記者会見

岩屋外務大臣臨時会見記録

(令和6年11月26日(火曜日)16時56分 於:フィウッジ(イタリア))

冒頭発言

 まず最初に、石川県沖で発生した地震で被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。先ほど、2日間にわたるG7外相会合の全日程を終えましたところでございます。私にとっては今回が初めてのG7外相会合への参加となりました。

 会合を通じて、分断や対立が深刻化する現在の国際社会において、価値や原則を共有するG7がしっかりと連携を維持・強化することの重要性をG7各国と改めて確認をしたところでございます。また、世界の多くの国々ときめ細やかに連携し、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持していくという考え方を、G7各国と共有することができました。

 まず、中東情勢につきまして、G7及びアラブ諸国と3時間以上にわたり議論を行いました。地域の安定を取り戻すための外交努力や、悪化するガザの人道状況への対応、イスラエル・ヒズボラ間の停戦を巡る動き、今後のガザ復興を見据えた支援をはじめ、中東を取り巻く諸課題につきまして、突っ込んだやりとりを行いました。そして、喫緊の課題であります人道支援を迅速に増加させるとともに、全ての当事者に自制を求めるために、引き続き連携して各国と連携して取り組んでいくことで一致をみたところでございます。

 次に、ウクライナ情勢についてですが、北朝鮮によるロシアへの兵士派遣や戦闘への参加、さらにはロシアによる中距離ミサイルの発射に対する深い懸念を共有いたしました。そして、戦闘が拡大する中、G7が引き続き連携してウクライナを強力に支援していくことで一致をしたところでございます。私からは、先般のウクライナ訪問を紹介し、越冬支援やエネルギー分野への支援を含む我が国の取組についても説明をいたしました。

 インド太平洋については、東・南シナ海情勢、北朝鮮の核・ミサイル問題、露朝協力について深刻な懸念を共有いたしました。特に今回、インド太平洋から4か国が招待される中、私から、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」を守るべく連携していくことの重要性を強調し、引き続きG7を含む関係国で協力して対応していくことで一致をみたところでございます。また、私から拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を改めて求め、各国から支持を頂きました。

 アフリカや中南米・カリブ地域で政情不安を抱える国々についても議論を行い、G7間で認識を共有したところでございます。

 G7及び招待国の外相が一同に会するこの機会に、来年G7議長国を務めるカナダに加え、イギリス、フランス、インド、フィリピンの各外務大臣と二国間会談を行いました。さらに、G7外相会合前には、ローマにおいて、日伊ACSAにも署名しました。安全保障関係を含め、日イタリア関係の一層の深化につながるものと思っております。

 今回の訪問では、G7及び招待国の外相と、国際社会が直面する幅広い課題について、膝を突き合わせてじっくりと議論を交わすことが出来ました。G7の力強い結束を確かめるとともに、国際社会のパートナーとの連携を強化することもできました。各国外相と個人的信頼関係を構築できたことも貴重な財産です。今回の議論も活かしつつ、引き続き力強い日本外交を展開してまいります。

質疑応答

(記者)大臣は今日、韓国のチョ・テヨル外相と短時間言葉を交わされ、韓国の外務省は、佐渡の金山の追悼式を巡る問題がですね、両国関係の発展に影響を及ぼさないようにしながら前向きな流れを続けていく考えで一致したと発表しているわけですけれども、韓国の外相でどのようなやり取りがあったのか、どのような一致点を見たのか教えて頂きたい。

(大臣)本日午前、G7外相会合の会場において、韓国の趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官と短時間の懇談の機会がございました。チョ長官とは、日韓間には難しい問題もあるが、佐渡島の金山の追悼式を巡る問題が両国の関係に影響を与えないようにすることで一致し、様々なレベルでこれからも緊密に意思疎通していくことを確認したところでございます。

(記者)G7の結束についてお伺いいたします。先ほど大臣G7の連携維持強化の重要性を確認された、また来年の議長国のカナダとも個別の会談をされて、引き続き結束をするということを確認されたということだと思います。一方で多国間競争に否定的なトランプ米大統領が来年就任する中、如何にしてG7の結束を強化していかれるか、日本政府としてどのように取り組んで行かれるか考えをおきかせください。

(大臣)トランプ次期大統領が就任後にどのような方針を取られるかについて、予断することは控えたいと思います。その上で、今回の議論を通じまして、価値や原則を共有するG7の結束が今後も引き続き重要であること、また法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化が重要であるということについて、次回の外相会合のG7議長国を務めるカナダのジョリー外相との会談においても、確認したところでございます。引き続いて、我が国としては、日米同盟をしっかりと維持、またこれを強化し、G7のパートナー国と共に、こういった法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に取り組んでまいりたいと思っております。

(記者)冒頭でも北朝鮮についてお触れになられましたけれども、ウクライナ侵攻を続けるロシア派兵をした北朝鮮への対応について今回の会合で議題に上っていると思いますが、北朝鮮に対する制裁などにについて、G7各国で一致した点や成果があったのかどうかお尋ねします。日本政府として更なる制裁の強化の必要性についてもどう考えるか、お尋ねします。中国を巡っては、不透明な軍備拡大であったりとか経済安全保障上の懸念がですね、数多く指摘されております。G7の各国間で中国との距離感が若干異なることがあると思いますけれども、会合での成果や一致点、来年への課題についてどう考えるかお尋ねします。

(大臣)今回の会合では、露朝関係についても多くの議論が交わされ、北朝鮮の部隊のロシアへの派遣及びウクライナに対する戦場での使用、つまり戦闘への参加について深刻な懸念を共有いたしました。今後の新たな制裁についても、G7で連携して対応していくことで一致をみたところでございます。
 中国に関しては、G7として、中国との建設的かつ安定的な関係を追求する中で、しかし懸念についてはこれを直接伝達し、お互いの相違を管理するための直接的かつ率直な対話が重要だと一致をみました。グローバルな課題に対処するために中国と協力する用意があることでも一致をみたところでございます。今後とも、露朝協力、また中国を含むインド太平洋の課題について、G7で緊密に意思疎通しつつ、取り組んでいきたい。

(記者)先日ICCがイスラエルのネタニアフ首相とガラント前国防省とハマスの軍事部門のデイフ司令官に逮捕状を出しました。加盟国としては身柄拘束の義務を負うことになるけれども、今回のG7で今後の対応についての議論があったのか、また一致点はみられたのか。それから日本政府としての対応をどうしていくのか考えをお聞かせてください。

(大臣)今回のG7の議論において、特に中東セッションにおきまして、ご指摘の件を含む幅広い課題について率直に議論を行った。その上で、パレスチナ情勢に関し、一般論として、あらゆる状況における国際人道法を含む国際法上の義務の完全な遵守へのコミットメントを再確認しました。我が国はICCの独立性を尊重してきており、また、パレスチナ情勢にいかなる影響を与えるかという観点も含め、捜査の進展を重大な関心をもって引き続き注視していきたいと思っております。

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