記者会見
岩屋外務大臣臨時会見記録
(令和7年2月15日(土曜日)18時34分 於:ミュンヘン(ドイツ))
冒頭発言
【岩屋外務大臣】ミュンヘン安全保障会議及びG7外相会合に出席するため、ここドイツ・ミュンヘンを訪問しております。まず、カナダの議長の下で初となるG7外相会合に参加いたしました。国際情勢が大きく揺れ動く中、G7各国のカウンターパートとウクライナ、中東及びインド太平洋の情勢に関して率直なやり取りを行ったところでございます。価値や原則を共有するG7がしっかりと連携を維持し、強化していくことが、極めて重要な局面であると思います。外相が率直にお互いの考えをすり合わせ、結束を確認したことは大きな意義があったというふうに考えております。 ウクライナ情勢については、ウクライナのシビハ外相を交えて議論を行いました。公正かつ永続的なウクライナの平和の実現に向けて、G7としてウクライナとしっかり連携していくことを確認いたしました。私(大臣)からは、ウクライナ支援と対ロ制裁を強力に推進していく、我が国の変わらぬ決意を、お伝えをしたところでございます。 中東情勢につきましては、ガザにおける停戦合意を歓迎し、合意の着実な履行の重要性を確認しました。また、二国家解決の視点も踏まえまして、中長期的な中東地域の平和と安定の実現に向けて議論を行いました。私(大臣)からは、我が国は、喫緊の人道支援のみならず、中長期的な復旧・復興支援においても積極的な役割を果たす決意を述べたところでございます。また、東アジア諸国と連携したパレスチナ支援の枠組みであるCEAPADを通じた支援の拡大といった、我が国の取り組みについても説明をいたしました。 インド太平洋についても議論を行い、東シナ海・南シナ海情勢、北朝鮮の核ミサイル問題について深刻な懸念を共有いたしました。また、私から、拉致問題の即時解決に向けた理解と協力を改めて求め、各国から支持を得たところでございます。 この機会に、カナダのジョリー外相、EUのカッラス外務・安全保障政策上級代表、NATOのルッテ事務総長、オランダのフェルドカンプ外相、米国のルビオ国務長官と会談や立ち話を行いました。この後は、ヨルダンのサファディ副首相兼移民大臣と会談を行う予定でございます。 カナダのジョリー外相とは、エネルギー協力を含む経済や安全保障の分野における2国間の協力を進めることを確認をいたしました。EUのカッラス上級代表とは、地域、国際情勢について議論を行い、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であると、この認識を改めて共有した上で、引き続き緊密に連携することを確認をしたところでございます。NATOのルッテ事務総長とは、ウクライナ侵略を始めとする地域国際情勢について議論を行いまして、NATOを含む同志国間の協力強化の重要性を確認し、日NATOと、それからNATO・IP4協力の更なる強化で一致をいたしました。オランダのフェルドカンプ外相とは、2国間関係や地域、国際情勢について議論を行い、防衛協力を深化させていくことを確認いたしました。 米国のルビオ国務長官とは、先般の日米首脳会談のフォローアップを行うとともに、日米経済の更なる強化に向けて、緊密に意思疎通することを確認しながら、米国政府による、関税措置についての申し入れを行ったところでございます。ヨルダンのサファディ副首相とはこれからですが、ガザを始めとする中東情勢について意見交換して、両国の信頼関係の重要性と、引き続き緊密に連携することを確認をしたいと思っております。 そして、米国のルビオ国務長官及び韓国のチョ・テヨル外交部長官との間で日米韓外相会合を行いました。ここでは、北朝鮮への対応を初め、三か国が結束して、地域の平和と繁栄に向けた取り組みを主導していくべく、具体的な協力を進めてことを確認をしたところでございます。 最後になりますが、ミュンヘン安全保障会議パネルディスカッションに韓国、ニュージーランド、NATO事務局の登壇者と、現下のインド太平洋、欧州の安全保障環境について様々な視点から、活発な議論を行ったところです。私からは、欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分という認識の下に、日米同盟、日米豪印、日米韓を含む同盟国、同志国間の連携の重要性を強調いたしました。また、ウクライナにおける公正かつ永続的な平和の実現、台湾海峡の平和と安定の重要性などについても申し述べたところです。 今回、短い時間時間ではありましたけれども、世界が激動する中で、世界中から首脳や安全保障の担当閣僚、専門家が集まる安全保障会議に参加することができまして、大変有意義な議論を行うことができたと思っております。今回の議論を踏まえまして、引き続き、我が国として世界の平和と安定に貢献していきたいと思います。
質疑応答
【記者】ウクライナ情勢についてお聞きいたします。アメリカのトランプ政権は停戦の実現に意欲を示しているわけですけれども、一方でウクライナや欧州というのは、一方的にウクライナ側が譲歩を迫られるのではないかという警戒感もあって、この温度感の違いというのが見受けられるのですけれども、今回のG7の外相会合では、そうしたものは埋まる方向に向かっているというそういうふうな認識を持たれていらっしゃいますでしょうか。それから、政府として、ウクライナの停戦協議、あるいはその先の停戦というのはどういうものであるべきだとお考えなのか。それから、これまで幾度となく確認してきたG7の結束というのを今後どのように日本として図っていこうという考えかをあわせてお願いいたします。 【岩屋外務大臣】G7外相会合においてはですね、もちろんウクライナ情勢は主要なテーマでありまして、活発な議論を行いました。先ほど申し上げたように、ウクライナのシビハ外相を交えてですね、議論を行いました。この中で、平和のまず実現、それから中長期的な視点に立った復旧復興に向けて、G7とウクライナで連携していくことを改めて確認をいたしました。今後停戦というか、和平に向けて様々な議論が起こってきておりますけれども、できるだけG7の中でですね、意思疎通をしっかり行って、連帯していくことが重要だというふうに考えております。米国を始めとする各国の外交努力についてはですね、敬意を表したいというふうに思いますが、こういった外交努力が、長年に渡ったこの戦闘の終結、それから困難な状況の打開に繋がるよう、さらにですね、議論を煮詰めていく必要がある、意思疎通をさらにしっかり図っていく必要がある。現段階で何か固まったものがですね、見えてきているわけではないと、まだその途上にあるいうふうに感じたところでございます。いずれにしても、価値や原則を共有しているG7が、しっかり連携して、この問題の解決に当たっていくことが重要だというふうに思っているところです。 【記者】トランプ政権発足後初めて今回日米韓の外相会合が行われましたけれども、この日米韓の枠組みの中で、首脳会談というものの重要性をどのように捉えておられるのか、また今日の会談の中で、日米韓首脳会談について見通しとか意欲とかそういった話題が上ったかどうか教えていただきたいと思います。あとですね日米韓の関連で、トランプ氏は金正恩氏との接触というものに意欲を示していて、日本やあるいは韓国として、北朝鮮の非核化、あるいは日本人拉致問題の解決、こういったものが置いてかれてしまうような懸念っていうのがあるのか、そういった点について日本としてどういうふうに対応していくのかということもあわせてお伺いします。あと先ほど日米韓の前かと思うのですが、ルビオさんとの立ち話の御紹介があったんですが、関税措置についての申し入れというのを、これ日本を除外、ということだとは思うのですがもう少し詳しくお聞かせいただけますか。また相手側の反応がどうかという点も差し支えのない範囲でお願いします。 【岩屋外務大臣】今日のまず、日米韓の外相会合ではですね、非常に有意義な議論ができた、また認識を共有すること出来たと思っております。まず、北朝鮮による核ミサイル活動はもちろんですけれども、この北朝鮮については、国連安保理決議に従った完全な非核化に向けてですね、日米韓が連携して取り組んでいくっていうことをしっかりと確認をすることができました。またその中で、先ほど申し上げたように、拉致問題についてもですね、両国の引き続いての支援というものを確認させていただいて、大変心強く思っているところでございます。 それからもちろん首脳会談は大事なんですけれどもですね、これについては韓国の国状がですね、もう少し落ち着かれるのを待って、検討していくっていうことになろうかというふうに思います。したがって首脳会合については、この段階では何もまだ決まっておりませんが、ぜひですね、状況が許せばですね、開催をしていくことが望ましいと思っております。 そして、もう一つはルビオさんとのことですね。これはですね、外交上のやり取りですから全部を申し上げるわけにはまいりませんが、私からは、米国による鉄鋼アルミニウム製品に対する関税措置については、措置の対象から我が国を除外してもらいたいということを伝えました。それから相互関税ですね、その導入についても、我が国は対象となるべきではないという考えをお伝えいたしました。また、自動車関税に関するものについても問題提起を行ったところでございます。それ以上の詳細についてはですね、控えさしていただきたいというふうに思います。