記者会見

茂木外務大臣会見記録

(令和7年11月25日(火曜日)16時46分 於:本省会見室)

(動画)茂木外務大臣会見の様子

質疑応答

旧敵国条項に関する在日中国大使館による発信

【産経新聞 永原記者】日中関係についてお伺いします。中国は、既に死文化されている「旧敵国条項」を持ち出すなど、不正確な情報で、日本に優位に立とうとする活動を展開しています。外務省では、SNSで中国の主張に反論するなどして対応しておりますが、中国のこうした発信について、日本として取っていくべき手段について、大臣がどのようにお考えになっておられるか、お聞きいたします。

【茂木外務大臣】今、御指摘のように、在日中国大使館によります発信、これは既に死文化したという認識をされている国連憲章の敵国条項が、いまだ有効であるような内容でありまして、これは事実に反しております。
 こうした観点から、外務省として、本件の事実関係について、発信を行ったところでありまして、その内容は、御覧いただいているとおりだと思います。
 今後とも、事実に反するような主張であったりとか、情報発信に対しては、客観的な事実に基づきます認識がしっかりと広がるように、事実関係の適切な発信を含めて、引き続き、我が国の立場・考え方・正しい事実関係、こういったものを説明・発信を続けていきたいと思っております。

米中首脳電話会談・日米首脳電話会談

【日経新聞 堀越記者】中国との関係で関連して、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席は、24日の夜、電話会談をしました。中国側は、台湾をめぐる中国の原則的な立場を説明すると、説明したとして、トランプ氏側が、米国は中国にとって、台湾問題の重要性を理解していると述べたという報道もあります。併せて、25日午前には、高市首相とトランプ大統領との電話会談が実現して、首相は、日米同盟の強化だったり、インド太平洋地域の情勢について議題に上がったという紹介を記者団にしました。まずは、この両大臣、両会談の大臣の受け止めをお願いします。それと、また、大臣自身が、ルビオ国務長官、カウンターパートと電話を含めて会談する予定が、今の時点であるかどうか教えてください。

【茂木外務大臣】まず、前後関係ですけれども、昨日、高市総理が夜遅く日本に戻りましたので、今日、電話会談をした。これは、G20からお戻りになったということで、その報告も含めてということになると思うんですが、まず、米国との間で、平素より幅広い分野について、様々なレベルで意思疎通というのを図ってきておりまして、その一環として、戻られてすぐ、今日の午前中に、高市総理がトランプ大統領と電話会談を行った、このように承知をいたしております。
 その中で、トランプ大統領から、今般行われた米中の首脳会談を含みます最近の米中関係の状況について、説明があったとこのように聞いております。
 一方で、高市総理から、冒頭申し上げたように、G20のサミット等について、説明をさせていただいた。現下の国際情勢の下で、日米両首脳間の緊密な連携を確認できた、こういったことは、大変有意義だったと考えております。
 私とルビオ長官、コミュニケーションをこれからもとっていきたいと思っておりますけれど、電話会談をいつ行うかとか、今、具体的に決まっていることはありませんが、いずれにしても、ルビオ長官始め同盟国たる米国の様々なレベルと、緊密に連携していきたいと、そのように考えています。

日米首脳電話会談

【共同通信 阪口記者】今の質問に関連してなんですけれども、米中首脳会談の中では、米中の関係が、トランプさんが非常に強固であると言及したり、中国側から、米国が台湾に関する問題について、重要性を認識していると発信したりしております。その点、今回の、今朝の、日米の電話会談の中でも、何か意見交換、テーマに上がったのかどうか、その辺り伺えますでしょうか、よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】日米の首脳電話会談の結果につきましては、既に高市総理本人が、記者団のぶら下がりに応じているとおりであって、それ以上のことについては私からコメントすることは控えます。

対日批判を強める中国への対応

【朝日新聞 宮脇記者】台湾有事をめぐる総理の答弁について、中国が国際社会への訴えを強めている点についてお尋ねします。米中電話協議で懸念を伝えたほか、先ほど産経新聞さんの質問にもありました書簡を送ったりですとか、あるいは王毅(おう・き)外相が、訪問先の中央アジアで日本を批判したりするなど、日本への批判を国際社会において強めております。日本として、山﨑国連大使が反論する書簡を送付するなど対応されていますけれども、こうした国際社会に対する中国の動きについて、日本政府として、どのように国際社会、働きかけをするお考えでしょうか。お願いします。

【茂木外務大臣】先ほども、中国の主張について、日本として発信をしたという話を申し上げました。山﨑大使からグテーレス事務総長に対しても、中国がグテーレス事務総長宛の書簡を送ったのに関連して、日本側の立場を説明する書簡を発出しているところでありまして、それぞれの発信に対して、決して反論するということではないんですけれど、事実に反していることについて、これは、しっかりと訂正をしていく必要があると、こんなふうに思っています。
 そして、繰り返しになりますが、日中間には、当然、懸案や課題もありますが、懸案や課題があるからこそ、しっかり対話によって、そういったものを減らし、また協力できる分野、こういったものを増やしていく、理解や協力を増やしていくということが重要なんだと考えています。

認知戦・宣伝戦への取組

【読売新聞 植村記者】今の朝日さんの質問にもちょっとかぶるところがあるんですけど、ここ数週間、中国は国内外問わず、日本に対する情報発信を強め、認知戦や宣伝戦などと呼ばれる活動の展開を強めています。今回の中国のこうした動きに対する、日本政府の戦略的コミュニケーション、あとはパブリック・ディプロマシーと呼ばれる分野の取組の方針や重要性について、どのように考えてますでしょうか。また、こと海外において日本に不利な報道や、認識が作れないために、今後どのように取り組んでいきたいかも併せて伺えればと思います。よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】国際社会に対して、正しい認識を広めていく、また、日本の立場について、しっかりと理解してもらうように、発信を強めていくということは、極めて重要だと思っておりまして、私自身も、そういったことには、できる限り努めるという形をとっているところであります。
 先ほど来、申し上げていますように、これ、中国に限らないのですけれど、事実に反する主張に対して、しっかりと反論であったりとか、発信をしていく必要がある、こんなふうに考えてるところであります。
 各国のメディア関係者であったりとか、有識者に対する積極的な情報の提供であったり、また情報空間の動向に関する情報の収集や分析を進めながら、SNSも効果的に活用して、戦略的な対外発信をしていきたいと思っております。
 そして、すでに、日本に対して、非常に好意を持ってらっしゃる方もいらっしゃる。また、そういう土台を広げていくということも極めて重要だと思っておりまして、こういった観点から、日本の魅力の発信を行っていくということは進めたいと思いますし、我が国の味方というのが正しいかどうか分かりませけれど、我が国について、非常に好意的な感情、気持ち持っていただいてる「ジャパン・フレンズ」の輪、これを一層広げて、これは、文化外交と、これにも関わる分野でありますが、抜本的に取り組んで、パブリック・ディプロマシーと言われるものに、全力で取り組んでいきたいと、こんなふうに考えています。

日中韓サミット

【NHK 山本記者】日中韓3か国の首脳会議について伺います。中国外務省の報道官はですね、昨日、日本の指導者が、台湾問題について公然と誤った発信を行い、3か国の協力の基盤と雰囲気を損なったなどと述べまして、開催に否定的な見方を示しました。日本、議長国となりますけども、開催の見通しについて、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】まず、中国とは、様々な対話について、我が国としてオープンであると、この姿勢は変わらないと思っております。
 中国外交部の報道官の発言、これ、首脳間で確認をしました戦略的互恵関係の包括的推進であったり、また建設的かつ安定的な関係の構築という大きな方向性と相入れない、こんなふうに、今、考えているところでありまして、次回の日中韓サミット、これは日本、議長国であります。現段階で、開催日程は決まっておりませんが、引き続き、中国、韓国両国と、適切にコミュニケーションしていきたいと思っております。

日中関係に対する米国の態度

【ロイター通信 ケリー記者】日中関係に関連にして伺いたいです。今、トランプ大統領もルビオ国務長官も、いまだ、日本に支持を表明はしていないんで。こうした状況をどのように受け止められますか。あと、意外性や懸念もありますでしょうか。

【茂木外務大臣】ごめんなさい、もう一回ちょっと。お願いできますか。すみません。

【ロイター通信 ケリー記者】今、トランプ大統領とルビオ国務長官も、いまだ、日本への支持を表明していません。こうした状況を、どのように受け止めておられますか。意外性や懸念はありますでしょうか。

【茂木外務大臣】ごめんなさい、日本の何に対する支持っていうことで御質問されたのでしょうか。

【ロイター通信 ケリー記者】日中関係の問題、外交の問題で、グラス大使が、いろいろツイッターとかで、日本を支持する表明はしてますが、今、まだ、トランプ大統領とルビオ長官は、何も表明はしていないんですね。発言とか、「X(エックス)」とか、「Threads(スレッズ)」とかには、この問題に関して何も発言もしないし、日本の支持も表明はしていないということで、それ、どう受け止めているでしょうか。

【茂木外務大臣】おそらく、例えば、日本、様々な外交的なですね、関係をいろんな国と持っています。非常にいい関係もありますし、中には、意見の違っている問題もあると思います。その一つ一つについてですね、ホワイトハウスであったりとか、国務省が、全て、支持をするとか支持をしない、こういう発信をしているということは、これまでもなかったと、こんなふうに思っております。

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