記者会見

茂木外務大臣臨時会見記録

(令和元年9月11日(水曜日)21時01分 於:本省会見室)

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冒頭発言 茂木外務大臣就任の辞

【茂木外務大臣】このたび外務大臣を拝命し,日米貿易交渉も引き続き担当することになりました茂木敏充です。日本外交が直面する諸課題に全力で取り組みたいと思いますので,記者クラブの皆さんにもよろしくお願い申し上げる次第であります。
 日米貿易交渉について,目標として掲げた9月末の協定署名に向けて,全力で取り組んでいるところでありまして,日米双方にとってウィン・ウィンとなる協定をしっかり仕上げたいと思っております。
 外務省との関わりということで言いますと,2002年10月から約1年間,外務副大臣を務めました。翌年,2003年の3月にはイラク戦争が勃発した,こういう時期でもありましたが,当時と比較してみても,日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増し,また,国際情勢は大きく様変わりをしていると考えています。国際社会におけるパワーバランスの変化が加速化・複雑化する中で,既存の国際秩序をめぐる不確実性が一層高まっているわけであります。
こうした中,これまで安倍総理が「積極的平和主義」の立場から展開してきた「地球儀を俯瞰する外交」を更に前に進めるために,包容力と力強さを兼ね備えた外交を展開していきたいと思います。
まずは,日本外交の基軸である日米同盟をさらに深化させ,そして(1)拉致,核,ミサイルといった北朝鮮をめぐる諸懸案への対応,(2)中国・韓国・ロシアを始めとする近隣諸国外交,(3)緊迫する中東情勢への対応,(4)新たな共通ルールづくりを日本が主導する経済外交,そして(5)地球規模課題への対応,に焦点を当て,これまでの先人達の努力の上に,新たな一歩を踏み出したいと考えています。
 さっそく今月末には国連総会が控えています。これから仕事をしていくことになる各国外相との間で信頼関係を築きながら,国際社会において日本がリーダーシップを発揮すべきフロンティアを切り拓いていく,その第一歩にしたいと考えております。

イラン情勢(ホルムズ海峡,日米同盟)

【テレビ東京 坂井田記者】「包容力と力強さを兼ね備えた外交」とおっしゃいました。特にイラン情勢,いま緊迫しておりますけれども,日本外交らしさを出せるところなのかなと思うんですが,茂木大臣として日本らしさ,どのように出していきたいと考えていらっしゃいますでしょうか。
 
【茂木外務大臣】冒頭,私(大臣)が「包容力と力強さを兼ね備えた外交」というお話をしましたが,包容力は言ってみますと,多様性を尊重し,調整力を発揮する。そして力強さは,リーダーシップをとって行動力を発揮する。こんなふうに概要では考えています。
 そこの中で今の中東情勢,ペルシャ湾をめぐる問題につきまして,まず日米同盟,この日米同盟は日本の安全保障の基軸でありまして,国際社会の平和と繁栄にも大きな役割を果たしております。中東情勢に関しても,我が国はこれまで米国との間で緊密にやり取りを行ってきています。また中東地域,私(大臣)も経済産業大臣としても様々な問題を担当してまいりましたが,地政学上の要衝に位置をして,原油そして天然ガス等のエネルギー資源を世界に供給する重要な地域であります。我が国は原油輸入量の8割以上を中東地域に依存しているわけであります。
 特にホルムズ海峡における航行の安全を確保することは,我が国のエネルギー安全保障上きわめて重要であり,我が国を含む国際社会の平和と繁栄にとって喫緊の課題であると考えております。
 こうした背景から,従来から我が国は資源・エネルギー分野を中心に,中東諸国の関係を築いてきたわけでありますが,現在はより幅広い経済分野における協力,更には経済分野に留まらず政治・安全保障,文化・人的交流を含む多層的な関係の構築を進めているところであります。イランとの関係をとってみましても,伝統的な友好関係を維持強化してきており,特に本年は日イラン外交関係樹立90周年を迎え,様々な周年事業が行われるところです。こういった中東諸国との友好関係,そして米国との同盟関係を生かしながら,中東の平和と安定に向け日本としての取組を引き続き行っていく考えであります。
 総理も今年の6月,イラン訪問,そして今月下旬で調整をしているローハニ大統領との会談を含めて,中東における緊張の緩和と情勢の安定化に向けた我が国の外交努力を継続していく。このことを基本にしっかりと取り組んでいきたいと思います。

香港情勢

【TBS 日下部記者】大臣には香港情勢について,大臣のお考えをお伺いしたいと思うんですけれども。ご存じのように3か月以上にわたって香港の自由と民主化のために多くの市民が抗議の声を上げているわけです。彼らは国際社会に向かっては,香港状況の理解と支援を求めているわけですけれども,大臣は,日本も積極的に支援の声を上げていくべきだとお考えですか。それとも中国政府の言うように,あくまでもこれは内政問題なんだから干渉はしない方がいいじゃないかとお考えですか,その点をお聞かせください。
 
【茂木外務大臣】昨今の香港における逃亡犯罪人条例改正案等をめぐる動きについては,この数週間を見ただけでも,デモ隊と警察等の衝突が激化をして,テレビの画面を通じても多数の負傷者が出ている,こういったことを大変憂慮しているところです。
 先般の香港政府による逃亡犯罪人条例の改正案の正式な撤回の発表には留意をしております。本件をめぐっては,関係者間の平和的な話し合いを通じて事態が早期に収拾をされ,香港の安定が保たれることを強く期待しているところです。
 先般の日中首脳会談においても,安倍総理から,引き続き「一国二制度」の下,自由で開かれた香港が繁栄していくことの重要性を指摘したところでありまして,引き続き高い関心を持って情勢を注視していきたいと思っております。

日韓問題

【共同通信 福田記者】日韓問題について伺います。労働者問題で韓国による協定違反の状況は是正されていません。こういう状況であっても国際会議などマルチのスロットがあれば,韓国側のカウンターパートと積極的に意思疎通していくお考えでしょうか。
 
【茂木外務大臣】積極的にかどうかは別にしまして,意思疎通はしてまいります。 
 

日露関係(北方領土)

【産経新聞 力武記者】日露関係についてお伺いしたいんですけれども,北方領土問題で,なかなか具体的な進展が最近の交渉の中では見えていない状況が続いていますけれども,先ほど総理は記者会見の中で,ラヴロフ外相との間でも茂木大臣にはその手腕を発揮して,交渉をしっかり進めてもらいたいと期待感を示しておられました。今後,こうした膠着状況の打開に向けて,ラヴロフ外相との間でどのように交渉していくお考えかをお聞かせいただけますでしょうか。
 
【茂木外務大臣】まず若干遡りますと,昨年の11月のシンガポールでの日露首脳会談で,両首脳は1956年の共同宣言を基礎として平和条約交渉を加速させることで合意致しました。安倍総理とプーチン大統領は,この戦後70年以上残された課題を次の世代に先送りすることなく,両首脳の手で必ずや終止符を打つという強い意思を完全に共有しているわけです。その上で,9月5日の首脳会談では,平和条約締結問題について忌憚のない意見交換を行い,未来志向で作業することを再確認しました。またその際,両首脳は交渉責任者である両外相に対して,双方が受け入れられる解決策を見つけるための共同作業を進めるよう,改めて指示をしたところであります。
 今日,総理と立ち話をしたのですけれども,ラヴロフ外相とできるだけ早く話をしてほしいという話もありました。ラヴロフ外相とできるだけ早く話をしたいと思っております。まさに,両首脳は11月にチリで開催されるAPEC首脳会議でも,次回会談を実施することで一致をしているところであります。政府として領土問題を解決して,平和条約を締結する,こういう基本方針の下,粘り強く交渉に臨んでいきたいと思っております。
 
【NHK 渡辺記者】今の日露の関連なんですけれども,1956年の日ソ共同宣言に基づいて交渉を進めていくということで,これまでと違ったアプローチになったと思っているんですけれども,その後,両外相間,交渉責任者においても,なかなか歴史的認識,北方四島についての隔たりが大きいままで膠着してきていますが,大臣ご自身としましては,そうした隔たりをどうやったら乗り越えていけると,新たな局面が開けると考えていらっしゃるでしょうか。
 
【茂木外務大臣】今日,就任したばかりでありますので,ラヴロフ外相と話をしたこともありません。まずは基本的な考え方,お互いに忌憚なく意見交換する,こういったことから始めていきたいと思っております。当然,お互いの立場は違いがあるわけですが,それを乗り越えていく,これが外交であります。そして,それが交渉であります。
 ライトハイザー通商代表とも私(大臣)は,7回にわたって閣僚協議を行ったわけです。最初から溝が埋まっていたわけではありません。相当な溝があり,そして国益と国益がぶつかる,こういう難しい交渉でありましたが,それは日米の信頼関係,そして,安倍総理,トランプ大統領の個人的な信頼関係,こういったものもあったので最終的に一致点を見出せたと思っております。おそらく,安倍総理とプーチン大統領,27回にわたって首脳会談を行なっている。同じような信頼関係を持っている。それをベースにしながら,話し合いをスタートしていきたいと思っております。 

日米貿易交渉

【毎日新聞 秋山記者】大臣,今,ご言及がありました日米貿易交渉も元を正せば,米国,トランプ政権のTPP離脱から始まっており,イラン情勢についてもアメリカのJCPOA離脱ということが大きな引き金になっていると思います。こういった点で,日米の信頼関係ということをおっしゃいましたけれども,単独主義の傾向が強まる米国に対して,どのように大臣は働きかけていけばいいか,どういうふうにお考えでしょうか。
 
【茂木外務大臣】日米同盟は我が国のみならず,インド太平洋地域,そして国際社会の平和,繁栄および自由の礎であります。北朝鮮情勢を始め,地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中で,日米同盟の重要性は一層高まっていると考えております。令和初の国賓としてのトランプ大統領夫妻訪日に象徴される,両首脳の活発な往来・会談を通じて,日米同盟はかつてなく強固になっていると考えております。
 そして,首脳間の個人的な信頼関係,これも重要でありますが,それのみならず平和安全法制の成立を始めとし,同盟の強化に着実に取り組んできた成果でありまして,引き続き同盟の強化に取り組んでいきたい。一方で,経済関係につきましても,先ほど申し上げましたように,これから日米貿易協定,いよいよ仕上げの段階に入っているという形でありまして,経済においても,また安全保障においても,さらには様々な人的な交流,文化的な交流においても,アメリカとの関係,しっかりと作っていきたい,こんなふうに考えております。

パレスチナ情勢

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 最近パレスチナで動きがありました。昨日,イスラエル首相はヨルダン川西岸の一部地域をイスラエルに併合すると発表しています。
 日本の立場としては,そのようにある国が領土を併合し,自国の主権の一部と考えるような政策を懸念するものと理解しますが,大臣は,この問題に関しどのようにお考えでしょうか。
 
【茂木外務大臣】確かにですね,ネタニヤフ首相と,ヨルダン川西岸地域のうち,ヨルダン渓谷,それから死海の北部地域をイスラエルに併合し,支配下に置くと,こういう考え方を示されたという話でありますが,そのことについては承知をいたしておりますが,海外の選挙期間中に行われた発言の一つ一つについて,コメントすることは控えたいと思っております。
 その上で申し上げますと,我が国はイスラエル・パレスチナ間の二国家解決を支持しておりまして,中東和平は当事者間の交渉によって解決すべきだという立場であります,また,入植地については,我が国は入植活動の完全凍結を繰り返し呼びかけているところでございます。
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