記者会見

岩屋外務大臣臨時会見記録

(令和7年6月25日(水曜日)11時32分 於:ハーグ(オランダ))

冒頭発言

 NATO首脳会合の機会を捉えまして、昨日からここオランダのハーグを訪問しております。

 本日朝、G7外相会合が開催されました。G7カナナスキス・サミットでの首脳間での議論を踏まえまして、緊迫する中東情勢及びインド太平洋情勢について、活発に議論を行ったところでございます。

 特に、中東情勢については、私(岩屋大臣)から、イラン・イスラエル間の停戦をしっかり定着させること及び対話の再開が重要であるということを指摘いたしました。また、米国を始めとする関係各国による様々な外交努力に対して敬意を表したところです。その上で、我が国として、G7を始めとする国際社会とも緊密に連携し、必要なあらゆる外交努力を引き続き行っていく旨述べたところです。

 また、中国や北朝鮮をめぐる諸課題についても、私(岩屋大臣)が議論を主導する形で、G7各国で率直な意見交換を行いました。

 これに続いて、米国のルビオ国務長官と日米外相会談を行って、現下の中東情勢について意見交換を行いました。そして、中東の平和と安定のためのさらなる外交努力の必要性で一致をしたところです。また、米国の関税措置に関しても意見交換を行い、日米双方にとって利益となる合意の実現に向けて、担当閣僚間の協議を後押ししていくことの重要性を確認いたしました。

 昨日は、ルッテNATO事務総長との会談を行いました。私(岩屋大臣)からは、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は密接不可分であって、日本とNATOの協力は、両地域の安全保障にとって極めて有益であるということを強調させていただきました。ルッテ事務総長との間で、防衛装備・産業対話の立ち上げを含めて、防衛産業分野を始めとする幅広い分野で、日本とNATOの協力を更なる高みに押し上げるべく連携していくことで一致をいたしました。

 その他、ドイツのヴァーデフール外相、カナダのアナンド外相とも初の対面での会談を行いました。また、オランダのスホーフ首相に表敬を行いました。さらに、昨日には、岩沢雄司国際司法裁判所所長及び赤根智子国際刑事裁判所所長ともお会いいたしました。この後は、韓国の魏聖洛国家安全保障室長とお会いする予定です。

 今回の訪問を通じて、地域を超えた安全保障の課題に同志国として連携して対応していく重要性を改めて確認することができました。

 この後のルッテ事務総長とインド太平洋パートナー(IP4)との会合でもNATO・IP4間の戦略的協力を一層深めるべく、議論を行っていきたいと思います。

質疑応答

(記者)G7外相会合についてです。今回は中東情勢が目まぐるしく変化する中での開催となりました。事態の沈静化に向けたG7及び日本の役割というのをどうお考えでしょうか。

(大臣)我が国としては、昨24日行われた米国によるイスラエルとイランとの間の停戦合意の発表を歓迎しております。これがイスラエル及びイラン双方において着実に実施に移されていくということを強く期待をしています。また、イランの核問題は対話を通じて解決していくことが重要だと考えております。

 G7として、このような考え方を共有するとともに、停戦をしっかり定着させるために、G7としてどのように対応していくべきか、突っ込んだ議論を行いました。

 中東情勢を含め、国際社会が様々な課題に直面する中で、その対処にはG7の結束が極めて重要であります。我が国として、このG7としっかり連携をして、イスラエル及びイラン双方に対する停戦合意の着実な実施の働きかけを始めとして、あらゆる必要な外交努力を引き続き行ってまいりたいと思います。

(記者)今回、NATOの首脳会議に合わせての訪問ですけれども、今回のNATOは、防衛費の引き上げが最大の議題となったと思います。アメリカの国防総省の報道官は、アジアの同盟国もNATOと同じ水準の防衛費を求める考えを示していますけれども、今回のNATOの一連の会合、あるいは先ほどルビオ国務長官ともお話になったということですけれども、今回の訪問でこのアメリカからの防衛費増というものは議題になったのか、それから、このアメリカ側の防衛費増の意向、これにどのように対応していくお考えでしょうか。 お願いいたします。

(大臣)まず、防衛費についての話は出ておりません。

 昨日のルッテNATO事務総長との会談におきましては、ルッテ事務総長から、NATO首脳会合の主要議題であるNATO加盟国による新たな国防支出等に関する目標の調整状況について説明がありました。私(岩屋大臣)からは、我が国の2022年の国家安全保障戦略に基づく防衛力の抜本的強化に関する取り組みについて説明をしたところでございます。

 政府としては、大事なのは金額ではなく、防衛力の中身であると考えていることに変わりはありません。国家安全保障戦略等に基づいて、防衛力の抜本的強化を今後も着実に進めてまいります。

 同時に、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境の中で、我が国として主体的に抑止力・対処力を強化するための取り組みを不断に検討して進めていくことも当然だと考えております。

 いずれにしても、政府としては、引き続き、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化を図るべく、日米間で緊密に連携していきたいと考えております。

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