記者会見
茂木外務大臣臨時会見記録
(令和8年5月26日(火曜日)12時41分 於:デリー(インド))
冒頭発言
今回のインド訪問、昨晩のジャイシャンカル外相との会談から始まりまして、かなりタイトというか慌ただしい日程でありますけれど、皆さんにしっかりフォローしていただき、ありがとうございます。
まず、今般の日米豪印外相会合、これは価値を共有し、地域の課題を解決する意思と能力を有する日米豪印の外相が、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて実践的な協力を力強く進めていくことを確認する大変良い機会となったと思っております。私からは、先般高市首相が発表したFOIPの進化、特に各国の自律性・強靱性を強化していく重要性について説明しました。その上で、四大臣は、東シナ海・南シナ海情勢を含みます地域・国際情勢に係る戦略的な認識のすり合わせを行い、力又は威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対することで一致いたしました。重要鉱物の輸出規制についても、深刻な懸念を共有しました。また、核・ミサイル問題及び拉致問題を含む北朝鮮への対応から、中東情勢まで、多岐に渡る議論を行ったところであります。
特に、今回立ち上げました「エネルギー安全保障イニシアティブ」は、イラン情勢がエネルギー供給の観点からも、インド太平洋に重要な影響を与える中で、時宜を得た取組だと考えております。我が国の「パワー・アジア」とも連携させていきたいとこんな風に考えています。また、同じく今回立ち上げました「重要鉱物イニシアティブ枠組み」は、喫緊の課題であります重要鉱物のサプライチェーンの強靱化の観点から非常に重要な取組であると考えております。こうした取組は、日米豪印が単なる議論の場ではなく、FOIPの実現、地域の自律性・強靱性の強化に貢献する具体的な協力を進める枠組みであることを示しています。昨年7月の前回会合以降積み上げてきた協力を具体的な成果として打ち出すことができたと考えております。今後も、具体的な協力を着実に進めていく考えであります。
今回、インド訪問、QUADに対しましてインド、米国、そしてオーストラリアのそれぞれの外相とバイ会談を行いましたが、バイ会談の結果につきましてはすでに発表しておりますので、それをご覧いただければと思います。私からは以上です。
質疑応答
日米豪印外相会合開催の意義、首脳会合への取組
(記者)今回のQUAD外相会合をこのタイミングで開催することができた意義と、今大臣からご紹介のありました重要鉱物とエネルギーのイニシアチブをはじめ、成果あったと思います。こうした内容、成果が出たことに対しての大臣としての受け止めを改めてお願いいたします。また、QUAD首脳会合開催に向けての環境整備、こちらについて今回の協議で進んだのかどうか、その成果についてお聞かせください。
(大臣)まずタイミングということから申し上げますと、2つの意味があると考えております。まず、今般の外相会合では、国際秩序の構造的な変化に直面する中でありまして、東シナ海・南シナ海、北朝鮮、中東情勢を含む地域・国際情勢に係る戦略的な認識のすり合わせを行う、こういう場になったということであります。そしてもう一つ、進化した「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」、まさに今月の初めに発表したものでありますが、この実現に向けて、日米豪印が着実に進めてきた協力の成果について確認するとともに、今後のあり得べき具体的な協力について議論を行う機会にもなったと考えております。
具体的に申し上げますと、1つは外相共同声明、2つ目にファクトシート、そして個別案件に係る文書として、インド太平洋エネルギー安全保障に関する日米豪印声明、そして4つ目に重要鉱物イニシアティブの枠組みと、これまでの取組と今後の方向性を先ほど発表させていただきましたが、4つの成果文書としてまとめることができたわけであります。
次回の首脳会合の日程等につきまして、今決まっているわけではありませんが、本日の外相会合において、首脳会合の開催への期待を四大臣が表明したところであります。あり得べき首脳会合も見据えて、外相間でしっかりとコミュニケーションを取ったところであります。引き続き4か国で緊密に連携していきたいと考えています。
FOIP実現に向けた日米豪印の役割
(記者)政府の掲げる「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現には、同志国連携が重要だと思います。日本としてこの4か国の枠組みを、今後どのように主導していくか、また、日本に求められている役割についてどのようにお考えか教えてください。
(大臣)日米豪印は、冒頭でも申し上げましたが、基本的な価値を共有し、そして地域の課題を解決する意思と能力をもった4か国でありまして、日米豪印が連携をして「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて、幅広い分野で、何度も強調しておりますけれども、実践的な協力を進めていく枠組みであると考えています。今般の外相会合でも、このような観点から単に議論をするのではなくて、具体的な協力を力強く推進していくことで一致したところであります。
地域の様々な状況を考えたときに、日米豪印を中心にして各国に対してより安心できる、そしてまた、よりそれぞれの国が裨益するような選択肢を提供する、このような役割も日米豪印が果たしていく必要があると考えております。特に、今般の会合で私から説明したFOIPの進化、そして地域の自律性・強靱性の強化の重要性については、本日発表されました外相共同声明でも明確に示されていて、明記をしたところでありまして、日本として日米豪印の取組の今後の方向性を示す上で、しっかりした貢献ができたと考えております。引き続き、日米豪印で連携しつつ、地域の自律性・強靱性の強化に貢献する具体的な協力を着実に進めるとともに、日本としてFOIPの実現に積極的に取り組んでいくと考えております。
日米外相会談
(記者)日米バイ会談に関連してお聞きします。ルビオ国務長官との会談の中で、先日行われた米中首脳会談の結果について何か説明はありましたでしょうか。また、会談の中で台湾問題に関して話題にのぼったのかあわせてお伺いいたします。
(大臣)説明はありました。外交上あまり詳細なことは控えたいと思いますが、その上で、中国をめぐる諸課題を含め、インド太平洋の地域情勢や、安全保障環境などについて意見交換を行いました。そして、その中で台湾海峡の平和と安定の重要性を改めてルビオ長官との間でも確認いたしました。トランプ大統領の訪中直後に行われた日米首脳電話会談や今回のルビオ長官との会談も踏まえ、今後とも、インド太平洋地域全体の平和と繁栄に向けて、米国と緊密に連携していきたいと考えております。
日印関係
(記者)日印関係についてお伺いします。茂木大臣は今年2度目の訪印で、ジャイシャンカル外相との会談は電話を含めて3度目になります。首脳が往来するシャトル外交では今年は高市首相がインドを訪れる年ですが、今後の日印関係発展の方向性についてお考えを伺います。また、中東情勢を踏まえたエネルギー安全保障の点で、二国間協力の具体的なお考えがあればそれもお聞かせください。
(大臣)ジャイシャンカル外相、ジェイと呼んでおりますけれど、今年は3回ですけれどそれ以前にも何回にも渡り、会談を行ってきておりまして、信頼関係や、また認識も十分に共有できていると考えております。
インドは「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」実現に向けて極めて重要なパートナーであり、特別戦略的グローバル・パートナーシップに基づく戦略的関係を強化していきたいと思っております。
そして、今般、ジャイシャンカル外相との間で、報道発表しておりますが、「日印共同ビジョン」に基づき、安全保障、経済・投資・イノベーション、人的交流の3つの柱で、相互補完的な関係を構築していくこと、具体的に例えば半導体であったらどうするとか、様々な分野についても議論させていただきました。そのうえで喫緊の課題である経済安全保障協力や、投資やイノベーションを通じた経済成長に向けた協力を加速していくことで一致したところであり、こうした方向性で協力を深めていきたいと考えております。
インドは圧倒的な人口、マーケットをもっています。また、デジタルをはじめ優れた技術をもっております。一方で、インドが持っていなくて、日本が持っている様々な技術であったり、ノウハウや製品もあるわけで、そういった意味でまさにインドとの間ではウィンウィンの協力関係を作ることが可能であると考えておりますし、そのための取組を進めていくと、一致したところであります。また、中東情勢を踏まえたエネルギー安全保障分野における協力についても、「パワー・アジア」も踏まえ、アジア地域のエネルギーや重要資源の安定供給のために連携していく考えであります。
首脳の往来、これも極めて、こういった日印関係を強化していくうえで重要だと思っております。今度は、高市総理がインドを訪問する順番になると思っておりますが、日程等について決まったものは今のところありませんが、しっかりと今後インド側と調整していきたいと思っております。
