記者会見

岩屋外務大臣臨時会見記録

(令和7年2月21日(金曜日)18時05分 於:南アフリカ(ヨハネスブルグ))

冒頭発言

【岩屋外務大臣】ここ南アフリカのヨハネスブルグにおきまして、私にとっては初めてのG20の外相会合に出席いたしました。
 国際社会が揺れ動く中、法の支配に基づく国際秩序を回復し、国際社会の平和と安定を確保することが重要です。力による一方的な現状変更は世界のどこであっても許されません。国際社会を対立や分断ではなく協調に導いていくためには、対話を通じて共通点を探り、全ての国が責任を共有する形で連携や協力を進めることが重要です。このような考え方の下に、日本の考えをしっかり発信して参りました。
 また、アフリカ初のG20の開催、さらには日本が本年8月に横浜でTICAD9を開催をすることも念頭に、アフリカとの協力の重要性についても発信をいたしました。また、ブラジル、トルコ、アルジェリア、アンゴラ、南アフリカのカウンターパートとの会談などを通じまして、グローバル・サウス諸国との連携の強化を確認をしたところでございます。
 ウクライナ情勢については、現在、行われている様々な外交努力によりまして、長年にわたる戦闘行為が終結することを期待する旨申し上げました。その上で、平和実現にあたっては、誤った教訓が導き出されることのないように、取り組んでいくことが重要であると申し上げたところです。
 また、欧州とアジアの安全保障はつながっています。露朝の協力の進展を深刻に懸念し、北朝鮮兵士の戦闘への参画を強く非難するとともに、国際社会による強力な対応が必要であると申し上げました。また、拉致問題の即時解決に向けた各国の理解と協力を求めたところです。
 中東情勢につきましては、ガザにおける停戦合意の誠実かつ着実な履行が重要であると強調いたしました。その上で、日本として二国間解決を支持する立場に変わりはなく、喫緊の人道支援とともに、中長期的な復旧・復興の支援におきましても、積極的な役割を果たしていくと申し上げたところです。
 2025年のG20の目標に関するセッションでは、石破政権として特に重視する防災分野について、日本が有する知恵や技術をG20を含む国際社会と共有し、世界で頻発する大規模自然災害への備えと対応の強化に貢献したいと申し上げました。
 また、サプライチェーンの多様化を通じた重要鉱物の安定供給、債務問題への対応、アフリカを含む途上国におけるAIガバナンスの構築、世界経済の成長と繁栄を支える基盤である自由で公正な経済秩序の重要性も強調いたしました。
 最も重要なことは、すべてのメンバーが責任を共有しつつ、G20を国際社会の問題解決を主導するフォーラムにしていくことです。そのような考え方の下、日本はG20ヨハネスブルグ・サミットの成功に向けて積極的に貢献していきます。
 また、今回議長国である南アフリカのラモラ大臣とは、本年8月のTICAD9及び11月のG20ヨハネスブルグ・サミットの成功に向けて連携するとともに、その他の二国間関係についてもしっかりと連携していくことの確認をしたところです。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】近年、グローバル・サウス諸国は欧米と距離をとりはじめ、中国がこの地域への関与をアピールしています。今回、米国のルビオ国務長官が欠席する中でのG20となりましたが、日本が果たした役割についてお聞きします。併せて、今年8月に日本で開催するTICAD成功に向け、どのようにアフリカ諸国と連携していくかも伺いします。  

【岩屋外務大臣】国際社会は残念ながら対立や分断が進んでいる訳ですけど、これを協調に導いていくと言うのが日本外交の使命だと思っています。そのためには、先進国と主要な新興国、さらにはグローバル・サウス諸国を擁するG20が国際協調をですね、主導していくということが必要だと思います。対話を通じて共通点一つ一つ増やしていく、また、対立点を一つ一つ減らしていくという努力がここでも必要だと思っておりまして、すべての国が責任を共有するという形でG20を進めていくということが重要だと強調したところでございます。
 今回は、アフリカ初のG20の開催ということもなりましたが、非常に意義深かったと思います。日本が鉱物資源国の人材の育成、また、技術協力。そういったことに貢献していきたいと考えております。それとTICAD9というのが8月に予定されておりますので、アフリカ連合委員会AUCを含むTICADの共催者及びアフリカ諸国と丁寧に意思疎通を行いながら、準備を進めていきたいと。ぜひ、アフリカと共にですね国際社会の様々な課題に対する解決策を共に創り上げていくと。そういうTICADにしていきたいなと考えております。

【記者】ウクライナの関係でお伺いします。2月24日でロシアによるウクライナ侵攻が始まってから3年となります。戦争が長期化していることの受け止めをお聞かせください。また、アメリカとロシアの停戦に向けた協議が始まっていますけれども、停戦についての日本政府の立場やお考え、そして今後もウクライナ支援を継続していくのかどうか、お考えを改めてお聞かせください。

【岩屋外務大臣】24日で侵略から3年ということになるんですかね。もう3年を迎える中で、この侵略に立ち向かうウクライナの人々の勇敢さ。また、その忍耐強さに改めて敬意を表しております。そしてロシアによる侵略行為を改めて非難したいと思います。
 ウクライナを巡っては、今、平和実現のために、米国を始めとした各国の外交努力が行われております。こうした外交努力を通じて、長年にわたる戦闘の行為の終結が図られる、困難な状況の打開につながっていくということを心から期待をしています。そのために、我が国としては、国際社会と緊密に連携しながら日本の果たすべき役割をしっかり果たしていきたいというふうに考えております。その上で、ウクライナにおける和平の在り方は、あくまでも公正で永続的なものでなければならないというふうに考えておりまして、この和平の在り方は世界の安全保障、インド太平洋の安全保障にも大きな影響を与え得るというふうに思っております。したがって、誤った教訓が導き出されるということにならないようにしなければならないと考えているところでございます。我が国としては、国難に直面するウクライナを支えるべく、これまで以上に、人道、財政、復旧、復興の分野で着実に支援を行っていきたいと思います。引き続き、国際社会における議論の行方を注視しつつ、また、国際社会と緊密に連携しながら、ウクライナ支援に取り組んで参ります。

【記者】G20の機会に中国の王毅外相やロシアのラヴロフ外相との個別会談は行いましたでしょうか。行われた場合はその内容をご紹介ください。行われなかった場合はその理由について併せて伺います。

【岩屋外務大臣】ラヴロフ外相との接触はありませんでした。王毅外交部長とはやり取りの内容は差し控えたいと思いますが、ごく短時間の立ち話を行いました。


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