記者会見

茂木外務大臣臨時会見記録

(令和8年1月16日(金曜日)16時12分 於:ニューデリー(インド))

冒頭発言

【茂木外務大臣】まだ明日も日程も残っておりますけれども、1週間にわたります今回の外国訪問の所感、これを含めてお話をしたいと思います。
 既存の国際秩序が大きく揺らぐ中、同志国との連携、さらにはグローバル・サウスの国々との関係強化がかつてなく重要になっています。こうした思いから、昨年10月に外務大臣に就任してから、初の二国間訪問先として、イスラエル・パレスチナ、カタール、フィリピン、そしてインドを訪問いたしました。
 イスラエル及びパレスチナについては、先日の記者会見でもお伝えしたとおりでありますけれど、これまで両者との間で良好な関係を築いてきた日本として、中東和平の実現に向けて、イスラエル・パレスチナの双方にやるべきことがあるという日本の考え方を率直に伝えつつ、ガザ復興に向けた国際社会の動きが本格化をしていく中、「平和を支える取組」の3本柱といった日本ならではの取組について、当事者に直接、日本の考え、そして日本の取組を伝えることができました。また、日本がイスラエル・パレスチナの双方から信頼をされているということを改めて実感したところであります。
 友達として率直に意見を言いたいということに対して、非常にしっかりと受け止めてくれた、こんな風に考えております。
 ガザ情勢をめぐる重要な仲介の役割を果たしているカタール、次の訪問先でありますけれども、カタールでは、旧知の仲であるムハンマド首相兼外務大臣との間で、中東情勢を中心に率直な議論を行ったほか、経済・エネルギーにとどまらず様々な分野での二国間関係を発展をさせていくことで一致をいたしました。
 出張の後半、アジアの方に入るわけですが、フィリピン及びインドでは、力による一方的な現状変更の試みや経済的な威圧が続く中、もしくは強化をされる中、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けて重要なパートナーであります、フィリピン、インド両国との間で、現下の厳しい地域情勢、国際情勢について、認識の共有を行いました。その上で、日米フィリピンであったり、日米豪印、こういった枠組みも含めて、今後の連携を確認をいたしました。
 国交70周年を迎えるフィリピンでは、ACSAやOSAの交換公文への署名を行い、安全保障や海洋分野での協力の一層の進展を歓迎しつつ、地域の平和と安定に向けて更に連携を深めていくことで一致をいたしました。また、防災分野といったこれまでの協力に加えて、経済安全保障分野での協力の必要性、こういったものも確認することができました。重要鉱物であったりとか、また、半導体の分野、こういったものが入っていると思います。
 本年、フィリピンはASEAN議長国を務めておりまして、対ASEAN外交を進めていく上でも、非常に良いスタートを切ることができた、こんな風に考えています。
 インドでは、昨年8月のモディ首相訪日のフォローアップとして、特に経済安全保障協力とイノベーションを通じて、経済成長を確保する観点から、議論を深めることができました。モディ首相との会談、最初30分を予定しておりましたが、大幅にオーバーして50分位やりました。その後、ジャイシャンカル外相との間では2時間以上やったのですけど、「民間経済安全保障対話」の開催や「鉱物資源に関する共同作業部会」の立上げについて一致をいたしました。IT分野では、「日印AI戦略対話」を立ち上げることにも一致しました。
 さらに、来年2027年が日本とインドの国交正常化、国交樹立75周年、この節目にあることを踏まえて、日印間の交流をさらに深めるために、来年2027年日印国交正常化、国交樹立75周年とすることで一致をしたところであります。ここで、ジャイシャンカル外相との間でもそうですけど、モディ首相との間でもこの話はさせていただきました。
 今回の訪問を通じて、同志国及びグローバル・サウスの国々との間で、これまで日本が行ってきた連携や貢献が日本への期待につながっていること、そして、厳しさを増す国際情勢の中で、国際秩序の維持に向けて更なる協力の余地が大きい、まだまだポテンシャルがある、ということを強く認識したところです。
 今年2026年も「力強く、視野の広い外交」を積極的に展開していきたいと思います。この決意を新たにし、外交の最前線で私自身も引き続きしっかりとリーダーシップを発揮していきたい、そんな風に思っています。
それぞれの地域で、現地の大使館、大使、そしてスタッフの皆さん、それから東京から同行してくれた外務省の職員、事前の準備もそうでありますけれど、いろんな形でサポートしてくれた、そのことにも感謝をしております。
 私からは以上です。

質疑応答

日米比、日米豪印

【記者】米国が西半球重視の姿勢を強める中、フィリピンでは日米比、インドでは日米豪印の枠組みについても議論が行われたと思います。インド太平洋地域に米国のコミットメントを維持していくために、今回の外遊の成果を踏まえ、今後どのような日本の役割を果たしたいと考えるか伺います。

【大臣】米国、西半球重視、こういう姿勢ということでありますけれど、同時に文書の中にはインド太平洋地域への関与、こういったことも明確にさているのではないかと考えておりますが、フィリピンとインドは、我が国と基本的価値を共有し、さらには共通の課題にも直面しているパートナーであります。
 現在、インド太平洋地域において、力や威圧による一方的な現状変更の試みが継続、そして強化されていることを踏まえて、今回の訪問では両国との間で、二国間の取組はもちろんでありますけれども、米国を含む日米フィリピン、さらには日米豪印、こういった同盟国・同志国連携を一層深化させることの戦略的重要性についてもそれぞれ議論し、認識を共有することができたと考えております。
 インド太平洋地域の平和と安定は、国際社会にとっても非常に重要であります。ご案内のように、人口から見ても経済から見ても、世界の半分以上を占める地域ということでありまして、極めて重要な地域であると思っております。このような考えの下、米国との間でも累次の機会にわたって、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」という共通の目標に向けた協力、確認をしてきているところであります。我が国として、引き続き、米国、フィリピン、インドを始めとする関係国と緊密に連携して、地域の平和と安定の確保に取り組んでいきたい、こんな風に考えております。

FOIP10周年

【記者】今年は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」構想の10周年の節目です。中国は覇権主義的な動きを強め、尖閣諸島への圧力を続けるなかで同様に領土問題を抱えるフィリピン・インドでの議論を踏まえ、どのように構想を進化するお考えか教えてください。

【大臣】「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」は、インド太平洋地域において、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持・強化することによって、地域全体、ひいては世界の平和と安定、繁栄を確保していくというビジョンであります。
 10年前にちょうどFOIPを提唱したわけでありますが、当時と比べても、国際情勢、さらには安全保障環境は一層厳しさを増しているのが事実であります。また、経済安全保障や新興技術をめぐる国際競争等、新たな課題というのも、この10年間の中で浮かび上がり、また、それが大きくなってきているということでありまして、こういった時代の変化に対応し、最もふさわしい形でFOIPを進化させる必要がある、こんな風に考えているところであります。
 こうした点も踏まえて、今回のフィリピンやインドでの訪問、そして、首相や外相との会談におきましては、地域連結性、海洋安全保障、経済安全保障を含む経済分野などでの協力について、有意義な議論をすることができた、こんな風に思っております。
 今後、こうした関係国との議論も踏まえながら、FOIPの進化についてより具体的な検討を進めていきたい、こう考えております。

ODAの狙い

【記者】最終日となる明日にはデリーメトロを、また、フィリピンのマニラでは治水事業と、ODAの現場にも今回は足を運ばれたと思います。改めて相手国への支援の外交上の狙いをお伺いいたします。

【大臣】明日、インドのデリーメトロを視察する予定でありますし、14日に視察したフィリピンの河川改修事業のような質の高いインフラの整備、これによって、相手国も非常に刺激を受けている。この全体の河川事業、防災対策が終わっているわけではありませんけれど、現在進んでいる中で言いましても、被害がこのODAの事業が始まる前と比べると、15%軽減され、さらには、被災する人の数も100万人から3万人ということですから、97%減少するということでありまして、こういった事業を、日本が優れた技術によって、また、マンパワーによって、フィリピンと協力しながら進めているということにつきましては、高い評価、感謝の声をいただいているところでありますし、FOIPの実現に向け、重要なパートナーであるインド、フィリピン両国ともさらに協力していきたい、こんな風に考えております。
 これらの取組のように、もちろん、これらに限った訳ではありませんけれども、防災事業もそうでありますし、連結性の強化もそうでありますし、さらには、能力構築、そして、人材育成、日本のODAによって国際社会の平和と繁栄に貢献するとともに、日本への信頼を積み重ねていくことは、我が国の平和や安定、そして、国際社会で日本がさらに存在感を高めるといった国益にもつながる、そして、我が国が掲げるFOIPの実現にも資するものであると考えておりまして、今後も相手からのリクエストだけでなく、オファー型も含めてODAを戦略的・効果的に活用し、経済安全保障等の重要課題の対応であったり、グローバル・サウスとのきめ細かい協力、こういったものを進めていきたい、こう考えております。

衆議院解散の外交への影響

【記者】高市総理が先日、通常国会の早期に衆議院を解散することを与党幹部に伝えました。中国との関係改善が進んでおらず、米国はベネズエラやイランを巡り活発な外交を展開する中で、日本が政治空白をつくることになりますが、外交当局としてどのように受け止めるか伺います。

【大臣】衆議院の解散につきましては、総理の専権事項でありますから、コメントは控えさせていただきたい、お答えするのは控えさせていただきたいと思っているところでありますが、その上で申しあげますと、どのような状況であっても、外交の停滞が生じることがないようにしたいと思っています。前々回の衆議院選挙の時に外務大臣でしたけれど、初日にですね、北朝鮮が弾道ミサイルを発射することで、応援の途中でですね、すぐに官邸に戻って四大臣会合を開催したり、しっかり対応をしてきております。今回もそうしたいと思っております。様々な事態、また、場合によってはいろんな会談等も行っていく必要が生じてきたら、そうしたいと思っておりまして、引き続き、外務大臣としての責務、職責、こういったものを選挙期間も含めて果たしていきたいと思っております。


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