記者会見

茂木外務大臣臨時会見記録

(令和8年3月27日(金曜日)18時31分 於:パリ(フランス))

冒頭発言

 6つのセッションがG7外相会合で行われまして、既に貼り出しをしておりますが改めて概要について、まず私の方からお話をさせていただきたいと思います。今回のG7外相会合では2日間にわたりまして、現下の緊迫したイランをめぐる中東情勢に加えまして、ウクライナ、インド太平洋などの地域情勢、さらには地域横断的な海洋安全保障や経済安全保障など、国際社会が直面する諸課題について、G7各国、そしてセッションによっては招待国の外相との間で突っ込んだ意見交換を行ったところであります。
 まず、中東情勢についてでありますが、この議論では私から特に、ホルムズ海峡における全ての船舶の航行の安全確保が、国際社会全体にとって喫緊の課題である。この旨を強調させていただきました。エネルギーの安定供給を確保して、世界経済への影響を抑えるため、国際的な取組であったりとか、イランへの個別の働きかけ、私もアラグチ外務大臣とは2度にわたって電話会談等も行っておりますが、こういった個別の働きかけ。また、先般決定いたしました石油備蓄の共同放出。日本は世界に先駆けて、放出を決定いたしまして、量におきましても米国に次いで世界第2位ということでありまして、こういった協調放出などあらゆる取組を行っていく旨を述べたところであります。また、G7外相で、つい先ほどイランに関するG7外相声明を発出したところであります。
 ウクライナ情勢につきましては、公正かつ永続的な和平を実現すべく、G7として緊密に連携していく、このことを改めて確認いたしました。私からは、力による一方的な現状変更の試み、これは世界のどの地域においても許してはならないこと、G7を含む関係国が結束してウクライナを支えていくということが不可欠である旨を述べたところであります。また、官民一体の復旧・復興を含みます我が国のウクライナ支援の取組、これについても紹介をさせていただきました。
 インド太平洋情勢につきましては、G7の中でアジアから参加しているのは日本だけ、G7のメンバーとなっているのは日本だけでありますから、私から日中関係を含めて最近の中国をめぐる情勢について日本の立場を説明したほか、北朝鮮について完全な非核化の重要性を強調したところであります。加えて、私から拉致問題の即時解決。これはいつも、G7に協力をしていただいておりますけれど、改めて理解と協力を求めたところであります。
 そして、海洋安全保障や重要鉱物サプライチェーンなどの横断的なテーマについてもかなり時間をかけて議論を行いました。海洋安全保障については、私からホルムズ海峡を含む海上輸送路の安全確保の必要性を強調いたしました。また、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の下で、我が国の取組について紹介したところであります。さらに、重要鉱物のサプライチェーンの強靭化の重要性、これを強調し、供給を多角化する、そして適切な市場の形成に向けた取組を強化することの必要性を訴えました。これらについて、G7で引き続き連携して対応していくことを確認しました。
 また、今回のフランス訪問の機会、G7の機会を捉えまして、日仏、日英、日独の外相会談、そして第3回目となります日EU外相戦略対話を開催いたしました。また、パリに戻り、ユネスコ本部を訪問して、新たに就任したエルアナーニー・ユネスコ事務局長とも会談を行ったところであります。2日間にわたり、国際社会が直面する諸課題についてじっくりと議論を行う中で、幅広い分野で、安全保障環境が一層厳しさを増しているという認識を共有することができました。その上で、G7をはじめとします同志国間で緊密に意思疎通を行い、連携を強化していくことがますます重要になっていることを確認させていただきました。
 最後に、G7議長国フランスのバロ外相の温かいおもてなしに感謝したいと思っております。私からは以上です。

G7外相会合の成果、FOIP進化

 (記者)今、言及あったことと一部重複している部分がありますけれども、アジア唯一のG7メンバーとして、今回インド太平洋に関する分野でG7の関与についてどのような議論をして、どのような成果が得られたのか詳しく伺えればと思います。高市政権はFOIPの深化を掲げていますけれども、実現に向けて各国とどのように連携していくお考えなのかも併せて伺います。

 (大臣)先ほど申し上げたように、G7のアジアで唯一のメンバー国ということで、中国や北朝鮮の情勢については、私が中心になって発言をさせていただいたところであります。その上で、ホルムズ海峡を巡る情勢も踏まえて、航行の自由を含みます海洋安全保障、これは最重要テーマの一つであったと考えております。こういった観点も踏まえて、私からは自由、開放性、法の支配といった「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の原則を強調いたしました。その上で、特に海洋安全保障に関する議論ではFOIPの下で行っております地域の能力構築支援といった取り組みについて紹介をして、各国の更なる連携を求めたところであります。議論全体を通じて、こうした日本の考え方や基本的な立場について、G7、さらには招待国の理解が深まったとこんな風に考えております。
 FOIPについてはご案内のとおり提唱から今年でちょうど10年ということでありまして、この間、先ほども申し上げたように、経済安全保障であったり、新興技術をめぐる国際競争が激化をし、国際社会が直面する課題も多様化・複雑化をしているわけでありまして、こうした変化に対応するべく、FOIPを戦略的に進化させる必要がある、そんな風に考えております。

イラン情勢

 (記者)まず、米国とイスラエルによるイランへの軍事作戦が始まってから明28日で1か月となりましたが、その受け止めをお願いします。また、冒頭大臣からも言及がありましたけれども、G7外相でイランに関する声明を発出したというお話がありました。今回のG7外相会合で、イラン情勢の事態の沈静化に向けて、具体的にどういった成果が得られたかというところを改めてお考えをお聞かせください。

 (大臣)イラン情勢に関しては、攻撃の応酬が1ヶ月続いているわけであります。この間、周辺国を含めて人的・物的被害が拡大し、エネルギーの安定供給への懸念が高まっている。実際に原油価格等々も値上がりしているということを深刻に受け止めております。そして今、何より必要なことは事態の早期沈静化を図っていくことであります。このことにつきましては、会議の中でも私の方から強調させていただきましたし、多くの国というか全ての国がやはり事態の早期沈静化の重要性については考えを共有できたと思っております。今回のG7外相会合ではイランをめぐる情勢についてこういった議論を行ったところでありますけれど、特に私からは、ホルムズ海峡においてすべての船舶の航行の安全を確保することが急務である旨強調いたしまして、そのために我が国が行っている国際的な取り組み、共同声明の発出であったりとか様々なことをやっております。また、イランへの直接の日本としての働きかけについて各国に説明いたしました。米国を含む他のG7からも同様に各国の取組や立場について紹介があったところでありますが、基本的なスタンスについて、それぞれの国の間で齟齬があるということはなかったと思っています。ホルムズ海峡の航行の安全確保は、世界経済への影響も鑑みて、単に当事国だけでなくて、国際社会全体で取り組む必要がある課題だと考えており、こういった点について、G7を含む関係国と引き続き緊密に意思疎通をしていくことで一致したところであります。

経済安全保障の強化

 (記者)経済安全保障の観点での今回の会合の成果について伺います。今回の会合では全体のセッションとともに、大臣自身二国間会談の中でも経済安全保障の需要性、又は連携の強化について伝えました。一連の会合を通じて経済安全保障の強化についてどのような成果が得られたか、同様にその意義について、お考えをお願いします。

 (大臣)サプライチェーンの強靱化や経済的威圧への対応を含め、経済安全保障の課題への対応、これは一層重要な課題となっていることは間違いないわけであります。とりわけ、現状の重要鉱物をめぐる厳しい状況下において、その安定供給は世界経済の安定的な発展に不可欠でありまして、重要鉱物、レアアースからはじまって、部品を作る、そして最終的には製品にしていく、このようなサブライチェーンの中で、いろんな国に影響が及ぶ問題であると、具体的な例を含めながら説明をして、各国の理解も得たところであります。さらに、今回、インド、ブラジル、サウジアラビアといったグローバルサウスを代表する国々が招待国でした。その中で重要鉱物のサブライチェーンを、G7、さらには同志国、そして今申し上げたようなグローバルサウス、それぞれの国は、例えば採掘ができる国、また、加工・精錬について技術を持っている国、それぞれありまが、しっかり連携しながら、サプライチェーンの強化に取り組んで行こうということができたことが、大きかったのではないかと考えています。


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