記者会見
茂木外務大臣臨時会見記録
(令和8年1月11日(日曜日)19時58分 於:エルサレム(イスラエル))
冒頭発言
【茂木外務大臣】本年最初の外国訪問先であります、イスラエルとパレスチナで、本日、イスラエルのネタニヤフ首相及びサアル外相、そして、パレスチナのフセイン・シェイク副大統領及びムスタファ首相とそれぞれ会談を行いました。
イスラエルとパレスチナを取り巻く状況の改善のためには、「包括的計画」の着実な実施が重要でありまして、日本としても積極的な役割を果たしていく、このことをお伝えいたしました。
日本は、イスラエル・パレスチナ双方と良好な関係を維持しております。今回の私の訪問の目的は、こうした信頼関係、これを踏まえて、今後の具体的な対応について双方に対して率直な考えを伝え、日本の協力というものも説明することになりました。
もう少し詳しくお話をしますと、中東和平の本格的な実現に向けては、イスラエルとパレスチナの相互不信、長年にわたります相互不信、これを解消していくことが、地域の安定につながる、こういう観点から、イスラエルに対してもやるべきことがある、また、パレスチナに対してもやるべきことがある、ということを、率直に伝えたということであります。
まず、ネタニヤフ首相への表敬及びサアル外相との会談では、ハマスの攻撃、これを断固非難するとともに、ガザの深刻な人道状況に対する懸念、これを伝えたところであります。
その上で、ヨルダン川西岸における入植活動の拡大であったりとか、暴力の増加への深い懸念、そういったことを中止するように、ということを申し入れをいたしました。イスラエル側の速やかで適切な措置を求めたところであります。また、国際機関及びNGO等による人道支援活動、これは極めて重要でありまして、これが妨げられることがないように、実施されるように、イスラエルの適切な対応を強く求めたところであります。
一方、パレスチナ側、フセイン・シェイク副大統領およびムスタファ首相には、パレスチナ自治政府の改革、60項目にわたる改革を進める、こういう説明があったところでありますが、この改革の着実な実施を促し、日本は「二国家解決」の実現に向けて、パレスチナの国づくりの取組を引き続きしっかりと支援をする、こういう旨を伝えたところであります。
非常に有意義な議論ができたなと思っておりまして、日本として、パレスチナ、イスラエル、双方と良好な関係をこれまで築いて参りました。そういったものを踏まえながら、率直に言うべきことは言うということで、イスラエル側にも、パレスチナ側にも、今申し上げたような点をですね、率直にお伝えをいたしました。
しっかり聞いてもらったなと、こんな風に思っておりまして、厳しい意見というよりも、友人として、忠告を受けたという感じで受け止めてもらった、こんな風に考えているところであります。
我が国はガザの復興に向けて、今後とも、積極的な役割を果たすつもりでおります。具体的に大きく3点あると考えておりまして、一つ目は、ガザの統治メカニズムへの継続的な関与、そして2つ目に、パレスチナの「国づくり」に向けた包括的な支援、そして3つ目が、日本が主導しております、CEAPAD等を通じた支援の拡大という、「平和を支える取組」の3本柱を、日本として進めていきたいと考えておりまして、このこともお伝えをしたところであります。
なお、第一の柱、ガザの統治メカニズムへの継続的な関与に関しましては、今日、軍民調整センター(CMCC)を訪問しまして、大久保武大使にも同行してもらいました。また、日本人の専門家1名、JICAの関係者にも同行してもらいましたが、大久保大使と日本人の専門家1名を、CMCCに派遣するということを決定いたしまして、先方にも伝えてきたところであります。
こうした取組の推進をはじめ、中東地域における永続的な平和と繁栄の実現に向け、日本ならではの外交、こういったものを展開をして参りたいと、こんな風に考えているところであります。私からは以上です。
質疑応答
CMCC、ガザ和平への貢献
【記者】今ご説明にありましたCMCCについてお伺いをいたします。調整機関として重要な役割が期待される一方で、アメリカが主体となり、パレスチナ自治政府が参加しておりません。パレスチナ自治政府抜きの和平計画やガザ復興に対してアラブ諸国からの懸念がある中で、イスラエルやパレスチナ、アラブ諸国と独自の中東外交を築いてきた日本として、どのような形でCMCC、そしてガザ和平に貢献していきたいとお考えでしょうか。
【大臣】まず、先ほど申し上げました、日本として、地域の平和と安定、特にガザの復興に向けては、先ほど申し上げたような3つの柱に沿って貢献していきたい、こんな風に考えております。
そして、大久保大使らをCMCCに派遣することを決定したところでありまして、関係国・国際機関と連携しながら、人道支援の円滑な実施であったりとか、ガザの復旧・復興に向けて、しっかり貢献をしていきたいと思っております。
その上で、「包括的計画」の下では、CMCCに加えて、ガザ地区の日常的な運営、これを行うパレスチナ人の専門家によります委員会の設置も予定されているところでありまして、日本としても、同委員会の役割を後押ししていきたいと考えているところであります。
そして、パレスチナについても、PAの改革、これ極めて重要だと思っておりまして、これを引き続き支援し、パレスチナの統治能力向上を後押ししていきたい、こういう風に考えているところでありまして、決してこの、ガザの復興について、パレスチナ人を排除する、パレスチナを排除するということではないですけれども、同時にこれは、PAの改革を進めていくことによって、全体的に、この地域の安定につながる、こういう風に考えております。
パレスチナの経済的自立のための呼びかけ
【記者】パレスチナ支援について伺いたいと思います。先ほど大臣からご紹介のあった支援の中には、東南アジア諸国が関連するCEAPADとの協力も含まれていたかと思います。一方で、世界情勢を見ると、米国のUSAIDが解体されるなど、開発援助に対して、なかなか後ろ向きな意見もあるのが現状かと思います。パレスチナの経済的な自立の支援をするに当たって、国際社会にこれからどのようにその広がりを持たせて、日本はどのような呼びかけをしていきたいとお考えでしょうか。
【大臣】ご指摘のありました、CEAPAD、先ほど申し上げたように、日本がこの地域を支援していく3本柱、この一つでありまして、2013年に立ち上げた訳でありますが、既に11の国・地域や国際機関が参加して、農業であったり、産業の振興、さらには民間企業育成など、パレスチナの経済的自立を支援するための様々な取組を行なっているところでありまして、昨年には、私がこの後訪問するフィリピン、これもCEAPADに正式に参加をしたところであります。
このほか、昨年9月には、「パレスチナ自治政府の財政持続可能性のための緊急連合」、これが有志国の間で結成をされまして、日本も当初から参加をして、財政面での支援も強化をしているところであります。
それぞれの国が役割分担を担いながら、国際社会全体の安定を図っていく、こういったことは極めて重要だと思っておりまして、日本としては、日本が主導して立ち上げたCEAPAD、これを重視しながら、この地域の支援を多国間で進める、こういうこともやりますし、日本独自の取組もやっていく、こういった形でですね、どの国がどうだから、というよりも、日本として主体的に、もしくは、日本として、同じ思いを持つ国を広げて、支援をしていくことは極めて重要なんじゃないかな、という風に考えております。
イラン情勢
【記者】本日、茂木大臣はイスラエルのネタニヤフ首相と面会されました。イランでは各地でデモが発生しておりますけれども、面会ではイラン情勢についても話題に上りましたでしょうか。また、現在のイラン情勢についてのご見解と、邦人保護を含みます日本政府の対応についてもお伺いします。
【大臣】今日、4つの会談を行ったところでありますが、大半の会談におきまして、今、イランの情勢、これが非常に深刻な状況にあるということ、これを含めまして、幅広い国際情勢、これは今、中東和平に限らず、国際情勢、東アジアの情勢も含めて、意見交換を行わせていただいたところであります。その上で、イラン情勢について、現在のイラン情勢にかかります日本の立場、これは、高市総理がXでもすでに発信しておりますし、私の談話、これもすでに発出をしているところでありますが、イランで発生しているデモにおいて、多数の人々が死傷しているとの報に接して、政府として情勢の悪化、これを深く懸念をしているところであります。
また、政府としては、平和的に行われるデモ活動に対するいかなる実力行使、これに対しても反対の立場でありまして、暴力が即時に収束することを強く求め、事態の早期収束、これを強く期待しているところであります。
こうした情勢を受け、イランについて、すでに国境地帯等、危険な地帯については、レベル4という危険情報にしておりますが、その他の地域につきましては、本日、レベル3「渡航中止勧告」、これに引き上げを行ったところでありまして、政府として、今後の状況を注視をするとともに、安否確認を含め、また、スポット情報等を発出する等々、中には通信状況の非常に悪い、こういう状態にあるところでありますが、邦人の保護に万全を期していきたい、こんな風に考えております。

