記者会見

茂木外務大臣臨時会見記録

(令和元年9月26日(木曜日)18時48分 於:米国・ニューヨーク)

冒頭発言

【茂木外務大臣】今回のニューヨーク訪問では10か国の外相との会談を行いまして,また,7件のマルチの会合に出席をいたしました。そして,日米首脳会談はじめ,4つの首脳会談に同席したところであります。

 まず,日米貿易の関係では,昨日も会見を行わせていただきましたが,23日のライトハイザー通商代表との会合,そこでの合意を経てですね,25日,日米首脳会談に同席をして,日米共同声明の署名式に立ち会ったところであります。

 ちょうど昨年の9月26日,1年前になるわけですが,この国連総会の際にですね,首脳共同声明で交渉を開始するということになって,これが,ちょうど1年でですね,最終合意に至ったということを確認して,日米双方にとってですね,ウィンウィンとなるような成果を上げることができた。こんなふうに考えております。
 本日ポンペオ国務長官と会談いたしまして,昨日の首脳会談を踏まえて,日米同盟強化であったり,イラン情勢始め,深刻化している様々な地域情勢について,相当突っ込んだ議論を行ったところであります。

 また,ラブロフ外相とはですね,平和条約交渉の今後の進め方を議論したほか,幅広い分野で日露関係を発展させていくことで一致をいたしました。今後,頻繁に会談を持とうと,こういうことにしまして,まずはG20名古屋外相会合でですね,訪日をしていただく。また,御招待を受けましたので,諸般の情勢が許せば年内にはモスクワを訪問したいと,こんなふうに考えております。

 また,先程行われました王毅中国の国務委員兼外交部長との会談では,温かい雰囲気の下,来春の習近平国家主席の国賓訪問,これを見据え,ハイレベルの往来を積極的に積み重ね,懸案を適切に処理しながら,あらゆる分野で交流,協力を一層発展させ,日中関係を新たな段階に押し上げ,日中新時代を切り拓いていくこと,これを確認したところであります。

 また,本日,韓国のですね,康京和(カン・ギョンファ)外交部長官との間で会談を行いまして,未来志向の日韓関係を築いていくことの重要性を共有し,当面している課題について,お互いの立場を述べました。また,北朝鮮問題等ですね,日韓の連携等での,日韓連携を確認し,今後も外相レベル含めて外交ルートでの意思疎通を継続していく,こういうことにいたしました。

 この他,フランス,オーストラリア,インド,イラン,サウジアラビア,ヨルダンとの間で外相会談を行うとともに,イラン及びヨルダンとの首脳会談,安倍総理とグテーレス国連事務総長の会談にも同席をしたところであります。

 マルチの会合としましては,G7の外相会合,日米豪印閣僚級会合,安保理改革に関するG4外相会合,G20アウトリーチのための3G閣僚級会合,開発のための革新的資金調達に関するリーディング・グループ会合,CTBT発効促進会議,パレスチナ難民支援のためのUNRWA支援閣僚級会合に参加をいたしまして,国際社会が直面する様々な課題について,日本のリーダーシップを示すとともに,我が国の立場を表明いたしました。
 また,国連で活躍をしております日本人職員の方々とも懇談をし,激励する,こういう機会も持ったところであります。

 今回の国連総会ハイレベルウィークでの会合,会談で,充実した成果を上げることができた。また,各国のですね,外相ともですね,かなり率直な意見交換ができたところでありまして,国際社会の様々な課題解決にですね,今後ともしっかりと取り組んでいきたいと,こんなふうに思っております。

質疑応答

【記者】今日,日韓外相会談が行われたと思うんですけれども,日韓関係が悪化する難しい中での外相就任と茂木大臣もなられて,その中でどういったお話し合いを今日したのか,その中で,特に日韓の間で決まったことなどあれば教えてください。

【茂木外務大臣】今日話し合った内容は先ほど申し上げた4項目となるのですが,未来志向のですね,日韓関係を築いていくことの重要性,これを共有して,また,当面している課題,日韓の間ですね,あるわけでありまして,それについてお互いの立場というの改めて述べた。そして,北朝鮮問題等あるわけでありまして,日韓の連携の重要性,これを確認すると同時に,こういった課題の解決のためにも外相レベルも含め,外交ルートのですね,意思疎通はしっかりしていこうと,こういったことを確認したということです。

【記者】当面している課題というのを少し詳しく教えていただけますか。

【茂木外務大臣】ご案内のとおりの課題でありまして,韓国の大法院判決,これによりましてですね,これまで1960年以降築いてきた,つまり日韓基本条約,そして請求権協定,これを基礎として築いてきた日韓の友好関係,こういった基礎というものが覆される,こういう状態が起こっているわけでありまして,韓国が国際法に違反をするという,こういった状態を早期に是正をしてほしい,そのためにどうするかということがいちばん大きな問題だと思っております。

【記者】会談の雰囲気というのを少し教えてください。

【茂木外務大臣】坦々と会談をさせていただきました。

【記者】大臣英語にご堪能だと思うのですが,今回英語圏の方々との会談も結構あったと思うのですが,会談では大臣英語でしゃべられたのでしょうか。それとも通訳を介したのでしょうか。

【茂木外務大臣】基本的に,こういう場合ですね,考える時間もありますから,こっちですね,通訳を使うことが多いのですが,時間をセーブしたりとか,いろんな状況によってはそのまま直接やりとりをしております。

【記者】日本での記者会見で所信表明されて,「記憶に残る外交」を作っていきたいというふうにおっしゃておりまして,今回初めての外交日程だったと思うのですが,その「記憶に残る外交」に前進できたと思いますでしょうか。

【茂木外務大臣】なかなか1日で記憶に残るというのは難しいので,もうちょっと頑張ってみるということだと思います。

【記者】韓国との関係についてお聞きしたいのですが,大臣の方は,康京和長官とテタテという形で,一対一でお話しされた時間が長かったかと思いますが,何かしらこれまでとは違う突破口というのを開けたというふうにはお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】今日初めての会談ですから,先ほど申し上げたような内容であります。

【記者】この後緊密に連携をとっていくということだったのですが,この後,会談する予定とか具体的に決められたりしておりますか。

【茂木外務大臣】緊密に連携をとっていくのは,北朝鮮問題等について緊密に連携を取っていくということでありまして,外相レベル,それからまた外交ルートでは意思疎通,これを継続していくということです。

【記者】そのフォローアップなのですが,外交ルートに加えて首脳間での会談,首脳会談というのを追求するというお考えはありますでしょうか。

【茂木外務大臣】今日,そういう話はしておりません。

【記者】今日は初めて日米豪印の閣僚会議があったと思いますけれども,このタイミングでこのような会合を行うというのをどのように見てますでしょうか。

【茂木外務大臣】日米豪印,局長級ですでに4回会合を重ねてきているわけでありまして,我が国は日米豪印だけでなく,二国間であったり,日米豪,日米印,日米豪印などの枠組みを通じてですね,インド太平洋を自由で開かれたものとし,地域の安定と繁栄を確立するために,インフラ,連結性,そして海洋安全保障,テロ対策などの地域の安全保障といった共通の課題について議論したわけであります。これまで局長級会合を4回重ねてきておりまして,今回,国連総会ですから,各国の外務大臣が揃うということで,閣僚級で協議をすることになったわけであります。

【記者】日中外相会談が行われたと思いますが,日本が日米で貿易を合意した反面,米中だと貿易摩擦のまっただ中だと思うのですが,そういった自由貿易だとかに関する意見交換は外相会談でされたのでしょうか。

【茂木外務大臣】RCEPについて意見交換をさせていただきまして,できるだけ早くまとめるようにですね,それぞれの参加国が柔軟性を示すことが必要だと,こういう話をさせていただきました。

【記者】米中の貿易摩擦は特に。

【茂木外務大臣】話は出ておりません。

【記者】関連しまして,今日の日中の外相会談で,中国がTPPへの参加に関心をを示しているという一部報道も出ておりますけど,TPPに関する話題は出ましたでしょうか。

【茂木外務大臣】出ておりません。

【記者】話題を変えてイラン情勢についてお聞きしたいんですけども,今回,イランの外相とサウジアラビアの外相とポンペオアメリカの国務長官と会談されてますが,日本が目指す緊張緩和というのは何か成果というものが,そうした兆しみたいなものが大臣が感じ取れることはありましたでしょうか。

【茂木外務大臣】もう1回質問をしていただいてよろしいでしょうか。難しい質問を,たぶん3つの連立方程式の話をされているんで,どこの部分を聞きたいのか,今の質問だとすごく答えにくいです。

【記者】大臣としては,中東地域の緊張緩和というのを目指しているかと思うんですけれども,そうしたその中東地域の緊張緩和に向けて,日本ができる役割というのはどのようにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】その質問のほうが簡単ですね。サウジアラビアまで入れて質問されると,とっても難しい質問,連立方程式になるということを申し上げたんですけれど。中東情勢,深刻の度を増していることを強く懸念しているわけでありまして,この地域の平和と安定,これは我が国のみならず,世界の安定に直結をしているわけであります。こうした中,イランとの間ではですね,安倍総理はロウハニ大統領と,また私はザリーフ外相と個々に会談を行ったところであります。また,米国との間では,安倍総理とトランプ大統領,さらに私はポンペオ国務長官とそれぞれ会談を行いまして,中東情勢,そして,その緊張緩和に向けた方策について率直な意見交換を行ったところであります。厳しいですね,情勢であればこそ,米国との同盟関係にあり,同時にイランとですね,長年良好な関係を維持してきた日本ならではの役割,これを果たすことが求められているのではないかなと,こんなふうに考えております。

【記者】康京和長官との会談に関してなんですが,大法院判決を巡っては,現在の原告の方が日本企業の韓国内の財産の差し押さえをしていてですね,現金化の申請をしています。いつ現金化されてもおかしくないという情勢で,その場合には,たいへん日韓にとってマイナスの状況になると思われるんですが,今日はこの現金化を防ぐ方策についての意見交換というのはございましたでしょうか。

【茂木外務大臣】テタテの会談を相当長い時間やったところでありますが,お互いに,こういう会談をしたということにつきましては,こういった内容で会談をしたというのが先程発表させていただいた内容です。

【記者】具体的にはちょっとおっしゃるのが難しいと。

【茂木外務大臣】いや,そういうわけではないですけれど,そういうことです。おそらく現金化したら事態というのはより深刻になる,こんなふうに思ってます。

【記者】今の質問に関連しまして,今日の日韓の会談では,結構テタテに時間を割いたと思うんですけれど,テタテをされるというのは当初から想定なさってたんでしょうか。

【茂木外務大臣】想定してました。

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