記者会見
茂木外務大臣臨時会見記録
(令和8年7月7日(火曜日)20時12分 於:アンカラ(トルコ))
冒頭発言
NATO首脳会合が開催されている、トルコのアンカラを訪問しております。明日、ドイツの外務大臣との外相会談が残っておりますが、ほぼ全ての日程を終わりましたので、その概要についてご説明したいと思います。
欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であり、国際社会が直面する課題に適切に対応するためには、地域を越えた対応の一層の強化が不可欠であります。NATO首脳会合の機会を捉えて、同志国との間でこうした認識を共有し、更に連携を推進するため、関連会合への出席や各国との会談に今日臨んだところです。
具体的に申し上げますと、今日は、ルッテNATO事務総長とインド太平洋パートナー(IP4)との会合に出席したほか、日米韓外相会合及び日米、日韓の外相会談、さらには、日クウェート外相会談、日EU外相会談、を行いました。
まず、ルッテNATO事務総長とIP4との会合では、私から、ウクライナにおける露朝軍事協力に見られるように、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であることを強調し、東アジアの厳しい安全保障環境も説明した上で、IP4とNATOが結束を確認できることは大変意義深い旨述べました。
他の出席者からも、両地域が直面する厳しい安全保障環境について言及があり、NATOとIP4の間の具体的な協力をさらに積み重ね、連携を強化していくことで一致しました。
日米韓外相会合では、日米韓を取り巻く戦略環境が厳しさを増す中、三か国が結束を強化し、戦略的連携を示し続けることの重要性を再確認いたしました。また、日米韓の行動志向の議論が、今回署名した小型モジュール炉(SMR)の協力に関する覚書といった具体的な成果につながっていることを歓迎したところです。
引き続き、北朝鮮への対応、地域の安全保障やグローバルな経済安全保障といった分野を始め、日米韓協力の裾野を更に広げていきたいと考えております。
また、日米韓外相会合の機会に、米国のルビオ長官とも個別に会談を行いました。イランをめぐる情勢について、私から、ホルムズ海峡における追加的な費用のない自由で安全な航行が確保されることの重要性を強調しました。ルビオ長官もまったく同じ意見でありました。また、中国をめぐる諸課題を含め、インド太平洋の地域情勢などについても意見交換を行ったところです。
また、韓国のチョ・ヒョン外交部長官との間では、日韓・日米韓の戦略的な連携の重要性について議論し、日韓両首脳間の「シャトル外交」の積極的実施を含め、両政府間で引き続き緊密に意思疎通していくことで一致しました。
クウェートのジャッラーハ大臣との間では、これまでも電話会談を通じて意思疎通を重ねてきましたが、今回は初めて対面で会談を行い、両国間の「包括的・戦略的パートナーシップ」の下、エネルギー分野を始め、それにとどまらず幅広い分野で具体的な協力を進めていくことで一致しました。
また、イラン情勢についても率直に議論し、ホルムズ海峡の通過に関するいかなる費用の徴収にも反対するとの立場で両国が一致していることを再確認をしたほか、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
次に、3月の戦略対話に続いて会談を行ったEUのカッラス上級代表との間では、価値観を共有する日本とEUの協力を着実に進めていくことで改めて一致を見たところです。
また、この機会に、EUの産業加速化法案や鉄鋼措置についての我が国の懸念についても率直に伝え、経済・通商分野での同志国連携の重要性を改めて指摘しました。
総じて、欧州・大西洋、インド太平洋、中東の首脳・閣僚が一堂に会するこのNATO首脳会合の場で、進化した「自由で開かれたインド太平洋」も含めて、我が国の考え方をしっかりと説明し、議論を深め、同志国との間で連携の重要性を確認することができたと感じています。
明日の朝には、最後に残っておりますドイツのヴァーデフール外相との間で会談を行う予定です。NATO加盟国であるとともに、G7の重要な同志国であるドイツと、これまでの議論も踏まえて、更なる連携強化のあり方や緊迫化する地域情勢について、率直な意見交換を行いたいと考えています。
忙しい1日でしたが、充実した会談をそれぞれ行うことができたと思っておりますし、インド太平洋と欧州・大西洋の安全保障環境、これは不可分であるということについては、それぞれの会談でも強調させていただいて、更にはイラン情勢の問題、そしてまたインド太平洋の安全保障環境等について、改めて認識の確認をすることができる会合を重ねることができたと思っております。私からは以上です。
2 質疑応答
アンカラ訪問の成果について
(記者)大臣から今ご発言がありましたように、NATOのルッテ事務総長やIP4代表らとの会合では、具体的にどのような意見交換がなされたのでしょうか。会合を踏まえて、改めてこのIP4の枠組みの重要性、特に中国を念頭にどのようなやりとりがあったかもお伺いします。また、先ほど日米韓の会合も行われましたが、6日に中国が戦略原子力潜水艦から太平洋へ潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射したことについても話題に上がったのでしょうか。日本側からはどのような認識を伝え、またアメリカや韓国からはどのような認識が示されたのかもお伺いいたします。
(大臣)ルッテNATO事務総長とIP4の会合では、ロシアによるウクライナ侵略、現下の中東情勢、中国をめぐる諸課題、更には北朝鮮への対応を始めとするインド太平洋情勢を含め、率直な意見交換を行うことができました。
ウクライナにおける露朝軍事協力に見られるように、先ほど申し上げましたが、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分です。NATOとIP4の間で実務的な協力を積み重ねていくことが重要であるとの認識の下、防衛産業協力、サイバー、更にはテクノロジーといった分野で更に連携を強化していくことで一致を見ることができました。
そして、中国の軍事活動が活発化している中での昨日のミサイル発射については、それぞれの会談で我が国及び地域の安全保障の観点から懸念を提起いたしました。
その上で、外交上のやり取りの詳細については控えたいと思いますが、ご質問の日米韓外相会合においては、中国をめぐる諸課題に関しても、率直に意見交換を行い、昨日のミサイル発射についても懸念を3か国の間で共有いたしました。
引き続き、インド太平洋地域情勢について、同盟国・同志国とも緊密に意思疎通・連携していきたいと考えております。
