記者会見
茂木外務大臣会見記録
(令和7年12月16日(火曜日)17時49分 於:本省会見室)
冒頭発言
スリランカにおけるサイクロン被害に対する支援
【茂木外務大臣】私から1点、スリランカにおけるサイクロン被害に対する支援についてであります。
サイクロン被害を受けたスリランカに、我が国から派遣していた国際緊急援助隊医療チームが、その任務を終えて、本日、帰国いたしました。このチームは、12月3日から約2週間にわたりまして、現地で1,250件の診察を行うなど、精力的に活動を行ってもらいました。その活動について、現地でも、高く評価され、感謝の声が寄せられている、このように聞いております。
また、本日、日本政府は、スリランカに対して、食料、生活必需品等の人道支援を実施するため、国際機関を通じた250万ドルの緊急無償資金協力の実施を決定いたしました。
さらに、NGO、経済界、政府による緊急人道支援の仕組みでありますジャパン・プラットフォームを通じても、今後、支援活動を実施する予定であります。それに加えまして、JICAの調査チームも、今後、復旧・復興に向けたニーズ調査を開始したところであります。
こうした取組を通じて、長年の友人でありますスリランカの被災地の一日も早い復旧・復興のために、我が国として、今後もシームレスな形で、支援を続けていく考えであります。
私からは、以上です。
イスラエル所在の軍民調整センター
【時事通信 千葉記者】ガザの関係でお伺いします。停戦監視であるとか、人道支援の調整を担う、軍民調整センター、CMCCに、日本政府としてどのように関与するお考えかお聞かせください。人員派遣についての報道があると思いますけれども、派遣の時期であるとか、人数、また、どういった人材を予定されているか、また、日本政府が関与する意義や期待する役割についても、併せてお願いします。
【茂木外務大臣】まだ、具体的なところまで決まってないのですけれども、まず、御指摘の軍民調整センター、CMCCにつきましては、トランプ大統領の「包括的計画」や、関連の安保理決議の実施にあたって、停戦履行のフォローであったり、人道支援、復興計画の調整等において、重要な役割を担っていく機関になる、このように考えております。
我が国としては、二国家解決の実現、ひいては中東地域の平和と安定に貢献すべく、ガザの復旧・復興に積極的な役割を果たしていく、こういった考えでありまして、「包括的計画」を含みます平和のための取組に、我が国として、関与していくことが有意義であると考えております。
こうした観点から、大久保ガザ再建支援担当大使を現地に出張させまして、CMCC関係者を含めまして、関係国との意見交換等も行ってきているところであります。
こうした関係者とのやり取り、これも踏まえまして、CMCC等の関係機関への我が国としての関与の在り方、人をどうするかと、こういったことも含めて、鋭意検討を行っているところでありまして、引き続き、国際社会と緊密に連携しながら、中東の平和と安定に向けて、我が国として、でき得る役割をしっかりと果たしていきたいと考えております。
中国人訪日査証緩和措置、民間交流の重要性
【日経新聞 堀越記者】中国人向けのビザ発給緩和措置について伺いたいと思います。前の岩屋大臣が、中国人向けの観光ビザの発給緩和措置を発表してから、ちょうど1年が今月でたつことになりますが、いまだに実施等、具体的なところには至ってないと思います。大臣、以前の会見で、諸情勢を見極めながら慎重に検討しているというふうにおっしゃっていましたが、現在の検討状況を伺います。また、日中関係、今、厳しい状況にありますけれども、その中でも両国が、観光などソフト面で民間交流をすることの重要性は変わっていないと思います。改めて、民間交流の重要性、大臣のお考え、思いっていうものも、併せて伺えればと思っております。
【茂木外務大臣】先日も申し上げたとおり、諸情勢を見極めながら、慎重に検討しているところであります。そして、人的交流の重要性、これは極めて重要である、こういった認識を持っております。
上野動物園のパンダ返還
【NHK 山本記者】 上野動物園のパンダについて伺います。東京都、昨日、2頭のパンダ、来月末までに中国に返還すると発表しました。これによって、日中の国交正常化以来、初めて日本国内からパンダがいなくなって、見ることができなくなるということになりますが、東京都は、新たなパンダの貸与を求めていますけれども、政府として、こうした自治体の後押しをするとか、中国政府への働きかけを行うとか、お考えありますでしょうか。
【茂木外務大臣】パンダが初めて日本に来た、そのニュースを見た時に、本当にわくわくした、こういった思いを、小さい頃でありましたが、よく覚えております。パンダは日本国民に幅広く親しまれ、今回返還される2頭も、長い間、多くの人々に愛されてきました。中国でも健やかに過ごしてくれるよう願っているところであります。
現在、御指摘のように、東京都を含めて複数の自治体や動物園から、パンダの貸与を希望する声が上がっている、このように承知をいたしております。
パンダを通じた交流は、日中両国の国民感情の改善に貢献をしてきたのは事実だと思っておりまして、政府としては、地方自治体等のこういった御意見等も踏まえて、交流が継続される、こういったことを期待いたしております。

