記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和7年12月23日(火曜日)16時42分 於:本省会見室)

(動画)茂木外務大臣会見の様子

冒頭発言

令和8年度外務省当初予算大臣折衝

【茂木外務大臣】今日、私から3点、冒頭あります。
 まず、来年度予算の大臣折衝の結果についてでありますが、先ほど、令和8年度外務省当初予算につきまして、片山財務大臣との間で、大臣折衝を行いました。国際情勢がますます厳しく複雑となる中、外交は国民の生命と財産を守る基本であると、こういった考え方の下、大臣折衝に臨み、結果、外務省として重視をしております追加予算3点が認められました。
 第一に、OSA(安全保障能力強化支援)の予算が、追加で30億円認められまして、令和7年度の81億円から181億円へ、100億円の増額となりました。第二に、ODAに関する予算が、追加で26億円認められ、無償資金協力が3年ぶりの反転となり、JICA運営費交付金と併せて、総額3,031億円となりました。第三に、情報戦対応であったり文化外交を強化するための予算が、15億円認められ、総額250億円となりました。
 これによりまして、令和8年度当初予算は、今、細かい積算中でありますが、8,100億円を超える見込みでありまして、平成9年以来、約30年ぶりの過去最大の当初予算となると。こういう予定であります。
 厳しい国際情勢の中で、山積する外交課題に対応すべく、これらの予算を、外務省として、責任を持ってしっかりと活用して、一層積極的に「力強く、視野の広い外交」を展開してまいりたいと考えております。

旅券手数料の改定(旅券法の改正)

【茂木外務大臣】続いて2点目でありますが、旅券手数料についてであります。
 先月開催されました「外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」における高市総理からの指示も踏まえて、外務省としては、旅券手数料の引下げに向けて、調整を行っていく考えであります。
 このため、旅券法の改正法案を次期通常国会に提出するべく調整を進めます。この法案を国会で承認いただきますと、旅券手数料について、18歳以上の有効期限が10年の旅券を、現行の約1万6,000円から約9,000円に。また、18歳未満では有効期限が5年の旅券について、現行12歳以上が約1万1,000円、12歳未満が約6,000円のものを、どちらも約4,500円に引き下げる考え方であります。
 旅券手数料の引下げが、観光立国の推進であったり、国民の国際交流、国際理解の増進につながることを期待いたしております。
 また、海外に渡航される際には、「たびレジ」に、登録をぜひお願いしたい、このように考えております。

「日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組み」の立ち上げ

【茂木外務大臣】最後、3点目でありますが、「日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組み」の立ち上げについて、先週土曜日、12月20日に、日本と南米南部共同市場いわゆるメルコスールは、「日・メルコスール戦略的パートナーシップ枠組み」を立ち上げました。
 今後は、この枠組みの下で、日・メルコスールの間の経済関係をより一層強化すべく、貿易・投資を含みます幅広い分野における議論を行ってまいります。いきなりFTAにつながると、こういうものではありませんが、こういった枠組みの下で、第1回の会合は、年明け早期に開催すべく、調整してまいりたいと思っております。
 私からは、以上です。

旅券手数料の改定

【日本テレビ 長谷記者】冒頭、大臣の方から、パスポートの申請手数料の引下げについて、御発言がございました。こちらの金額について説明ありましたが、具体的な時期について、想定があればお願いいたします。

【茂木外務大臣】先ほども若干申し上げましたけれど、旅券手数料の引下げ、これは旅券法の改正というものが必要となります。政府として、現時点で、いつになると予断を持ってお答えすることはまだ控えたいと思いますけれど、高市総理からの、日本人出国者に配慮しつつ、国際観光旅客税の拡充の検討を進めると、こういった指示も踏まえれば、国際観光旅客税の引き上げと、併せて実施することが望ましいと考えております。ちなみに、この国際観光旅客税につきましては、観光庁において、来年7月1日以降に新税率を適用すべく、今、調整していると、このように承知をいたしております。

ホライズン・ヨーロッパへの日本の準参加

【日経新聞 堀越記者】ホライズン・ヨーロッパについて伺いたいと思います。政府は22日、EUによる研究開発支援の枠組みであるホライズン・ヨーロッパの準参加に実質合意したという発表をしました。この枠組みに日本が参加する意義と期待する成果をお聞かせください。

【茂木外務大臣】日本が準参加をすることによりまして、プロジェクトに採択されました、日本の研究機関であったり、企業が、EUから、研究開発のための助成金を受けることが可能となるわけであります。
 これによりまして、EU加盟国などとの研究開発など、国際的な科学技術・イノベーションの協力の活性化であったり、我が国の研究力の向上、そして、産業競争力の強化、先端技術に関する国際標準であったりとか、ルール形成、こういったものの参画につながる、こういったことが期待をされると考えております。
 今後、2026年中のできるだけ早い時期の協定への署名に向けて、関係省庁と連携して取り組んでまいりたいと考えております。

茂木外務大臣と韓国国家安保室長との会談

【朝日新聞 宮脇記者】昨日の韓国の魏聖洛(ウィ・ソンナク)国家安保室長との会談についてお伺いいたします。発表では、大臣からは、現在の地域情勢に関する日本側の考えについて説明されたとされていますが、昨今の日中関係については、どのような説明・議論をされたでしょうか、お願いいたします。

【茂木外務大臣】既に貼り出しをさせていただいておりますが、魏(ウィ)国家安保室長との会談におきましては、現在の日韓関係の良好な基調の下で、日韓関係を未来志向で安定的に発展させていくことの重要性、改めて確認して、引き続き、日韓両国政府で緊密に連携していくことで一致したところであります。
 会談の詳細については、外交上のやり取りでありまして、差し控えたいと思いますが、地域情勢に関します日本側の考え方についても、私の方からしっかりと説明をさせていただきました。

慰安婦問題に関する2015年の日韓合意

【産経新聞 永原記者】先週の記者会見での質問と重複する部分があるのですが、日韓慰安婦合意10年に関してお尋ねします。最終的かつ不可逆的な解決を確認した2015年の慰安婦合意は、この週末に10年を迎えます。大臣は、先日おっしゃっていたとおり、日韓関係は未来志向で安定的に発展しつつあると思いますが、一方で2018年に当時の文在寅政権が、一方的に解散した和解・癒やし財団に拠出した日本の拠出金の問題であるとか、韓国で元慰安婦の方々が提起した訴訟で、日本政府に損害賠償を命じる判決が相次いで確定していますが、これらの是正措置がとられていません。日本政府としてこれらの課題をどのように捉え、今後どのように対応するのかお伺いします。

【茂木外務大臣】ちょうど前回、私が外務大臣時代、日韓関係、非常に、ある意味冷え込むというか、いろいろな支障が出ていたと、こういった中で、先日も申し上げましたが、慰安婦問題に関しまして、日韓合意、これは日韓両政府の努力の末に、2015年12月に、日韓外相におきまして、慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」、これを確認したものであります。
 韓国政府も、この合意を両政府の公式合意として尊重するとしているところでありまして、引き続き、日韓両政府で、よく意思疎通しながら、適切に対応してまいりたいと、こんなふうに考えております。
 いろいろな問題というのは、発言というのは、あるのだと思いますけど、基本的にこのことで、両政府が合意して、しっかり進めようと、こういう意思は確認されておりますので、一つ一つ残っている課題があったら、それを解決していきたいと思っております。

国会議員の台湾訪問

【ブルームバーグ 村上記者】台湾についてお伺いしたいんですけど、台湾外交部によりますと、今年日本から議員が訪台した回数は123回と、昨年の97回を上回っております。年末年始にかけて、日本の国会議員30人ほどが訪台するとも発表しています。日中関係が悪化する中でも、正式な外交関係のない台湾と議員外交を継続していく必要性について、改めて大臣のお考えをお願いします。

【茂木外務大臣】御案内のとおり、日台の関係は非政府間の実務関係として維持していくと、これが政府の一貫した立場だと、こんなふうに考えております。
 議員であったりとか、政党の活動と、これについて、政府として、どうあるべきだと、こういうコメントするのは控えたいと思っております。

令和8年度外務省当初予算大臣折衝

【時事通信 千葉記者】冒頭、御紹介のあった予算について、一点だけお伺いしたいんですけれども、OSAの関係予算が大幅に増えるということですけれども、OSA、今年度も初年度と比べて対象国を拡大したりであるとか、供与品も高度化していると思うんですけれども、同志国の安保能力を支援するといったところ、どういった意義があるかというところだけ教えていただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」、こういったものを、しっかりと構築していく。そういった意味で、各国の安全保障能力、また、能力構築支援というのは、極めて重要になってきている、こういった意味から、81億から181億と、100億円増額という形になりまして、それぞれの国のニーズ、こういったものも、しっかりと踏まえながら、適切に活用していきたいと、こんなふうに考えています。

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