記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和7年2月4日(火曜日)17時21分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見

冒頭発言

(1)石破総理の米国訪問

【岩屋外務大臣】冒頭二つ、御報告がございます。 まず、石破総理の訪米でございます。
 石破総理大臣は、諸般の事情が許せば、2月6日から8日まで、米国ワシントンD.C.を訪問し、トランプ大統領と、初となる対面での日米首脳会談を実施する予定でございます。
 また、諸般の事情が許せば、私(岩屋大臣)も、石破総理に同行する予定です。
石破総理とトランプ大統領の最初の対面での首脳会談となりますので、率直な意見交換を通じて、個人的な信頼関係を構築するとともに、安全保障や経済などの諸課題について、認識の共有を図り、一層の日米の協力を確認し、同盟を更なる高みに引き上げる機会としたいと考えております。

(2)グロッシーIAEA事務局長の訪日

【岩屋外務大臣】もう一つは、グロッシーIAEA事務局長の訪日でございます。 2月18日から20日まで、グロッシーIAEA事務局長が、外務省賓客として訪日する予定です。
 世界的な原子力の需要拡大や、一層厳しさを増す国際情勢を踏まえまして、グロッシー事務局長との間で、原子力の平和利用や、核不拡散をめぐる内外の諸問題について、じっくり意見交換を行いたいと思っております。
 また、今般、グロッシー事務局長は、東京電力福島第一原子力発電所を訪問します。福島県では、同事務局長の統括の下に、IAEAによりまして、ALPS処理水の海洋放出に関する追加的モニタリングが実施される予定です。
 今回の訪日を通じまして、ALPS処理水の海洋放出に関する国際社会の理解増進や、我が国の原子力をめぐる取組などに関するIAEAとの協力を、一層強固なものにしていきたいと思っております。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

イスラエルにおけるUNRWA関連法施行

【読売新聞 植村記者】イスラエルで、先月30日、同国における国連パレスチナ難民救済事業機関UNRWAの活動を禁止する新法が施行されました。人道物資の配布や医療への影響が懸念されますが、日本政府の受け止めを伺います。よろしくお願いします。

【岩屋外務大臣】我が国は、昨年10月に、イスラエル議会で可決されたUNRWAの活動を大幅に制限する法律が、今般、施行されたことに、深刻な懸念を表明いたします。
 UNRWAは、国連総会において決定されたマンデートに基づいて、パレスチナ難民支援において、必要不可欠な役割を果たしていると考えております。したがって、同法の施行によりまして、UNRWAの職員の移動や、物資の搬入等が大幅に制限されて、支援活動に深刻な影響を及ぼすことが懸念されます。
 特に、ガザ情勢をめぐる停戦合意の履行が進む中で、迅速かつ安全な人道支援の拡充、及びガザ市民の生活に不可欠な基礎サービスの提供の促進が、これまで以上に、今、必要となっております。
 我が国としては、これまでも、イスラエル政府へ累次の働きかけを行ってきましたが、UNRWAを含む国際機関による人道支援活動が可能な環境が、持続的に確保されることが極めて重要でありまして、引き続き、イスラエル政府への働きかけを含む外交努力を粘り強く行ってまいりたいと思います。

米国による関税措置

【共同通信 笠井記者】冒頭の訪米に関して、トランプ大統領が4日に発動予定だった、中国、メキシコ、カナダに対する関税について、中国以外は延期したものの、貿易戦争のような状況になっております。そのことへの大臣の所感と、日本、日本企業への影響、あるいは自由貿易体制の重要性について、大臣のお考えをお願いします。

【岩屋外務大臣】御指摘の関税措置をめぐる動向については承知をしております。我が国としては、こういう動向に、引き続き、高い関心を持って注視していきたいと考えております。その上で、その影響を十分に精査した上で、適切に対応していく考えであります。
 ルールに基づく自由貿易体制の維持、そして拡大は、我が国の経済外交の柱でございます。この自由貿易体制というものが、日本経済を含む世界経済の成長に不可欠な基盤を提供してきたと考えております。
 したがって、同志国との連携も強化しながら、ルールに基づく自由で公正な経済秩序の維持拡大のために、引き続き、取り組んでいきたいと思っております。

(1)ガザ傷病者への医療支援、(2)石破総理の米国訪問

【朝日新聞 里見記者】ちょっと2点伺いたいんですが、それぞれ違うテーマで。一つ目が、先ほども質問にありましたガザの関係なんですけれども、昨日の予算委員会で、石破首相が、そのパレスチナ自治区ガザ地区の住民について、受入れに対して意欲を示されたわけでありますけれども、検討を進めていることなんですが、その規模感とか、あと大体いつ頃を想定しているのか、その辺り検討状況を教えていただけたらというふうに思います。
 これ一つ目で、先ほど、冒頭御発言あった訪米に関してなんですけれども、岩屋大臣も訪米されるということなんですが、高校時代も旧知の仲でいらっしゃった孫正義さんが、トランプ政権に巨額の投資を表明したりとか、とても仲の良かった方が、今、米国との関係をしっかり深めようとしているところで、岩屋さんが今回行かれることのこの意味合いというか、岩屋さんだからこそ果たされるこの役割みたいなところ、どのように考えられているかをお尋ねできたらと思います。

(1)ガザ傷病者への医療支援
【岩屋外務大臣】まず、ガザについてですけれども、石破総理は正確におっしゃっていたと思いますけれども、ガザの現在の深刻な人道状況や、それを受けた世界保健機関WHOの要請も踏まえて、ガザの傷病者への医療支援につき、関係国との間で今、調整を進めているところでございます。いわゆるメディカル・エバキュエーション(medical evacuation)というふうに言っておりますけれども、ガザにおいて、傷病を患った方のうち、現地での治療が、なかなか困難だという、ごく少数の患者の方を、日本で治療をするという可能性について、今、政府内で検討しているところでございます。
 具体的な人数や、その態様・時期については調整中でありまして、現時点では決まっておりません。ごく少数の患者を日本で治療する場合には、治療後は現地に戻っていただくということが大前提でありますので、日本に定住させることを目的とするものではございません。

(2)石破総理の米国訪問
【岩屋外務大臣】それから、訪米ですよね。昨日は、ソフトバンクの孫社長さんとオープンAI社のアルトマンCEOの石破総理への表敬について、私(岩屋大臣)も同席をさせていただいたのですが、それは先般来、トランプ大統領とも懇意の孫社長、またアルトマン氏と、オラクルさんと組んで「スターゲイト」という、大規模な投資を米国で行う、孫社長から、今後、日米関係について、参考になることがあれば、アドバイスをいただきたいということで、会食をしたりということもいたしましたので、そのアルトマン氏が、訪日をされるというので、総理への表敬に、私(岩屋大臣)も同席をさせていただいたということでございます。
 総理の訪米に同行するというのは、私(岩屋大臣)は、あくまでも、外務大臣として、しっかり首脳会談の成果が上がるように、しっかりとお支えをしたいということで、同行させていただくということでございます。

石破総理の米国訪問

【日経新聞 馬場記者】今の日米首脳会談の関係でお伺いします。ちょっと重なるところもあるんですが、今回、大臣として同行されるということで、今回の会談をどのような会談にされたいかということと、あと、ルビオ国務長官やウォルツ大統領補佐官などの個別の会談も予定されているのかも改めてお伺いします。

【岩屋外務大臣】日米首脳会談が実現すれば、先ほどから申し上げておりますように、初の石破総理とトランプ大統領の対面での会談ということになりますので、今後の日米同盟、日米関係について、実りある、この同盟を更に高みに引き上げるための会談になってほしいと願っております。話題は、多分多岐に渡ると思いますし、その中身は、今、調整しているところだと思います。
 私(岩屋大臣)は、あくまでも総理に同行するという役回りで訪米するわけですが、何しろ時間が非常に限られておりますので、私(岩屋大臣)独自の日程がはまるかどうか、まだちょっと、そこは未定でございます。

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