記者会見

茂木外務大臣臨時会見記録

(令和7年10月27日(月曜日)19時09分 於:クアラルンプール(マレーシア))

(大臣)本日は、高市総理の代理として、ASEAN関連の首脳会議、ASEAN+3首脳会議、そしてRCEP首脳会議、東アジア首脳会議に出席をいたしました。
 新政権のもとで、ASEAN主導の地域枠組みを重視をして、「自由で開かれたインド太平洋」、FOIPを推進する日本の立場をしっかりと発信をいたしました。まず、ASEAN+3におきましては、我が国が主導する金融や食料安全保障での実務協力の意義をまず強調し、日本、中国、韓国とASEANの連携への決意。これも表明したところであります。また、東アジア首脳会議、EASにおきましては、地域、国際情勢を中心に戦略的課題について意見交換を行ったところであります。特に、世界中どこであれ、力又は威圧による一方的な現状変更の試みは決して許されない。このことを強調し、FOIPの推進を通じて地域の平和と安定に取り組むことを伝えました。また、北朝鮮の拉致問題の即時解決に向けて、各国に協力を呼び掛けたところであります。そして、RCEPの首脳会議、順番的に言いますとRCEP、EASなんですけれど、RCEPの首脳会議では、RCEP協定の透明性の高い完全な実施が重要である、このことを訴えました。非市場的な政策、慣行であったり、また重要鉱物の安定供給などの課題に対して、RCEP協定のアップグレードの重要性、これも強調させていただきました。
 また、バイ会談2つ行いました。高市総理が昨日、オーストラリアそしてフィリピンと首脳会談を行ったということで、私はインドのジャイシャンカル外相、そしてまたベトナムの外相と外相会談を行わせていただきました。旧知の中であります、インドのジャイシャンカル外務大臣、ジェイと呼んでおりますけれど、今後10年の日印協力の方向性、確認をいたしました。
 地域情勢について認識を共有をして、FOIPの実現に向けて連携していくことで一致を見たところであります。
 また、ベトナムですね、チュン外務大臣。まだチュン大臣も就任して早々でありますけれど、経済成長著しいベトナムとの間で経済安全保障をはじめとする様々な分野で協力を進めていくと、こういったことで一致を見たところであります。今回の訪問を通じまして、厳しさを増す国際情勢と、その中での日本外交へのですね、期待の大きさ、これを肌身で感じたところであります。FOIPを時代に合わせて進化をさせ、各国と連携していくことがこれまで以上に求められている。改めて痛感をいたしました。この後、日本の方に戻る予定であります。夜行便で日本に戻るということになりますが、トランプ大統領の訪日、韓国でのAPECと重要な外交日程が続きます。私自身も、明日、日米首脳会談で同席をさせていただき、その後、ルビオ国務長官とも、日米の外相会談予定をいたしております。高市総理をしっかりと支えて、力強く、視野の広い外交。これを展開してまいりたいと思っております。
 私から以上です。

(記者)大臣、お疲れ様でした。高市政権の外務大臣として就任以降、初の外遊となりました。国内外で高市政権や茂木大臣の外交カラーはどういったものかについて注目が集まっているかと思いますが、ASEAN諸国や、あとは個別会談をした各国に高市政権がどのような外交姿勢かを示すことができたでしょうか。また、茂木大臣はかねてから、経済で失敗すれば政権が倒れ、外交で失敗すれば国が傾くと外交の重要性を訴えていますが、大臣自身、外交の失敗とは何だと考えますか。
 外交での失敗を回避し、成功に導いていくために、今回のASEAN外遊ではどのような点に意識を置き、また今後の外交を展開していきたいと考えますでしょうか。よろしくお願いします。

(大臣)大きく3点、ご質問いただいたと思いますが、今回の一連の日程を通じて、我が国が新政権の下でもASEAN主導の地域の枠組みでこれを重視していくこと、そして「自由で開かれたインド太平洋」を一層推進していくこと、これを地域、国際情勢についての日本の立場と併せてしっかりと発信することができたと思っております。また、各国のカウンターパートとの間で、今後の協力の基礎となる信頼関係、構築することができたと考えてるところであります。確かに、私はこれまで、経済で失敗すれば政権が倒れ、外交で失敗すれば国が傾く、こういうふうに言ってまいりました。外交での失敗、これは状況によって異なり、また最終的には歴史が判断することと、こんなふうにも考えておりますけれど、その上で申し上げると、外交政策に求められているのは、主体性と継続性。そして国際環境の変化に対応したその多面的展開だ。と、こんなふうに考えておりまして、外交がこれらを欠いてしまうと、最終的には、国の進むべき進路というものを誤って国益を損なう。国益に反してしまう。これが失敗ではないかな。と、こんなふうに考えているところであります。今回の外遊の成果、そして今後に向けた方針については、冒頭発言でも申し上げたところでありますけれど、一連の会議であったりとか会談でやられた成果。これを日米首脳会談やAPECと今後の外交日程につなげていきたいと思っております。高市総理のこのASEAN関連の会合、昨日出席をされましたが、マレーシアの首相もトランプ大統領の訪日直前、いろんな準備のある中でわざわざ出席してくれたと、非常に感謝をしていたというところでありまして、日本として、このインド太平洋のまさに中心に位置するこのASEAN。ここで存在感を高めることができたんじゃないかなと、こんなふうに考えてます。

(記者)大臣の先ほどの冒頭のご発言もありましたけども、本日、一連の会議ですね。高市総理の代理として出席されるにあたって、どういったところを念頭に置きながら望まれたのかというところをまず1点。それと今日の特に中でも会議で、東アジアサミットの方。こちらの大臣からも先ほど内容ご紹介ありましたけども、中国やロシア。これを念頭にしたご発言、もしあればご紹介ください。

(大臣)高市総理とはこれまでも外交安全保障について様々な意見交換はしておりまして、そこに齟齬はないと思っておりまして、冒頭発言したような内容。このASEANの地域の枠組みを大切にする、そして何よりも、FOIPを更に進化させて行く。こういったことについてはしっかりと訴えさせていただいた、こんなつもりでおります。また、EAS、これは中国、ロシア等も参加をしているということで、EASにおきましても、核・ミサイル、また拉致問題を含む北朝鮮の問題、そして東シナ海、南シナ海の情勢、さらには台湾、ウクライナをはじめ3カ国間で立場に隔たりがある問題についても、我が国の立場っていうのを明確に発言をさせていただいたところであります。

(記者)よろしくお願いいたします。明日、トランプ大統領と高市総理の首脳会談が予定されていますが、大臣もご指摘のようにウクライナ侵攻を契機としてロシアと北朝鮮が接近し、中国の威圧的な行動もある中で、日本の日米首脳会談でどのような成果を期待されますでしょうか。それと、第2次トランプ政権下では高関税措置、関税措置によって同盟国である日本と韓国も影響を受けていますが、日本政府はアメリカの米政権の政策にどのように対応するか、総理からトランプ大統領にどのようなメッセージを打ち出すか、教えていただけますでしょうか。

(大臣)今回の日米は首脳会談でありますけれど、既に昨日、電話会談も行って非常に雰囲気が良かったと。また、トランプ大統領も、晋三が非常に慕っていたというか、高市さんに対して非常に歓迎する言葉もあったと、こんなふうに聞いているところでありますが、まずは高市総理とトランプ大統領との初めての対面での会談ということで、両首脳が個人的な信頼関係。これを構築して日米同盟の更なる強化。そして「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて更に協力していく関係を築いていく大変いい機会になるんではないかなと。発足後、これだけ早く日米首脳会談が行われる、これ非常にいいことだと。日本外交、安全保障の基軸は日米同盟にあるわけですから、そういった意味でも大変いい機会だと、こんなふうに今考えております。また、地域そして国際社会の諸課題について幅広く率直に意見交換を行う。意見の齟齬はないと思っておりますけれど、国際情勢に関する情勢認識のすり合わせを行う。こういう機会にもなってくるんじゃないかなと思っています。経済面、トランプ関税の問題ありますが、まずは日本との間では、すでに日米間でこの問題については合意をしているわけでありまして、まずは関税に関する日米間の合意の実施を通じてですね、日米の相互利益の促進、そして経済安全保障の確保に向けた協力の拡大。さらには我が国の経済成長の促進にもつなげていきたい、そんなふうに考えているところであります。
 こういった国の考え方、明日の首脳会談でですね、じっくり話をすることができるとは思いますが、今後も様々な機会を通じて米側にしっかりと我が国の考えを伝え、また意思疎通を図っていきたい、こんなふうに考えてます。

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