記者会見

岩屋外務大臣会見記録

(令和6年12月24日(火曜日)16時16分 於:本省会見室)

(動画)岩屋外務大臣会見の様子

冒頭発言

(1)岩屋外務大臣の中国訪問

【岩屋外務大臣】冒頭、私(岩屋大臣)から、二つ御報告がございます。
 まず、中国訪問でございます。
 明日25日、私(岩屋大臣)は中国・北京を訪問いたします。
 今次、訪問におきましては、王毅(おう・き)外交部長と、初めて対面での会談を行うほか、第二回の日中ハイレベル人的・文化交流対話も実施する予定でございます。
 隣国である中国との関係は、我が国にとって、最も重要な二国間関係の一つです。日中両国間には、様々な可能性とともに、数多くの課題や懸案もございますが、両国は、地域と国際社会の平和と繁栄にとって、共に重要な責任を有しております。
 11月には、石破総理と習近平(しゅう・きんぺい)国家主席との間で、「戦略的互恵関係」の包括的な推進と、「建設的かつ安定的な関係」の構築という大きな方向性の下で、幅広い分野において意思疎通を一層強化し、課題と懸案を減らし、協力と連携を増やしていくために、互いに努力することを確認いたしました。
 王毅外交部長との間でも、そうした方向で、率直かつ突っ込んだ意見交換を行っていきたいと考えております。

(2)補正予算によるガザを含むパレスチナ関連支援

【岩屋外務大臣】もう一つは、ガザ情勢と補正予算案による支援でございます。
 ガザでは、戦闘が長期化し、今なお危機的な人道状況が続いております。
 こうした中で、ガザの人道状況改善のために、令和6年度補正予算の中で、ガザを含むパレスチナ関連支援として、135億円、約1億ドルの追加支援を決定いたしました。
 今回決定した具体的な支援には、JICA(国際協力機構)や国際機関を通じた、医療や保健・衛生、食糧、パレスチナに対する財政支援、瓦礫除去、廃棄物の処理、インフラといった、多岐にわたる分野における支援を含んでおります。引き続き、ガザの人道状況の改善に、積極的に取り組んでまいる決意です。
 冒頭、私(岩屋大臣)からは以上です。

第216回臨時国会(閉会)

【NHK 米津記者】今日で、臨時国会が閉会となりました。少数与党として臨んだこの臨時国会、閉会にあたっての所感を伺いたいと思います。今国会では、一部野党の賛成も得て、補正予算が成立したほか、政治と金の問題ですとか、103万円の壁などで議論が行われました。与野党の様相が変わった中での、この国会の議論の経過を、どのように御覧になったかもお聞かせください。

【岩屋外務大臣】政府の立場で、国会運営全般についてお答えするというのは適切ではないと思うんですけれども、政治家個人という立場で申し上げますと、少数与党になったことによって、以前も申し上げましたが、やはり物事を進めていくために、野党の皆さんの声も聞かせていただいて、野党の意見も取り入れなければ、予算も法律も通すことはできないという状況にあるわけです。 そして、逆の意味で言いますと、野党の皆さんも、国政の推進といったものに責任を持っていただかなくてはいけない。それを共有していただく必要がある。そういう政治状況が出現しているわけでございます。
 そういう中で、私(岩屋大臣)は、今国会、短い会期ではありましたが、しっかりと議論を交わすことができたのではないかと、与野党間で、そう思っておりまして、まだ積み残しの課題もありますけれども、政治資金法の改正についても、あるいは、その、今おっしゃった103万円の壁の取り払いというか、これについても、完全に答えが出ているわけではありませんが、かなり双方が歩み寄って、答えを出そうという努力が、今日まで進んできていると思いますので、徐々に熟議の国会に近づいてきているのではないかと。熟議の政治という、新しい政治文化が、ここから生み出されつつあるのではないかと。また、是非そうあるべきだというふうに、個人的には考えているところでございます。
 したがって、外交、あるいは安全保障政策についても、丁寧に我々の考え方を、政府の考え方を説明をさせていただいて、また、国会の御意見、野党の皆さんの御意見もしっかり聞かせていただいて、できるだけ幅の広いコンセンサスを作るということが、日本外交の推進力というものにつながっていくと思いますので、引き続き、そういう努力をしてまいりたいと考えております。

第216回臨時国会(政治改革関連3法案)

【共同通信 阪口記者】関連してお尋ねします。今回、少数与党となったわけですけれども、その要因として、10月の衆院選挙で敗北したことがあると思います。敗北の要因としては、やはり派閥の裏金問題というのがあったと思いますけれども、それを巡っては、この後、政治改革関連法案が成立する見通しです。その一方で、不記載だった安倍派の議員18人の参院の政治倫理審査会での審査を来年に持ち越しとなりました。年内に決着をつけたいという思いも、与党側にはあったのではないかなとも思いますけれども、このような結果になったことについては、どのように受け止めていらっしゃるか、お尋ねします。

【岩屋外務大臣】これも、国会運営上のことについて、政府としてコメントするのは必ずしも適切ではないと思います。
 その上で、これもまた政治家個人としての感想ですけれども、そういう中にあっても、一部積み残しの課題があるとしても、政治と金の問題に端を発する政治改革関連法が、かなりの部分、合意をみて、成立をしたということは大きな成果だったのではないかなと思います。
 残された課題についても、熟議を重ねて、できるだけ早く答えを出していくべきだと思っておりますし、それから、衆議院段階では、政倫審での作業は、大体終わったのですかね。国会の日程上の関係もあって、積み残しがある、参議院の方は、まだ全部終わっていないということだと思いますが、是非、そういう機会はもとより、あらゆる機会を通じて、関係議員の皆さんには、しっかりと説明を果たしていっていただきたいと思っております。

ウクライナ情勢(トランプ次期米政権の対応等)

【インディペンデント・ウェブ・ジャーナル 濵本記者】ロシア・ウクライナ戦争について伺います。
 第二次トランプ政権で、ウクライナ・ロシア担当特使に指名されたキース・ケロッグ退役陸軍中将が、1月に、欧州とキエフを歴訪予定とされています。ロイターが、12月18日付で報じました。
 ケロッグ氏の訪問の目的は、ロシア・ウクライナ戦争の早期終結だとされています。ケロッグ氏は、またFOXニュースのインタビューで、「今は、停戦のパーフェクトなタイミングだ」とも述べております。岩屋大臣は、16日、ウクライナのスヴィリデンコ第一副首相と会談し、ウクライナ支援の継続や緊密連携を約束されましたが、ケロッグ氏の発言や欧州諸国の動き方から、現在、「トランプ2.0」体制への適合準備を進めていることは明白です。米国は、後景に退き、欧州には平和維持軍を出すことを期待し、日本には、資金の支援を押し付ける方向に固められつつあるようにも思われます。石破政権及び岩屋大臣は、第二次トランプ政権の外交戦略をどのように読み取り、どのように和平の実現を急ぐか、御見解をお聞かせください。

【岩屋外務大臣】様々な報道があることは承知をしておりますが、米国のトランプ次期政権は、まだ発足をしておりませんので、発足後、にウクライナも含めて、どのような外交方針をとってこられるかということについて、まだ、予断を持って申し上げることはできないと思っております。
 その中で、今、御指摘のあったウクライナについて、日本に資金負担を押しつける方向に固められつつあるという指摘は、当たらないと考えております。
 私どもとしては、もちろん早く平和が回復されるというか、停戦が行われることに越したことはないと思っているんですけれども、しかし、それは、あくまでもウクライナに、公正かつ永続的な平和が実現されるということが前提だと思っておりますので、そのために、どういう形がふさわしいかということを、これから米国を始め、国際社会と緊密に連携していきたいと思っておりますし、その間は、力強くウクライナの支援を続けていかなければいけないと思っておりますし、同時に、対露制裁も継続していかなければいけないと思っております。
 これからウクライナも厳しい冬を迎えるわけで、もう迎えておられると思いますが、そこで、日本は発電機材とか、そういう越冬のための支援も行ったりしておりますが、そういう、きめの細かい支援も含めて、ウクライナをしっかり支援をしてまいりたいと考えております。

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