記者会見
岩屋外務大臣会見記録
(令和7年4月11日(金曜日)15時18分 於:本省会見室)
冒頭発言
大阪・関西万博の開幕
【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から、2点御報告がございます。
まずは、万博でございます。
いよいよ、明後日13日、日曜日に、大阪・関西万博が開幕いたします。明日12日土曜日には、天皇皇后両陛下や皇嗣同妃両殿下の御臨席の下に、開会式が開催されます。私(岩屋大臣)も、出席の予定でございます。
大阪・関西万博は、世界と交流を深め、日本の魅力を国際社会に広く発信するとともに、海外の活力を日本に取り込む絶好の機会だと思います。
万博期間中には、各国にナショナルデーが割り振られております。それに合わせて多くの要人の訪日も見込まれております。4月14日には、最初のナショナルデーとなるトルクメニスタンの祝賀行事に参加するために、ベルディムハメドフ大統領が訪日される予定でございます。
各国要人が相次いで訪日されるこの機会に、私(岩屋大臣)自身も、各国のカウンターパートと積極的に会談を行って、各国との協力関係、また連携を強化していきたいというふうに考えております。
ミャンマーへの地震被害支援等
【岩屋外務大臣】次にミャンマー支援についてでございます。
ミャンマー地震への支援として、国際緊急援助隊・医療チームの第2次隊を、12日から派遣することを決定しました。
また、先般発表した600万ドルの緊急無償資金協力については、赤十字国際委員会、国際移住機関、国連児童基金、及び国連世界食糧計画、を通じた保健・医療、水・衛生、食料の分野で、人道支援を実施してまいります。
さらに、草の根無償資金協力によりまして、被災した学校への給水タンクやテントなどの緊急支援の実施も決定いたしました。
一方で、円滑な人道支援のためには、安全で阻害されない人道アクセスの確保と、全ての関係者による停戦の履行及び継続が重要でございます。発表された停戦が確実に履行され、及び継続されること、また、民主的な政治体制の早期回復に向けて、全ての関係者による真摯な対話が行われることを求めたいと思います。
また、タイに対しましても、国土交通省やJICA(国際協力機構)などの専門家チームを派遣いたしまして、地震発生後の安全対策を始めとするアドバイスを行っているところでございます。引き続き、ミャンマーの地震災害についてもしっかりと支援を行ってまいりたいと思います。
冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。
万博期間中の外交機会
【日経新聞 馬場記者】冒頭で御紹介がありました、万博外交についてお伺いします。万博の開会式が、いよいよ今週末ですけれども、御紹介にあったナショナルデーに合わせた外交機会について、現在決まっている御予定や、大臣の期待・意気込みについて改めてお伺いします。
【岩屋外務大臣】冒頭申し上げましたように、4月14日に最初のナショナルデーで、トルクメニスタンから、ベルディムハメドフ大統領が訪日をされます。
また、明日の12日の開会式出席のために、既に要人が訪日しつつあります。本日、私(岩屋大臣)は、この後に、ルクセンブルクのベッテル外務大臣と会談をする予定でございます。
今後も、ナショナルデーは、ほぼ毎日予定されておりますので、例えば、来週末にかけては、トンガからトゥポウトア・ウルカララ皇太子殿下、グレナダからアンドール外務大臣、ボリビアからチョケワンカ副大統領が、訪日予定でございます。ずっとこれが続いていくと思います。
冒頭、申し上げましたように、大阪・関西万博は、世界と交流を深めると同時に、日本の魅力を広く発信するという機会になりますので、また、海外の活力を日本に取り込むという絶好の機会になりますので、今後も、訪日をされる各国のカウンターパートと、積極的に会談を行って、協力関係を強化していきたいというふうに考えております。
米国の関税措置(日米経済協議対策本部)
【読売新聞 上村記者】米国の関税措置についてお伺いします。外務省は、昨日、「大臣を本部長とする日米経済協議対策本部を設置しまして、初会合を開いた」との発表がありました。この対策本部の目的と、初会合ではどのような議論がなされたか、可能な限り御紹介いただければと思います。
【岩屋外務大臣】米国による関税措置への対応につきましては、まず、全閣僚出席の下で設置され開催されております「米国の関税措置に関する総合対策本部」におきまして、石破総理から、関係府省で協力・連携の上に、政府を挙げて対応するように指示が出されたところでございます。
こうした中にありまして、外務省としては、今般の米国による関税措置への対応に万全の構えをとるために、昨日、私(岩屋大臣)を本部長とする「日米経済協議対策本部」を設置をいたしまして、第1回目の会合を開催をいたしました。
この第1回目の会合では、米国による関税措置に関する様々な情勢の報告を受けた上で、我が国の対応について議論を行いました。また、早晩、その交渉担当の赤澤大臣が訪米されることになると思いますが、そのバックアップ態勢を、これに万全を期すということについても、議論を行ったところでございます。
今後とも、政府一丸となって、米国に対しまして、措置の見直しを強く求めていくなど、外交面の取組を進めてまいりたいと思います。
日米安保条約に関するトランプ大統領の発言
【共同通信 阪口記者】今のトランプ新政権の関連に関して伺いたいんですけれども、トランプ大統領、日米安全保障条約は不公平だという認識を重ねて表明されました。両政府による今後の貿易交渉で、日本に防衛費や駐留経費の日本側の負担の増額を要求して、米国にとって有利な取引を狙うという構えを見せた形ですけれども、こうした発言に対する受け止めをお尋ねします。併せて、赤澤大臣は、関税を含む通商について交渉をするというふうに、そういう立場だと理解しておりますけれども、安保に関する交渉が含まれるとすれば、外務省として、どのように対応する考えがあるのか、お尋ねいたします。
【岩屋外務大臣】御指摘のトランプ大統領の発言は承知をしています。
その上で、日米同盟は、我が国の外交・安全保障政策の基軸であることに変わりはありません。米国は、先般の日米首脳会談を含む累次の機会に、日米外相会談もそうでありますが、日米安保条約の下での自国の対日防衛義務を確認してきております。政府としては、米国が核抑止を含むあらゆる種類の能力を用いて、日米安保条約上の義務を果たすことには、全幅の信頼を置いているところでございます。
また一方で、我が方の平和安全法制によりまして、日米があらゆる事態に対して、切れ目なく、互いに助け合うことが可能となりました。こうした「助け合うことのできる同盟」は、その絆を強くすると思っております。その意味で、日米同盟は、それまでよりも、より強くなっていると認識をしておりまして、抑止力も大きく向上してきていると考えております。
政府としては、戦後最も厳しいと言っていい、複雑な安全保障環境の中で、我が国として主体的に、抑止力・対処力を強化するための取り組みを不断に検討し、また実施をしていかねばならないと考えておりまして、日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化のために、日米で緊密に意思疎通をし、連携をしていきたいと考えております。
それから、米国の関税措置への対応については、具体的な検討状況をつまびらかにすることは差し控えたいと思いますが、まずは、双方において担当閣僚を指名し、協議を続けていくことになり、我が方は、赤沢大臣が指名されたというところでございます。
もっと幅広い日米関係と言いますか、安全保障を含む、これも政府全体で対応していくということになりますけれども、そこは外務省が、引き続き、大きな役割を果たしていかなければいけない。安全保障という意味では、防衛省もそうでしょうけれども、その役割は、しっかりと果たしていきたいと考えております。
米国の関税措置(日米交渉の方針)
【Asian News International 板垣記者】トランプ大統領の関税措置に対しての日本の交渉は、始まるわけですけれども、今、当然、日本の国益最優先だと思いますが、今、いろいろな国の、いろいろな反応があると思います。明確に反対意見を述べ行動しているところもありますし、逆にだんまりを今決め込んで、様子を見ているところもございます。そういったような広い状況を考えたとき、どのような方針で臨まれようとしているのか、お考えをお聞かせいただければと思います。
【岩屋外務大臣】我が国としては、トランプ大統領の発表を含めて、米国による関税措置の内容をまず、しっかり精査すると。そして、我が国への影響を十分に分析していくと。その上で、米国に対して、措置の見直しを強く求めていくということになります。
インドも交渉の機会を設けていくと伺っております。交渉でございますから、お互いに、いろいろな提案をしあい、場合によっては、お互いが一定の譲歩をしながら、結論を得ていくということになろうかと思います。いよいよこれからがキックオフということになっていくと思っております。
国際社会の対応はさまざまです、今おっしゃったように。ただ、私(岩屋大臣)どもとしては、ほかならぬ日米関係、日米同盟でございますので、もちろん選択肢は、どれも捨てていないというか、テーブルの上にあるわけですけれども、まずは、日本が先頭バッターのような形で、日米の協議に臨むということになってまいりましたので、まずは、交渉を通じて、事態の打開を図っていくことに全力を尽くしていきたいと思います。一方で、これは全世界に対して発せられている措置でございますから、関係各国と、様々な情報交換、意思疎通は、しっかりやっていきたいと考えております。
広島平和記念式典
【中国新聞 宮野記者】広島市は、8月6日に開催している平和祈念式典で、他国政府への「招待」を「案内」に切り替えて、ロシアやイスラエル、パレスチナを含む全ての国に呼びかけるという方針を決めました。昨年、長崎市の平和式典では、招待をめぐって米国が参加をボイコットするような事態にもなっています。今回の広島市の判断をどのように受けてみるか、お考えをお伺いできますでしょうか。
【岩屋外務大臣】御指摘の報道については承知しております。しかし、言うまでもないことですが、本件式典は、広島市の主催の行事でございますので、その式典の実施方法については、あくまでも主催者である広島市が判断されることだと思います。政府として、これにコメントすることは控えさしていただきたいと思います。
NPT運用検討会議第3回準備委員会
【中国新聞 宮野記者】別件でお願いします。今月末にNPT再検討会議の準備委が始まります。これに関しては、大臣自らが、自らの出席演説の検討ということがありますが、その事実関係と、この準備委の重要性をお伺いできませんでしょうか。
【岩屋外務大臣】御指摘のNPTの運用検討会議第3回準備委員会への、私(岩屋大臣)の出席については、この段階では何ら決まっておりません。
その上で、「核兵器のない世界」に向けた道のりが、一層厳しさを増している最中でございますので、国際的な核軍縮・不拡散の礎であるNPT体制の維持・強化は、今まで以上に、重要で必要とされていると考えております。
したがって、今月末から開催されるこの第3回準備委員会は、来年のNPTの運用検討会議につながる極めて重要な会議だと考えておりますので、充実した成果を上げられるように、我が国としても、しっかり尽力していきたいと考えておりまして、私(岩屋大臣)の出席も含めて、しっかり検討したいと考えております。
CPTPP
【フィナンシャルタイムズ レオ・ルイス記者】米国に端を発した世界貿易システムの不確実性が高まる中、CPTPPと欧州連合の協力関係を強化するため、CPTPPの範囲を拡大することを求める声が、一部の国々から高まっている。日本は、CPTPPが加盟国の拡大を目指すべきであり、CPTPPが新たな世界的自由貿易同盟の中核を形成する可能性があると考えていますか。
【岩屋外務大臣】ルールに基づいた自由貿易体制の維持、そして拡大は、我が国の経済外交の柱であります。世界で保護主義や内向き志向が強まっている中で、我が国が、おっしゃるように、自由貿易の旗振り役として、リーダーシップを発揮することは、ますます重要になってきていると思います。
その意味で、CPTPPは、大変幅広い分野をカバーした、高い水準の共通ルールを維持しておりますので、これを世界に広めていく意義を有していると考えております。
その観点から、我が国として、新規加入や協定の一般的な見直しを始めとして、引き続き、枠組みの発展に向けた議論に積極的に貢献していきたいと思います。
新規加入につきましては、締約国間で一致した新規加入対応に係る原則に基づいて対応するということになっております。我が国としては、他の締約国ともよく相談しつつ、それに加えて戦略的な観点も含めて、さらには、国民の皆さんの理解も踏まえながら、対応していきたいと考えておりまして、御指摘のあった、EUのみならず、世界のいろいろな国々と、意見交換、意思疎通をしっかりしていきたいと考えております。