記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年5月7日(火曜日)10時40分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)中南米及びロサンゼルス出張について

【岸田外務大臣】4月28日から5月5日までメキシコ、ペルー、パナマの中南米3か国とロサンゼルスを訪問させていただきました。外務大臣が中南米3か国を訪問するのは26年ぶりのことです。ロサンゼルスを訪問するのは19年ぶりとのことであります。この地域で日本外交の存在感を示すことができたと感じています。
 メキシコでは中南米政策スピーチを実施いたしました。その中で二つの柱、すなわち一つ目は成長センターとなっている中南米との経済関係強化、そして、二つ目として、近年国際的影響力を増す中南米とルール作りに基づく国際社会を形成するためのグローバルな協力推進、この二つを柱として訴えさせていただきました。訪問した中南米3か国との間でもこの二つの分野での協力を強化することで一致をいたしました。
 また、メキシコ、ペルー、ロサンゼルスでは日本外交の貴重な財産といえる日系人の方々と意見交換し、日系人との交流の重要性を改めて痛感いたしました。

(2)オランド・フランス共和国大統領の来日について

【岸田外務大臣】本日の閣議において、オランド・フランス大統領とヴァレリ-・トリエルヴェール女史を6月6日(木)から8日(土)まで、国賓として招待することを決定いたしました。
 オランド大統領の訪日により、政治・安全保障、経済、文化を含む幅広い分野で「特別なパートナー関係」を構築することを目指します。

北朝鮮情勢

【朝日新聞 山岸記者】北朝鮮のミサイル問題に関してお伺いいたします。一部の報道で、日米当局によれば北朝鮮が配備をしていた移動型のミサイルを撤去したというような報道がございますけれども、日本政府としてどの程度の事実関係を確認していらっしゃるか、まずお伺いいたします。

【岸田外務大臣】そうした報道があることにつきましては、承知をしております。しかし、北朝鮮の動向については重大な関心を持って、平素から情報収集・分析に努めておりますが、具体的な情報の内容・分析についてはインテリジェンスに関わることでありますので、事柄の性質上お答えは控えなければならないと考えています。

【朝日新聞 山岸記者】本日、米国の方で米韓の首脳会談が予定されていますけれども、こういった動きを見越しての北朝鮮としての何らかのメッセージであるのかと、そういうような評価に関しては、どのように見ていらっしゃるでしょうか。

【岸田外務大臣】そうした北朝鮮の意図については推測する立場にはありませんし、推測はいたしませんが、引き続きまして不断の情報収集を行い、情勢を注視していきたい、そして、なおかつ我が国としては万全の態勢をとっていく、これは変わらないと考えています。

【共同通信 斎藤記者】米韓合同軍事演習が既に終わったわけですが、米韓合同軍事演習をしていた時、御案内の通りで北朝鮮はさまざまな挑発的な言動があったわけです。今、米韓合同軍事演習が終わりました。北朝鮮に何らかの変化が生じてきているのかどうか、細かい話はインテリジェンスに触れるので、こまごまお伺いしませんが、全体状況として米韓軍事演習をしていたときの北朝鮮と現在の北朝鮮、何らかの変化が出てきているのかどうか、その辺のご認識をお伺いしたいのと、さらに何らかの変化が出てきたとすれば、それをテコにして北朝鮮と対話すべきだと考えているかどうか、日本政府としてですね、その点についてお伺いしたいと思います。

【岸田外務大臣】情報収集につきましては、また、情報分析につきましては引き続き全力をあげて努力を続けているところですが、その中で北朝鮮の具体的な意図については申し上げることは控えなければならないと思っています。そして、こうした情報収集に努めながら北朝鮮の動向には引き続き注視していきたいと考えていますが、いずれにせよ、北朝鮮自身が真摯な態度で国際社会との対話に臨むことを明らかにすることがまず第一だと考えております。

安倍政権の歴史認識問題

【フリーランス 上出氏】大型連休中、いろいろな問題がありまして、いくつかお聞きしたいのですが、時間も限られていますし1点だけお伺いします。米国政府、それから米国のメディアから、日本の、特に安倍首相の歴史認識について予想以上に厳しい反応が返っています。靖国参拝、それからその後の村山談話を見直すということについて、特にニューヨークタイムスとか、ウォールストリートジャーナル、ワシントンポストも含めて、この辺の受け止めと、現実にアベノミクスについては非常に評価されている中でこういう問題が起きてきたということで、少し与党のほうからも勇み足ではないかという声も聞かれますが、それも含めてどういうように受け止められているか、外務大臣としての御所見をお聞きしたいと思います。

【岸田外務大臣】まず安倍政権の歴史認識につきましては、これまで官房長官も度々述べておりますとおり、我が国は先の大戦に至る一時期、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えました。
 これまで日本政府はこうした歴史の事実を謙虚に受け止め、改めて痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明するとともに、先の大戦において内外のすべての犠牲者に謹んで哀悼の意を表してきましたが、安倍総理もこれは同様の認識であります。
 韓国や中国をはじめ近隣の国々は、日本にとって重要なパートナーであり、我々はこれらの国々との関係強化に一層努力するとともに、地域の平和と繁栄に貢献していく考えでおります。
 こうした認識をしっかりとこれからも説明していきたいと考えております。

【フリーランス 上出氏】それではどうして、これだけ強い、特に米国からの批判が出てきたというのは、何がその背景にあるのか、どういうようにその辺は受け止めたらいいのでしょうか。表面的にはそうだと思うのですけれども、現実にこういう反発が出てきたというのをどういうように読んでおられますか、その理由など。

【岸田外務大臣】安倍政権における歴史認識は今、申し上げたとおりであります。こうした認識をしっかりとこれからも丁寧に国際社会に対して説明していかなければならないと考えております。安倍政権におけるこの考え方がしっかり伝わるようにこれからも一層努力をしていかなければならないと考えています。

【フリーランス 上出氏】では、伝わり方がちょっと悪い面があったという御認識でございますでしょうか、そういう発信する上で。

【岸田外務大臣】引き続き一層我々の考え方が伝わるように努力をしていきたいと考えています。

日仏外相会談

【朝日新聞 藤田記者】本日夕方にフランスの外務大臣と会談が行われますが、どういう内容を想定されているかご説明いただけますでしょうか。

【岸田外務大臣】本日夕刻、ファビウス・フランス外務大臣との会談を予定しております。こうした戦略対話を行うことは大変重要なことであり、会談は大変大きな意義があるものと認識をしております。その中にありまして、日仏、あるいは日・EUをはじめさまざまな課題について真摯な意見交換を行い、意思疎通をしっかり図っていきたいと考えております。そして、先ほど申し上げました、この6月に予定されておりますオランド・フランス大統領の訪日につながる外相会談にしていきたいと考えております。
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