記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年2月25日(火曜日)14時47分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見

冒頭発言

(1)G20外相会合の振り返り

【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から、2件、御報告がございます。
 1件目は、先般のG20外相会合についてです。
 2月20日から21日まで、南アフリカを訪問し、私(岩屋大臣)にとっては初めてのG20外相会合に出席いたしました。法の支配に基づく国際秩序を回復し、国際社会を協調に導くためには、各国との連携や協力が重要であるという考え方の下に、私(岩屋大臣)からは、ウクライナ情勢や中東情勢、本年8月のTICAD9も念頭に置きまして、アフリカとの協力の重要性について発信をし、グローバル・サウス諸国との連携も確認をいたしました。

(2)シコルスキ・ポーランド外相の訪日

【岩屋外務大臣】2件目は、ポーランド外相の訪日についてです。
 2月26日から3月2日まで、シコルスキ・ポーランド外務大臣が、外務省の賓客として訪日する予定です。
 私(岩屋大臣)は28日の日に、シコルスキ大臣との間で外相会談及びワーキング・ディナーを実施する予定です。
 ポーランドは、我が国と100年以上の交流の歴史を有する重要な戦略的パートナーです。シコルスキ外務大臣と、二国間関係の更なる強化に向けて連携を深めるとともに、ウクライナを始めとする国際情勢についても、しっかり意見交換をしたいと思っております。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

G7首脳テレビ会議(開催の意義)

【読売新聞 植村記者】昨晩行われたオンラインでのG7首脳会合に関して伺います。米国のトランプ政権が誕生して以降、事態が大きく、ウクライナ情勢ですね、動く可能性が出てきている中、このタイミングで開催し、議論できた意義は、どのように考えておりますでしょうか。よろしくお願いします。

【岩屋外務大臣】2月24日、G7首脳テレビ会議が行われまして、石破総理が出席をいたしました。この会議は、ロシアによるウクライナ侵略始まってから3年となる機会を捉えて行われたものでございまして、御承知のように、冒頭には、ゼレンスキー・ウクライナ大統領も参加をいたしました。
 この会議で、石破総理からは、次の4点を強調いたしております。
 第一に、3年前の侵略開始以降、ロシアと闘い続けるウクライナの勇気に心から敬意を表すると。米国を始め、現在行われている様々な外交努力が実って、状況が打開されることを期待している、という点が第1点です。
 第二点目に、平和の実現に当たって、誤った教訓が導き出されないように、G7各国と連携して取り組んでいきたいということ。
 第三に、欧州とインド太平洋の安全保障はますます一体不可分であって、北朝鮮兵士の戦闘参加を含む、ロシアと北朝鮮の軍事協力の進展を強く非難をするということ。
 四点目に、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現のためにも、G7の結束が重要である。そして、日本は、G7と連携しつつ、今後もウクライナ支援と対露制裁を継続していくという、この4点を石破総理から強調されました。
 今回の首脳会合では、一日も早くウクライナに平和をもたらすべく、G7の首脳間で率直な議論を行い、G7の結束を確認できたと考えておりますが、ちょうど侵略も3年を越えて、いろいろな和平に向けての各国の活動というのが、展開され始めた時でございますから、この時期に、G7の首脳会議を行ったということは非常にタイムリーで、時宜を得たものであったと思っております。

G7首脳テレビ会議(共同声明、G7における日本の役割)

【共同通信 阪口記者】関連で伺います。石破総理、G7の結束を確認され、呼びかけられて、今も大臣からご発言あったとおりだと思うんですけれども、共同声明の方については、調整に時間がかかっておりまして、まだ発出されてない状況で、足並みが乱れたような形を露呈したというか、形になっております。G7の結束の必要性を改めてと、共同声明の調整が難航しているこの現状についての御所感をお尋ねします。併せて、3月のG7外相会合、6月のG7サミットに向けて、唯一の、アジア唯一のメンバー国として、どのように働きかけを各国にしていくのかお尋ねします。大臣と、総理、「誤った教訓」という文言について言及されておると思いますけれども、ロシアのほか、各ミサイル開発を続ける北朝鮮、周辺海域で軍事的な威圧を続ける中国に囲まれる日本にとって、各国にこういったことを呼びかけることについては、どのような重要性があるのかお尋ねします。

【岩屋外務大臣】まず、共同声明についてですけれども、今、鋭意、調整中であるということでございます。でき得れば、G7としての共同声明をしっかり発出するということが、この局面で大切だと思いますので、我が国も、鋭意、そのために努力していきたいと思っております。
 そして、今後の働きかけについてですが、3月には、ご承知のとおり、G7の外相会合が行われます。また、6月にはG7のカナナスキス・サミットも開催されます。もちろん、こういう会合の以前に、様々な関係国とのやり取りがあるわけでございまして、そういう外交機会を通じて、しっかりと意思の疎通を図っていきたいと思いますし、石破総理が、G7のTV首脳会議で訴えられた、強調された考え方というものが、しっかりと反映されるように、我が国としても、あらゆるレベルで働きかけを行っていきたいと思っております。
 特に、御指摘になった、「誤った教訓が導かれないように」ということは、言うまでもなく、力による一方的な現状変更は、世界のどこであれ許されないというのが、我が国の考え方でございまして、そういう誤った教訓が導き出されれば、このインド太平洋にも、影響が及ばないとも限らないわけでございまして、世界のいたるところに悪影響が及んでいくと考えておりますけれども、そういうことにならないようにという考え方の下に、各国との意見調整をしっかり行っていきたいと考えております。

国連総会におけるウクライナの平和に関する決議

【NHK 米津記者】ウクライナの関連でお伺いをします。国連総会で、ウクライナやEUが提出した戦闘の停止とロシア軍の撤退などを求める決議案が、日本などの賛成多数で採択されました。ですが、米国が反対に回るということで、米国と欧州の溝が深まるといいますか、立場の隔たりというのが浮き彫りになってきたと思います。こうした中でウクライナ問題に、日本としてどのように対応していくのか、お考えを聞かせてください。

【岩屋外務大臣】御指摘のように、現地時間の2月24日、国連総会の緊急特別会合において、ウクライナ及びEUが提出したウクライナの平和に関する総会決議が、我が国を含む賛成多数で採択されました。本決議は、国連総会として、ロシア軍によるウクライナへの敵対行為の即時停止、民間人・施設に対する攻撃の即時停止、国連憲章に基づくウクライナの平和を求める内容であることから、我が国として賛成をしたところでございます。
 米欧の対立がというお話ですが、対立している場合ではないのではあって、米国、欧州を含む各国による外交努力が、やがて収斂されていって、国際社会が結束して、長年にわたる戦闘行為が終結すると。さらには、ウクライナに、公正で永続的な平和が実現をするということが最終的な目的ですから、当然、我が国としては、米欧双方としっかり意思疎通して、分断や対立ではなく、協調して、ウクライナの和平が実現するように、働きかけていきたいと思っております。

ウクライナ情勢(停戦への取組)

【毎日新聞 金記者】ウクライナの和平についてお尋ねします。ウクライナ和平の協議でゼレンスキー大統領が停戦実現後の安全の確保を求め、英仏は平和維持のための軍派遣を検討しております。日本として、ウクライナの停戦案が実現した場合のウクライナの安全確保に向けて、どのように関与をされる、または、できるというふうにお考えでしょうか。

【岩屋外務大臣】そのような報道があるということは承知しております。今、ウクライナをめぐって、様々な議論が国際社会で行われておりますので、当然、政府として重大な関心を持って情報収集しているところでございます。
 まずは、しっかりと停戦が実現するということが何より先決であると思います。そして、どのような和平、また、戦後のウクライナの安全確保の枠組みができるか、これも重大な、最も大事な焦点の一つだと思いますけれども、その枠組みをどう作るかということをめぐって、これから、まだまだ関係各国との間で議論が行われていくと思っておりますので、そのあとどうするかということについては、現段階では、踏み込んで政府としてコメントすることは差し控えたいと思っております。
 いずれにしても、我が国は、ウクライナのこれからの復旧・復興というものにしっかり関わって、日本の果たすべき役割を果たしていきたいと思っているところです。

ドイツ連邦議会選挙、右派政党の躍進等

【共同通信 阪口記者】話題変わります。ドイツの連邦議会選総選挙についてお尋ねします。23日に投開票が行われて、野党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が第一党となり、2021年(令和3年)以来の政権復帰を確実にしました。新政権と、どのような関係を構築していくのかお尋ねします。併せて、極右と呼ばれる政党AfDが躍進しまして、欧州各国で、極右と呼ばれる政権が伸長している状況があると思います。日本でも排外主義的な発言というのが目立つようになってきておりますけれども、このような世界中の雰囲気というか、取り巻くこういった空気というか、そういったものに対して、外務大臣として、どのようなお考えをお持ちなのか、御所感併せて伺えればと思います。よろしくお願いします。

【岩屋外務大臣】まず、御指摘のとおり、2月23日にドイツ連邦議会選挙が行われまして、ドイツ選挙管理委員会が発表した公式暫定値によりますと、キリスト教民主・社会同盟が第一党となって、今後、連立交渉を経て、新しい政権が誕生することになると承知しています。
 他国の国内政治のことですから、踏み込んでコメントすることは控えたいと思いますが、いずれにしても、日本とドイツは、価値や原則を共有する重要なパートナーでありまして、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持、そして、強化に向けて、二国間及びG7の枠組みの中においても、緊密に連携してきております。
 これから成立する新政権との間でも、引き続き、幅広い分野で日独関係を強化していきたいと思います。
 他国の政治動向についてコメントすることは控えたいと思いますが、世界が、国際社会が、分断と対立に向かっている。これをやはり外交の対話の努力で、協調と融和に振り向けていきたいというのが、日本外交の目標でありますけれども、それと同様に、国内の政治も、分断や対立ではなくて、協調と融和に向かっていくことが望ましいと思っております。そういう意味で言うと、国内では、与野党が、まさに、熟議の政治を実現していくことが大切ではないかと思っているところです。

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