記者会見

岩屋外務大臣臨時会見記録

(令和7年9月2日(火曜日)15時06分 於:クウェート(クウェート))

冒頭発言

 今回、湾岸協力理事会(GCC)加盟国との外相会合に出席するため、クウェートを訪問しました。この日・GCC外相会合は、2023年9月以来の2回目の開催となります。ガザ情勢やイランの核問題を始め、地域情勢が緊迫する中で、GCCは地域の安定にますます重要な役割を果たしております。この点については、昨日の日・GCC外相会合において、私から特に強調をしたところでございます。
 こうした中で、ガザ情勢を含む地域の国際社会の安定のためには、我が国とGCCが連携していくことが一層重要になってきています。その旨を私から述べたところ、各国からは、「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」を始め、日本の長年にわたるパレスチナ支援に対する感謝が述べられたとともに、日本の更なる役割を期待する旨の発言がありました。
 このほか、今回、GCCとの間では、人道開発分野や政治安全保障分野における対話を強化していくことを確認いたしました。また、現在交渉中の日・GCC経済連携協定(EPA)につきましても早期妥結に向けて協力していくことを確認したところでございます。
 加えて、この機会に、カタール、オマーン、バーレーン、クウェートの閣僚と個別に会談や懇談を行いましたほか、急遽会合を欠席することになったサウジアラビアのファイサル外相と先刻電話会談を行いました。
 各国との間では、二国間関係及びイラン、ガザ、シリアといった地域情勢について率直な意見交換を行いました。イランについては、対話を通じて核問題を解決する重要性で一致いたしました。また、パレスチナについては、我が国が一貫して支持している二国家解決の実現に向けて各国と連携していくことを確認いたしました。
 ホスト国であるクウェートとの間では、ヤフア外相との会談に加えまして、サバーハ・ハーリド皇太子及びアフマド・アブドゥッラー首相を表敬いたしました。クウェートは、日本にとって世界第3位の原油供給国であり、エネルギー安全保障上の重要なパートナーでもあります。サバーハ・ハーリド皇太子との間では、本年5月の同皇太子の訪日時に格上げされた両国間の「包括的・戦略的パートナーシップ」も踏まえ、一層幅広い分野で関係を強化していくことを確認いたしました。
 引き続き、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を維持し強化していくために、GCC及びGCC加盟国としっかり協力を進めてまいりたいと思います。

質疑応答

パレスチナ情勢

(記者)中東情勢について影響の大きいGCC各国との会談を通じて、ガザ情勢を巡る日本としての立ち位置や役割についてどのようにお感じになりましたでしょうか。また、今月開催される国連総会や、その後の国際会議などで地域の安定にどう貢献されていくのか、お伺いします。GCCの全加盟国はパレスチナを国家承認していると承知しています。特に、9月の国連総会に合わせてサウジアラビアやフランスが開く会合では、日本も国家承認すべきといった発言がありましたら御教示ください。

(大臣)今回の訪問を通じまして、GCC各国と忌憚のない意見交換を行うことができました。その中で、各国からは、「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合(CEAPAD)」や日本のパレスチナ支援、外交努力に対する高い評価をいただき、また、日本の一層の役割への期待が示されたところでございます。
 イスラエル及びパレスチナ双方と信頼関係を有する我が国として、中東の諸問題への対処、ひいては地域の平和と安定のために一層の役割を果たしていく決意を新たにしたところです。
 我が国は、7月にサウジアラビアとフランスが国連本部において共催した「二国家解決」の実施に関する国際会議におきましても、ノルウェーと共にパレスチナの経済的自立性についての分科会の共同議長を務めました。そのフォローアップとして、9月の国連総会の機会に開催される国際会議におきましても、引き続き国際的な議論に積極的に貢献をしていきたいと考えております。
 なお、GCC各国との会談においては、ガザ情勢についても議論が行われました。その中で、一部の国々からはパレスチナの国家承認についても言及がございました。一連の会談における具体的なやり取りについては、外交上のやり取りでありますので控えさせていただきますが、我が国は、イスラエル・パレスチナ問題の「二国家解決」を一貫して支持しているという立場から、パレスチナの国家承認については、和平の進展を後押しする観点から何が最も適切で効果的かということを真剣に検討し、引き続き、その適切な時期やあり方も含めて総合的な検討を行っていきたいと考えております。

イラン核問題

(記者)もう1つの地域の懸案事項であるイランの核問題については、GCC各国とはどのような連携が行われたのでしょうか。イギリス、フランス、ドイツはイランに対する国連制裁を復活させる手続を始め、その決議の発動まで30日を切る中で、日本としてどう対応されるかも併せて教えてください。

(大臣)確かにこの問題についても、かなりの時間を割いて議論を行ったところでございます。GCCがイラン核問題において果たす役割もますます重要になってきていると思います。こうした中で、今般の外相会合では、対話を通じたイラン核問題の解決に向けて、日本もGCC各国との連携を一層強化していく、意思疎通を緊密に図っていくということを確認いたしました。
 我が国として、今イラン側には、米国との協議の早期再開が重要だと、それから国際原子力機関(IAEA)との完全な協力を直ちに再開することが必要だということを強く伝えているところでございます。
 中東地域の平和及び安定、並びに国際的な不拡散体制の維持は我が国にとって極めて重要です。国際社会と連携して、引き続き、このイランの核問題に対しても我が国として外交的な努力を一層強めていきたいと考えております。

自民党を巡る動き

(記者)別件で自民党を巡る動きについてお伺いできればと思います。両院議員総会で参院選総括が報告され、解党的見直しに取り組むとした上で、政治と金をめぐる問題などを要因に挙げております。これの受け止めと、併せて、今後総裁選の是非を問う手続が始まりますが、御自身の対応を改めて教えてください。

(大臣)参議院選挙の総括については、私は出張中で両院議員総会には出られませんでしたけれども、党の参院選総括委員会によって決定されたものだと承知をしております。その案文もこちらで読ませていただきました。また、総裁選については、これも党則に従って総裁選挙管理委員会によって手続がこれから進められると認識をしております。したがって、いずれの問題についても外務大臣としてお答えすることは控えたいというふうに思います。
 その上で、国際情勢がこれだけ激動している中、また、米国の関税政策への対応もまだ道半ばというところでございます。中東情勢への対応という課題もあります。ウクライナの問題もあります。こういった、待ったなしの外交案件が山積している中、今後も重要な外交日程が続いてまいります。そういう中で外交の停滞を招くことがあってはならないと考えております。引き続き、安定的で継続的な外交、そして安全保障政策を進めていくために、石破政権の下でその使命をしっかり果たしていきたいと考えております。
 そして、総裁選が早倒しされた場合という仮定の質問でございますが、私個人はそのような必要はないと、そのような暇はないというふうに考えておりますけれども、今、自民党に求められていることは、この重要な局面において決して政治に停滞を招くことなく、野党との粘り強い対話を重ねて、国家・国民のために正しい答えを出していく、その責任を果たしていくということが1番自民党に今求められていることだというふうに考えておりますし、その際の最適任者、リーダーとしての最適任者は、この間、粘り強い対話で熟議の政治を進めてきた石破総理以外にはいないと私は考えております。

(記者)総理は両院議員総会の中で、自らの参院選敗北への責任を認めた上で、けじめのつけ方は課題解決の道筋をつけた上で決断するというふうに表明されました。また、幹事長以下党4役に関しましても、退任の意向を示したものの、判断は総理に伺いを立てるというような形のなっている状況です。こういった状況が政治の停滞を招くというような指摘が党内にも出ているわけですが、現在の状況についてどのように見られてますでしょうか。

(大臣)それは、人事権者である石破総理・総裁において適切に判断をされるものだというふうに思っております。


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