記者会見
林外務大臣会見記録
(令和5年4月25日(火曜日)16時58分 於:本省会見室)
日露関係(ロシアによる千島連盟の「望ましくない外国NGO団体」指定)
【北海道新聞 荒谷記者】ロシアの最高検察庁が、「千島歯舞諸島居住者連盟」を「望ましくない団体」と指定したことについて伺います。松野官房長官は、ロシアに抗議をして、連盟や所属する元島民の活動に悪影響が出ることはあってはならないと、先日の記者会見で答えましたけれども、元島民の間では、途絶えている墓参が、ますます遠のくのでは、と不安が広がっています。墓参再開に向けた交渉状況と、具体的な打開策について、どのように考えていらっしゃるか伺います。
【林外務大臣】4月21日ですが、ロシアの最高検察庁は、北方領土の元島民の方々と、その後継者で組織される千島歯舞諸島居住者連盟を、いわゆる「望ましくない外国NGO団体」に指定する旨を発表したと承知しております。
ロシア側の主張は、極めて一方的なものであり、元島民の方々とその御家族、関係者の気持ちを傷つけるものであります。4月24日、外交ルートを通じて、ロシア側に対して、これらを申し入れ、今般の発表は受け入れられない旨抗議をいたしました。
本件の影響について予断を持ってお答えすることは差し控えますが、いずれにせよ、北方墓参を始めとする四島交流等事業の再開、これは、今後の日露関係の中でも、最優先事項の一つであります。
こうした事業が、一日も早く再開できるような状況となることを強く期待しており、相互の大使館等を通じて、外交上のやり取りを行っております。
引き続き、特に北方墓参に重点を置いて、適切に対応してまいりたいと考えています。
スーダンの邦人退避
【朝日新聞 上地記者】スーダンからの邦人退避についてお伺いします。今、スーダン南部の国境には、退避を希望しているが、まだできてない人が1人おり、また、更に今後希望者が出た場合、政府として、どのように対応するお考えでしょうか。また、今回のオペレーションで、各国との連携や自衛隊の派遣情報収集など、邦人退避について、課題や改善点などがあればお伺いします。
【林外務大臣】今般のスーダンにおける一連の退避オペレーションによりまして、約60名の在留邦人のうち、24日までにスーダンからの退避を希望していた方のほとんどが退避を終えておられます。
引き続き、ジブチの在スーダン日本大使館臨時事務所におきまして、関係各国とも緊密に連携しつつ、新たに退避を希望する方が出てくる可能性も踏まえ、スーダンに残留している邦人への支援に全力を尽くす考えであります。
また、今般の邦人退避にあたりましては、韓国、フランス、ドイツ、米国、英国、UAE、サウジアラビア、そして、国連や国際赤十字など、多くの関係各国や機関の協力をいただきました。具体的連携の詳細について申し上げることは差し控えますが、各国・機関からの協力に対し、心から感謝を申し上げたいと思います。
駐仏中国大使の発言
【毎日新聞 竹内記者】中国の駐フランス大使の発言についてお伺いします。中国の駐フランス大使は、ウクライナなど旧ソ連から独立した国に関し、「主権国としての地位を具体的に示す国際合意は存在しない」と述べ、東欧諸国、ウクライナなどが一斉に反発しています。この発言をどのように受け止めますでしょうか。
【林外務大臣】御指摘の駐仏中国大使による発言を承知しておりますが、こうした発言の一つ一つにコメントすることは差し控えたいと思います。
なお、同大使の発言を受けて、駐仏中国大使館は、発言は大使の「個人的見解」である旨の声明を出しておりまして、中国外交部は、ソ連解体後の旧ソ連に加盟していた各共和国の主権国家の地位を尊重している旨コメントしていることも承知しております。
中国紙幹部のスパイ罪起訴
【共同通信 桂田記者】中国共産党系紙の幹部を務めた董郁玉(とう・いくぎょく)氏が、日本人外交官に情報提供したなどとして、スパイ罪で起訴されたことが判明しました。昨年2月には、董氏と会った日本大使館員を中国当局が一時拘束して取り調べ、日本政府は、当時、厳重抗議をしています。今回の動きへの受け止めと、今後の中国における外交活動への影響についてお聞かせください。
【林外務大臣】今、御質問の件につきまして、関連する報道を承知しておりますが、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたいと思います。
オーストラリアの国防方針
【読売新聞 依田記者】この度、オーストラリアが国防方針の概要を発表し、長距離打撃能力の強化など、中国抑止の姿勢を鮮明にしました。この国防方針の評価と、今後の日豪協力をどのように進めていくかについて、見解をお願いします。
【林外務大臣】24日ですが、豪州政府は、自らが委託した国防戦略レビューの完了を受けて、現下の戦略環境の下で、豪州の国防と国益を守るための取組の方向性、これを公表したと承知しております。
国際秩序の根幹が揺らぎ、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、今般示された方向性は、豪州の抑止力強化を通じ、インド太平洋地域の平和と安定に資するものであり、我が国として歓迎いたします。
我が国は、「国家防衛戦略」において、豪州との間で、日米防衛協力に次ぐ緊密な協力関係を構築していくこととしておりまして、今国会で審議しております、日豪部隊間協力円滑化協定も、それを推進するための重要な枠組みとなります。今後とも、基本的価値と戦略利益を共有する日豪の「特別な戦略パートナーシップ」を、一層強固なものにするように努めてまいりたいと考えております。
衆議院山口県第4区の補欠選挙
【毎日新聞 竹内記者】大臣の選挙区と隣接する、衆院山口4区の補選の結果についてお伺いします。23日の投開票の結果、自民党新人の吉田真次さんが当選しました。投票率は、過去最低を記録しました。この結果をどのように受け止めていますでしょうか。また、この結果、山口県内では現職衆院議員が4人となり、県内選挙区の減少に伴う次期衆院選候補者の調整が必要になります。当事者の1人として、どのような調整を望みますか、お考えを教えてください。
【林外務大臣】選挙結果につきまして、外務大臣の立場から評価することは差し控えたいと思います。なお、今後の候補者調整については、山口県連等を中心として、いろいろな議論がなされていると承知しておりまして、しっかりそれを見守りながら対応してまいりたいと考えております。
鈴木宗男参議院議員のロシア訪問
【時事通信 田中記者】日本維新の会の鈴木宗男参院議員が、この連休にロシアを訪問することを検討していると一部報道がありますが、鈴木議員は、かねてから、ウクライナ情勢について、欧米のウクライナへの武器供与に反対したり、あとは、双方に言い分があるというような発言して、日本政府の外交方針と大きく異なっていると思うんですけれども、この訪問が、国際社会に間違ったメッセージを与えないかどうかという点と、ロシアは、危険情報がレベル3以上で、渡航中止の勧告が出されていますが、実際に訪露するにあたって、外務省としての見解をお聞かせください。
【林外務大臣】政府といたしましては、基本的立場として、ロシア全土にレベル3、すなわち「渡航中止勧告」以上の危険情報を発出しておりまして、どのような目的であれ、ロシアへの渡航は止めていただくよう、国民の皆様に求めてきておるところでございます。
その上で、報じられております鈴木宗男参議院議員のロシア訪問につきましては、現在国会において調整が行われているところと承知しておりまして、政府としてコメントすることは差し控えたいと考えております。
スーダンの邦人退避
【NHK 岩澤記者】スーダン情勢について伺います。これまで、日本人やその家族、合わせて58人が、無事にスーダンから退避できたことについての大臣の受けとめをお願いいたします。またこうした、既にジブチに退避をした日本人について今後日本への帰国などに向けて具体的に外務省としてどのように支援する予定でしょうか。
【林外務大臣】先ほど申し上げましたように、今般のスーダンにおける一連の退避オペレーションによりまして、約60名の在留邦人のうち、24日までにスーダンからの退避を希望していた方のほとんどが退避を終えております。
皆様の希望に応じて、今後のフォローもしっかりとやってまいりたいと思っております。
そして、この邦人退避に当たっては、先ほど申し上げましたように、韓国、フランス、ドイツ、米国、英国、UAE、サウジアラビア、国連、国際赤十字など、多くの関係各国や機関の協力を得たところであります。各国から、また各機関からの協力に対して、心から感謝を申し上げたいと思います。