記者会見
茂木外務大臣臨時会見記録
(令和8年7月23日(木曜日)13時53分 於:マニラ(フィリピン))
1 冒頭発言
一昨日から3日間にわたりまして、ここマニラでですね、ASEAN関連含め、様々な会合、会議に出席をいたしました。これまでの成果について、簡単に私の方からまず述べたいと思います。
まず、日ASEAN外相会議、ASEAN+3外相会議、ARF閣僚会議については、大きく3点の成果があったと考えております。
一点目は、FOIPについてであります。一連の会議を通じて、FOIPの実現に向けて、要でありますASEANとの協力を一層強化することを、大きなメッセージとして伝えることができました。この中で、FOIPの進化について説明し、日本は、各国が「自律性」と「強靭性」を身につけるための協力を深め、「共に強く、豊かになる」ことを目指していく考えであることを伝え、ASEAN各国からも賛同が得られたところであります。また、ASEANの一体性・中心性及びAOIPへの日本の支持を改めて示し、AOIPを推進と主流化に向けた日本の強い意志をしっかりアピールできた、そのように考えています。
二点目として、日本が推進する幅広い分野での具体的な協力について、ASEAN各国から高い評価が得られました。特に、「パワーアジア」の下での地域のエネルギー供給体制の強化等を推進していくことや、 AZECの下での協力をさらに広げていくことを、私の方から説明をし、日本の取り組みに対する高い評価と、また大きな期待というものが示されました。
三点目は、地域、国際情勢に関する連携の確認であります。北朝鮮の核・ミサイル開発や拉致問題、東シナ海・南シナ海、ミャンマー、イラン、ウクライナといった諸課題について、日本の立場を明確に述べ、同志国をはじめとする多くの国と認識を共有することができました。特に力又は威圧による一方的な現状変更の試みは、東シナ海・南シナ海を含め、世界のどこであれ決して認められないこと、また、南シナ海情勢に関して、南シナ海行動規範(COC)がUNCLOSに沿ったものとなるよう強く期待することを強調いたしました。また、イラン情勢については、事態の早期沈静化とホルムズ海峡における追加的費用のない自由で安全な方向の重要性、多くの国との間で確認することができました。
バイ会談等ではですね、 このイラン情勢について、いろいろ質問がありましたので、私の方から、様々な形で電話会談等を行っていますので、それも含めて現状の見通し等はお話ししたところであります。
次に、日メコン外相会議では、エネルギー、越境犯罪、水資源管理、安全保障、連結性、この5つの優先分野の協力の取り組みを説明し、特に、地域の喫緊の課題である詐欺拠点対策については、各国の操作能力であったりとか、地域の連携の強化を確認したところであります。
最後になりますが、 CEAPADの閣僚級会合では、パレスチナに対する具体的な経済開発及び復旧・復興支援に焦点を当てて議論を行いました。日本はCEAPADを通じた支援の輪の拡大に力を入れておりまして、東アジア諸国のリソースであったりとか、これまでの発展の知見を活用し、パレスチナの「国づくり」に貢献するというCEAPADのアプローチの重要性、改めて国際社会に対してしっかり示せた、こんなふうに考えております。アジアの国々がCEAPADに参加をしております。非常に日本のリーダーシップで、こういった枠組みができて、自分たちの国が参加できて嬉しい。こういう発言が相次いだところであります。
マルチの会談と言いますか、大きな会議はここまででありますが、 二国間会談等につきましては、すでにそれぞれ会談後に公表させていただいておりますが、まず、マルコス・フィリピン大統領の表敬を皮切りに、日米豪印外相会合(QUAD)、そして日米韓の外相会合も実施をいたしました。また、米国、トルコ、パレスチナ、UNRWAからの出席者との間での議論を行ったほか、新たに就任をした、就任4日後ということですが、英国のミリバンド外相とも会談を行いました。この後、フィリピンのラザロ外相とも会談を行う予定であります。
一連の会議への出席を通じて感じたことがありますが、ASEAN側の日本に対する期待の大きさ、改めて実感をしたところであります。信頼のパートナーであります日本とASEANの間で、今後もこの信頼関係、一層深め、協力を様々な分野で具体化していきたいと、こんなふうに考えております。
今回のですね、ASEAN関連外相会合の出席、これはFOIPの実現に向けて、ASEANであったり、同志国との協力を一層強化し、地域の平和と安定、繁栄に貢献していくという日本の姿勢を力強く示す上で、非常に有意義なものとなったと考えております。私からは以上です。
2 質疑応答
イラン情勢
(記者) 冒頭、「パワーアジア」に対する言及がありましたが、東南アジアにも影響を与えているイラン情勢について伺います。米兵の犠牲が出たことで、米イランの対立は激化しています。ホルムズ海峡解放の見通しや不透明なことを踏まえ、このASEAN関連会合に際して各国からどのような懸念が伝えられ、日本として今後どのような役割を果たしていくお考えか伺います。よろしくお願いします。
(大臣) まずパワーアジアについて非常に評価が高かったということと、イラン情勢は不透明でありまして、どうなっていくのか、こういう、ある意味、質問等々が出たところであります。7月の初旬以降ですね、中東情勢をめぐって軍事的な衝突、これが高まっておりまして、イランにおります民間船舶に対する攻撃を含めてですね、米イラン間の攻撃の応酬にまた至っていく。このことは日本としても深刻に懸念をしております。こういった思いを多くの国が持っているんだと、そんなふうに感じるところであります。こういった状況を踏まえてですね、先ほど申し上げた通り、今般のASEAN関連外相会合においては、多くの国との間で、私から事態の沈静化及びホルムズ海峡における追加的費用のない自由で安全な航行の重要性、これを強調し、そのために緊密に各国で連結していくことを確認したところであります。日本経済にとっても極めて重要なホルムズ海峡を含めて、中東地域全体の平和と安定のため、引き続き、米イラン間の話し合いに必要な環境情勢にも最大限努めていきたいと考えています。
日中関係
(記者) 日中関係についてお伺いします。今回、日本と中国の外務大臣が同じ国際会議に揃って出席することになった機会でしたけれども、中国の王毅外相との間で非公式な場でもお話しされるなどのやり取りはありましたでしょうか。やり取りがあった場合はその詳細について、仮にやり取りがなかったということであれば、厳しい日中関係の現状と今後の政府の対応についてお伺いしたいと思います。
(大臣) 昨日の正午ごろだったと思いますけれど、会場内におきまして、王毅外交部長と短時間ですね、挨拶を任す機会がありました。二国間関係についてですね、話をしたところであります。これ以上については外交上のやり取りがありますから、コメントは差し控えたいと思います。
(記者) 王毅さんとの挨拶についてなんですけれども、やりとりの時間は何分くらいだったんでしょうか。また、日本語で行われたのか、中国語で行われたなど、その辺の詳細はいかがでしょうか。
(大臣) 時間は短時間でありました。それから、通訳を入れずにやりました。
(記者) 今回、大臣と王毅さんが一緒に出席する会議というのはなかったわけで、そもそも接触するタイミングというのは非常に限られていたと思うんですけど、そうした中でも 対話が実現したということで、これについての率直な受け止めと、今後の展望といいますか、日中関係どうなっていくかについて、展望を伺えるかなと思います。
(大臣) 一昨日のガラディナー、王毅外交部長、いらっしゃらなかったですが、昨日たまたまですね、ちょうど一連の会合、日ASEANの前が中ASEANの会合をやっていまして、そこですれ違うという形でですね、接触の機会、これがあったということであります。日本としてはこれまでもですね、あらゆるレベルの対応についてはオープンである、こういったことを申し上げてきました。同時に、地域の平和にとってですね、日本、中国は 大きな役割を負っているわけでありまして、しっかりこれからも対話を続けていくということは極めて重要だと、このように考えです。
日露関係・日朝関係
(記者) 続いて、ロシアについて伺います。ラヴロフ外相と非公式な場も含めて個別のやりとり、接触はありましたでしょうか。また、経産省、外務省の幹部の派遣や学生交流で関係維持の動きも出ておりますが、今後の日露関係をどう進めていくお考えでしょうか。あわせて、北朝鮮の出席者と接触があったかについてもお伺いさせてください。お願いします。
(大臣) 北朝鮮からですね、出席者、これはなかった。今、ARFの会合も終わったところでありますけれど、北朝鮮の席は空席の状態、こういう形でありました。一方、ロシアでありますけど、一昨日の晩、ガラディナー、フィリピンの外相主催の夕食会がありまして、その際、短時間ですね、ラヴロフ外相とですね、挨拶を交わす機会がありました。旧知の中でありまして、二国間関係であったり、地域情勢について話をしたところであります。日露関係、厳しい状況にはなりますが、ロシアは我が国の隣国であります。ご指摘の政府間の意思疎通であったりとか、文化交流、人的交流を行っていくことも含めてですね、 二国間関係を適切にマネージしていく、このことが重要であると考えております。引き続き、我が国の外交全体において、何が我が国の国益に資するか、こういう観点から適切に対応していきたいと考えています。
(記者)旧知の中というお話がありましたけれども、話しかけたのはどちらからやられたんでしょうか。
(大臣) お互いこういうものは阿吽の呼吸でですね、そういう会場で話しかけるんだと思います。 なんていうか、こういうふうに色んな人がいますからね。目が合えば話をすると。
