で言いますと、非常にあのタイムリーで、成果の大きい出張になった、このように考えています。
 現下のイラン情勢については、各会談において、私から、米・イラン間の更なる協議を通じて、イランの核問題等を含めた最終合意が早期に実現することが重要であるとの我が国の一貫した立場を伝えました。その上で、日本としても、最終合意に向けた環境作りのため、引き続き外交努力を行っていく考えである旨、これを伝えたところであります。
 ホルムズ海峡については、いかなる追加的費用もない形での自由で安全な航行の確保、これが重要であり、その実現のために、海峡沿岸国、そして利用国を含む国際社会としっかり話し合っていくことが必要である、この点を強調いたしました。
 また、バブ・エル・マンデブ海峡を含む紅海については、日本として、サウジアラビアやイエメン政府側に対するホーシー派の攻撃の継続を強く懸念し、これを非難する旨伝えた上で、紅海周辺の安全確保のため、各国と緊密に連携していく考えを伝えたところであります。
 特にホルムズ海峡については、サウジアラビア、オマーンとの間で率直な議論を行い、今後も緊密に意思疎通していくことを確認することができました。
 イエメンとも、イエメンの安定が中東地域全体の安定に直結するという点を踏まえて、バブ・エル・マンデブ海峡の安定に向け連携を強化することで一致でき、非常に貴重な機会になった、このように考えております。
 また、中東情勢が不安定な中においても、各国との二国間関係を更に前進をさせるべく、幅広い議論を行いました。石油・LNGの安定供給といったエネルギーを含む経済をはじめ、安全保障、そして最先端技術、教育、人材交流等、今回の訪問で協力を確認した分野は多岐にわたるわけであります。今後、一つ一つの協力を着実に具体化していきたい、そのように考えています。
 サウジアラビアとオマーンに対しては、私から、今般のイラン情勢を受け、両国を始めとする湾岸諸国の経済・エネルギー強靭化に向け、包括的な協力計画をまとめていることを伝えました。両国では、海水淡水化事業や鉄道インフラ、環境に配慮した鉄の製造等が進められているところでありまして、日本として積極的な役割を果たしていく旨述べ、両国から、それぞれ高い評価を得られたところです。
 このほか、核・ミサイル問題及び拉致問題を含む北朝鮮への対応といったインド太平洋地域の諸課題についても説明し、連携を確認することができました。
 これまでサウジアラビアのファイサル外務大臣及びオマーンのバトル外務大臣とは何度も電話会談も重ねてきました。ホルムズ海峡を含むイラン情勢が非常に重要な局面を迎える中、今回の対面での会談を通じて、今後の更なる連携につながる率直な意見交換を行うことができたと感じています。イエメンのアリーミー議長とは初の会談となりましたが、ホーシー派との関係をはじめ、内容の濃い議論を行うことができました。
 我が国として、中東諸国とは長年にわたり友好信頼関係を築いてきており、今後も重層的な対話を継続しながら、中東地域全体の平和と安定に向けて積極的な役割を果たしていきたい、このように考えています。私の方から以上です。

質疑応答

米・イラン間の交渉の現状、海峡の安定化

(記者)今回の訪問でも重要な議題となりましたイラン情勢についてお伺いします。アメリカとイランの覚書の当初の期限だった60日が過ぎた今なお戦闘終結の最終合意が図られていない状況ですけれども、それについての受け止めと、ホルムズとバブ・エル・マンデブの両海峡の安定化に向けて、日本政府としてどのように関与していくお考えかお伺いします。

(大臣)米・イラン間の覚書の署名から、ちょうど60日を迎えたところでありますが、残念ながら、関係国の尽力にも関わらず、最終合意が図られていない。日本としても、こうした状況、心配をしているところであります。我が国としては、今回の訪問を含め、関係国と重層的な対話を続けながら、米・イラン間の協議が再開をし、核問題等を含めた最終合意が早期に実現するために、引き続き、最大限の外交努力を図っていきたいと考えております。
 その上で、ホルムズ海峡については、いかなる追加的な費用もない形での、自由で安全な航行の確保に向け、国際社会との連携を一層強化していきたいと考えております。また、バブ・エル・マンデブ海峡についても、サウジアラビアやイエメンといった当事国に加えて、利用国との間でも緊密に意思疎通を行って、安定の早期回復に向けた取り組みを強化していく。こういう考えであります。

湾岸地域の復旧復興、中東情勢の沈静化

(記者)湾岸地域の復旧復興についてお伺いします。今回の報道では、イランによる攻撃を受けた湾岸地域の復興支援を含めた経済強靭化に向けた議論をされております。2か国からはどのような支援に関心や期待が示され、日本政府として特に力を入れていくべきと考えましたでしょうか。支援の正式決定の時期や規模感について、現状の見通しがあれば教えてください。

(大臣)まず、湾岸諸国の復旧復興ついては、日本の技術者による支援をはじめ、すでに具体的な取り組みが始まっているところであります。その上で、今回、私から、中長期的な観点からも、湾岸諸国の経済・エネルギー強靭化を実現していくことが極めて重要であり、日本としても包括的な協力計画を今検討していると、このことを説明いたしました。サウジアラビア、そしてオマーンからですね、こうした日本の姿勢、また方針についてですね、高い評価が得られ、今後、具体的な分野について議論をしていくと、協議をしていくということにいたしました。湾岸各国において、エネルギー、そして海水淡水化、さらにはインフラ等の分野で各国のプロジェクト、これ進んでいると、このように承知をしておりまして、こういった点も念頭にですね、日本側の計画について、まあ規模感を含む、内容を固めてですね、然るべきタイミングで正式に発表したいと、こんな風に考えています。
 次に、中東地域の和平における日本の役割についてでありますけれど、我が国は中東各国とこれまでも長年にわたって強い信頼関係、これを築いてきておりまして、いずれの国、地域とも、いかなる状況でも対話を行うことができ、このことは日本の強みである、こんなふうに考えているところであります。若干長くなりますが、こういった点も踏まえて今年の1月にはイスラエル、パレスチナ、カタールを訪問し、中東和平に対する日本の役割を説明いたしました。また、イラン情勢については、今回の訪問に加え、これまで各国との間で電話を含めて80回近くの会談を行っておりまして、事態の早期鎮静化及び外交的解決に向けた連携・強化をしてきたということであります。
 我が国としては、現在、調停外交、この体制強化も進めているところでありまして、中東地域においても各国との信頼関係に基づく日本らしい役割の発見に向けて引き続き粘り強い努力、これを続けていきたいと、このように考えています。

プーチン大統領の北方領土訪問

(記者)日露関係について伺います。プーチン大統領の択捉島訪問について、日露間で様々な動きが出ていますけれども、今回の事案についての受け止めと、今後のロシアに対して対抗措置を含めて日本としてどのように対応していくのか、具体的な検討状況も含めてお聞かせいただければと思います。

(大臣)北方領土は、我が国が主権を有する島々でありまして、我が国固有の領土であります。今般のプーチン大統領による訪問は、このような北方領土に対する日本の一貫した立場と相容れず、極めて遺憾であります。今般の訪問を受け、日本政府として、高市総理からの発信に加え、私も駐日ロシア大使を外務省に召致をしまして、ロシア側に対して強く抗議をしたところであります。今後も、北方領土に関する我が国の一貫した立場に基づいて様々な機会を捉えてですね、ロシア側への働きかけを強化していきたいと考えております。また、我が国はこれまでもロシアに対して制裁をしっかり行ってきたところであります。その上で、ロシアに対する今後の対応のあり方については、日本の国益にとって何が必要か、この点を総合的に勘案しながら適時・適切に対応していきたいと思っております。当然ながら、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する、こういった日本の方針に変わりはないわけでありまして、そのために全力を尽くしていきたいと考えておりますし、特に北方墓参の1日も早い再開に向けたロシア側への働きかけ、これを粘り強く行っていきたいとこんなふうに考えております。

(記者)関連で伺います。先ほどロシア軍が北方領土の沖合を航行する戦艦の攻撃を想定したミサイルを発射する訓練を行ったと発表しました。これについての受け止めをお聞かせいただければと思います。

(大臣)ロシア側の発表は承知をいたしておりますが、必要な情報収集、これを現在行っているところであります。いずれにしてもミサイル訓練を含みます北方四島におけるロシアによる軍備の強化、これは北方四島に関する我が国の立場に反するものでありまして、受け入れられないと、このように考えています。

米国による赤根ICC所長に対する制裁の発表

(記者)トランプ米政権のICCの件についてお伺いします。トランプ米政権は国際刑事裁判所、ICCの赤根所長らを制裁対象に指定したと発表しました。日本政府はこれまで常設の国際刑事法廷であるICCについて一貫して支持してきています。今回の措置に関する大臣の受け止めと、日本政府として米国に対し措置の撤回を求めていく考えはありますでしょうか。

(大臣)ICCの赤根所長については、昨日、談話をすでに発表したとおりであります。米国に対して様々な働きかけ、これまでも行ってきたところであります。我が国は国際社会における法の支配、一貫して重視をしてきております。引き続き米国を含みます関係国との意思疎通を継続しつつ、しっかり対応していきたいと、このように考えています。


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