記者会見
岩屋外務大臣臨時会見記録
(令和7年1月14日(火曜日)14時08分 於:ソウル(韓国))
冒頭発言
(大臣)今回、2025年最初の訪問国として、韓国を訪問いたしました。この韓国に続きましてこの後、フィリピン、パラオ訪問予定でございます。韓国、フィリピン、パラオはいずれも米国の同盟国、同志国であり、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、これらの国々との連携は、戦略的な観点から極めて重要だと考えております。その上で、諸般の事情が許せば、来週には米国を訪問する予定でございます。その際には、米国における議会承認の状況を踏まえつつ、日米外相会談を調整したいと思っております。今回の韓国、フィリピン、パラオ訪問も踏まえまして、米国と有意義な意見交換を行うことができると考えております。
こうした戦略的な外交を進めていくという意味で、昨日からの韓国訪問を通じて、大変良いスタートを切ることができたのではないかと思っております。今般の韓国訪問では、昨日のチョ・テヨル長官との会談を含む、一連の会談を通じまして、現下の戦略環境の下、北朝鮮への対応を含めて、日韓、そして日韓米が緊密に連携し、そして、この抑止力、対処力を強化していく、地域の平和と安定に貢献していく、このことの重要性を改めて確認をしたところでございます。このような関係を維持していくことは、我が国の国益にもかなうことだと考えております。チョ・テヨル外交部長官とは今後も緊密に意思疎通を図り、様々な課題について議論を続けていきたいと考えております。冒頭私からは以上です。
質疑応答
(記者)韓国日程を終えての所感を伺います。実際に日韓のハイレベルが対面で会うことの重要性を今回どのように感じましたでしょうか。また、実際に対面で会うことで、両国の国民に対してどういったメッセージを送ることが出来たと思うでしょうか。
(大臣)チョ・テヨル長官とはですね、これまでも数回対面で対談をしてきておりますし、電話会談も数回行ってまいりましたが、今般、韓国を訪れて、直接ですね、この環境の下で対談ができたと、議論ができたということは非常に有意義であったっと思っております。日韓関係の重要性は変わらないと、むしろますます増してきているということを内外にしっかり発信することができたのではないかと、私もそのために訪韓をしたわけでございますけれども、その成果を上げることはできたのではないかと考えております。
また、昨日の外相会談におきまして、日韓はもとより、日米韓の緊密な連携が必要だということでも認識を一致させることができました。また、今年は韓国との国交正常化60周年の節目、記念の年でもありますので、両国国民、特に日韓関係のこれから未来を担う若い世代の方々の交流をさらに後押ししていこうということでも一致いたしました。今後の実行が重要でございますので、日韓双方でしっかり取り組んでいきたいと考えております。
(記者)先ほど、大臣からも今回の韓国訪問の中で、日米韓3カ国の連携の重要性、改めて確認されたと言及がありましたけれども、来週訪米されるのに合わせて、ルビオ次期国務長官との会談も追求されているかと思います。トランプ新政権になって、日米韓の連携が維持されるよう、どのようにアメリカ側に働きかけていくお考えでしょうか。また就任式に合わせて日米豪印、クアッドの外相会合も調整されていると思いますけれども、トランプ政権下で、ミニラテラルの枠組みの連携のあり方について大臣の考えをお聞かせください。
(大臣)日米同盟は極めて地域、あるいは国際社会全体にとって大切であることは論を持たないことだと思いますが、それがためにも、日韓米、あるいは日米比、あるいは日米豪印、クアッド、これまで日米が力を合わせて築いてきた、こういうミニラテラルな枠組みも、非常に重要だと思っております。したがいまして、訪米の暁には、米国の議会の承認の状況も見極めなければなりませんけれども、ぜひ日米外相会談を始め、その他の会合も追求していきたいと考えており、そこで連携の重要性を確認していきたいと考えております。これらの取り組みを通じて、今後とも、自由で開かれたインド太平洋、この実現に向けてしっかりと、共に協力できる関係を築いていきたいと思っているところでございます。
(記者)先ほど岩屋大臣が韓国のチェ・サンモク大統領代行を表敬されましたが、大統領代行から今の韓国の内政の状況についてどのような説明を受けられたのか伺います。また、先ほども北朝鮮のミサイル発射、ありましたけれども、韓国の国内の状況が安全保障環境にも影響を及ぼしかねない、ロシアとの軍事協力を強めている北朝鮮などですね、地域の安全保障環境に影響を及ぼしかねない状況が続いていることについて、どのように受け止められて、今後どのようにその安全保障環境を確保していくのかということについて、お考えを伺います。
(大臣)チェ・サンモク大統領代行からはですね、最近の韓国の内政について説明がございました。詳細は差し控えたいと思いますけれども、憲法と法律の下で安定的に政策を実施していくように努めている、というご説明がございました。実際私も短い時間、期間でしたけれども、この目で安定的に国政が運営されているっていうことを、この目で確かめることができたように思っております。その上で、チェ・サンモク大統領代行との間では、今後とも日韓両政府間で緊密な連携を確保していこう、そして未来に向けて日韓関係をさらに発展させていこう、ということを確認したところでございます。
今朝も北朝鮮からのミサイル発射があったわけですが、最近のこの北朝鮮の動向、あるいは露朝協力の動向について、あらゆるところで議題に上りました。地域の平和と安定を脅かす行為だと思っておりまして、こういった脅威に対処していくためにも、いよいよ日韓、あるいは日米韓の協力、連携が必要だということを、改めて思った次第でございます。
(記者)改めて今朝の北朝鮮の飛翔体の発射に関して受け止めを伺います。北朝鮮を巡っては先日ブリンケン国務長官が韓国に訪韓しているときにも弾道ミサイルを発射しております。今回、岩屋大臣が韓国に行かれて、実際にハイレベルと会談をして日韓の連携強化を確認したその矢先に、こういった行動を北朝鮮がとったことに関して、率直にどのように感じているか伺います。
(大臣)北朝鮮側の意図や狙いについてですね、我が方から述べる立場にはないわけでございますが、いずれにしても、北朝鮮による核ミサイルの開発はいずれも国連決議違反でございますし、地域の平和や安全を脅かす、行為であって断じて許されないと思っております。今朝のミサイルの詳細については今、東京でも分析をしっかり行っていますが、今後とも韓国、米国等とも緊密に連携して、こういった脅威に対して適切に対処していく考えでございます。