記者会見

河野外務大臣会見記録

(平成31年2月5日(火曜日)17時37分 於:本省会見室)

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冒頭発言

ベネズエラ情勢

【河野外務大臣】私(大臣)から1件でございます。ベネズエラ情勢に関して申し上げたいと思います。我が国はこれまで累次にわたり,ベネズエラ情勢における経済・社会情勢の悪化,および人道上の危機に対する懸念を表明してまいりました。また2018年5月に実施された大統領選挙に関しては,その正統性に対する国際社会の疑念に対して,ベネズエラ政府として説明責任を果たすよう繰り返し求めてまいりました。それにも拘わらず,ベネズエラ政府がこれら要請に応えることなく,同国の政治・経済・社会情勢が悪化していることについて,我が国はこれを非難いたします。
 グアイド・ベネズエラ国会議長は,大統領選挙を行うための暫定大統領として宣誓を行いました。我が国は憲法秩序に基づき,民主主義の回復を希求するベネズエラ国民の意思を支持しており,これが尊重されることを改めて求めてまいります。国際社会とともに,自由で公正な大統領選挙の早期実施を求めます。ベネズエラの経済・社会情勢の悪化により,特に脆弱な状況にあるベネズエラ国民に深刻な影響が及んでいること,及び避難民の流出により,周辺国を含め地域規模で影響が及んでいることについて,改めて懸念を表明します。
 我が国は避難民を含むベネズエラ国民への民生支援を継続するとともに,影響を受けている周辺国に対しても支援を継続してまいります。
 この同じ内容につきまして,このあと外務大臣談話として発出する予定であります。

ベネズエラ情勢

【朝日新聞 清宮記者】今の冒頭の発言の関連ですけれども,リマ・グループの緊急会合では,グアイド議長の支持の声明を出されていますが,大臣の冒頭のご発言は,グアイド暫定大統領について,民主主義の回復を希求することを支持されるということでしたが,これはグアイド国会議長を日本としても承認する,支持するということなのでしょうか。

【河野外務大臣】先ほど述べたとおりでございます。もう一度そこの部分を繰り返しますと,グアイド・ベネズエラ国会議長は,大統領選挙を行うための暫定大統領として,宣誓を行いました。我が国は憲法秩序に基づき,民主主義の回復を希求するベネズエラ国民の意思を支持しており,これが尊重されることを改めて求めます。国際社会とともに,自由で公正な大統領選挙の早期実施を求めます。以上です。

INF条約

【朝日新聞 清宮記者】INFの関係でお伺いしたいのですが,アメリカがINF全廃条約の離脱をロシア側に通告しました。日本の安全保障環境への影響や,大臣は以前に国際的な軍縮に資する新たな枠組み作りにも言及されていましたが,日本の役割についてどうお考えでしょうか。

【河野外務大臣】INFのこの全廃条約がこれまで軍縮に果たしてきた役割は,非常に大きかったと思います。他方,この両国以外の中で,これに該当するようなミサイルの開発をしている国もあるわけでございますし,中国も同じようなミサイルをすでに保有をしているわけでございますので,日本としてこのINFの全廃条約のマルチ化というのは,東アジアのみならず,世界の軍縮にとって必要なことだと思っております。他方,様々な国がミサイルの開発を続けている,あるいは中国がマルチ化に反対をしているというような状況がありますので,先行き非常に不透明ではありますが,日本としてこうしたミサイルを保有する,あるいは開発をしている国々に対して,INFのマルチ化を積極的に働きかけていきたいと思います。

北朝鮮情勢

【NHK 奥住記者】話題変わりまして,北朝鮮の関連で2問お願いします。昨日,北朝鮮の朝鮮赤十字会が日本の人道的な支援に対して謝意を表明しました。このタイミングで異例の表明をした北朝鮮の意図をどう考えるか,受け止めと合わせてお願いします。もう1点が,明日,アメリカのビーガン特別代表が平壌で実務協議を行いますけれども,期待することをお願いします。

【河野外務大臣】2番目の質問から申し上げれば,北朝鮮が核・ミサイルの廃絶に向けて具体的な行動をとるという意思表示をですね,されることを期待したいと思っております。
 ここのところ北朝鮮のおそらく漁民が漂着するということが,今年に限らず,先のシーズンから続いております。日本としては,そうした方を北朝鮮に帰国をさせる措置を誠実にとってまいりました。そうしたことに対する謝意であろうと思っております。海上で命を落としている方もいらっしゃるわけでございますから,北朝鮮側には是非この操業に関して,しっかりと安全性を確保していただきたいと思っております。

【共同通信 丹羽記者】ビーガン北朝鮮特別代表の件で,追加で質問したいのですが。ビーガン北朝鮮特別代表は31日の講演で,非核化が実現すれば他の国々とともに北朝鮮への投資を進め,経済的な関与を強める用意があると語りました。日本も北朝鮮の非核化を後押しするために,将来的な人道支援や,あるいは経済支援を約束する用意はあるのでしょうか。

【河野外務大臣】繰り返し申し上げてまいりましたように,核・ミサイル,拉致問題が解決すれば,国交を正常化し,日本として北朝鮮に対する経済支援を行う用意があるというのは,これまで申し上げてきたとおりでございます。

邦人に対する旅券返納命令について

【朝日新聞 鬼原記者】話題変わりまして,日本人のパスポートの関係なんですけれども。ジャーナリストの常岡浩介さんが旅券返納命令を受けたという報道があります。事実関係と返納命令が出された理由について教えてください。

【河野外務大臣】2月2日土曜日,午後11時16分,邦人男性に対し羽田空港において,旅券返納命令書を交付いたしました。それ以上については個別の案件であり,個人情報にかかわりますので,政府として明らかにすることは差し控えます。

【朝日新聞 鬼原記者】ご本人はこの件に関して,憲法が保障する渡航の自由に反するというコメントもされていますけれども,それについては外務省としてどうお考えでしょうか。

【河野外務大臣】不利益処分については,行政不服審査,あるいは訴訟ということが保証されておりますので,必要ならばそういう手段に訴えられるだろうと思っております。

国会改革

【共同通信 福田記者】国会改革について伺います。昨日の予算委でもやりとりありましたが,大臣は国会改革について,最優先に取り組むべき課題はなんだとお考えか,また理由も合わせて教えてください。

【河野外務大臣】国会改革については,小泉進次郎代議士がいま精力的に取り組んでいただいていると思います。昨日,私(大臣)が申し上げましたのは,臓器移植法の改正について与野党が協議をして党議拘束を外していただいた,あるいは国家公安委員長のときに,毎週木曜日の午前中に行われている公安委員会に出席しやすくするために,与野党でご協力をいただいた,ということがございます。
 国会改革は非常に多岐にわたるものでありますし,本会議でもタブレットの使用についての問題提起もありました。これは様々,国会改革の要請はいろんな分野であろうと思いますので,これについては国会で,与野党でしっかりとした議論をしていただきたいと思います。

ベネズエラ情勢

【日経新聞 林記者】冒頭のベネズエラ問題に戻るんですけれども,欧米諸国と同じようにグアイド議長を暫定大統領として支持しない理由は何かあるんでしょうか。マドゥロ政権を支持している中露への配慮などがあるんでしょうか。

【河野外務大臣】特に他国との関係はございません。日本としての立場を先ほど申し上げました。

【毎日新聞 光田記者】関連でベネズエラの件ですけれども,マドゥロ氏は大統領選の再実施を拒否しておりますが,そのへんも今回の日本の態度表明の大きな材料になったんでしょうか。

【河野外務大臣】総合的な判断で日本の立場を申し上げ,外務大臣談話として発出したいというふうに思っております。さらなる展開があれば,日本として必要なとるべき措置をとっていきたいと思っております。

ベネズエラ情勢,ミャンマー情勢

【読売新聞 梁田記者】2点伺いたいんですけれども。1点目は今のベネズエラの関係です。これまで状況を注視するとおっしゃって来られたのが,ここに来て,もう一度談話を出し直すというか,新たに出す判断をするきっかけとなったのはどういう点だったのか。
 もう1点は,昨日の日独の首脳会談の中で,ミャンマーの国づくりについて話し合って,協力して進めていこうということになったという話がありました。欧米諸国はいわゆるロヒンギャ族への対応等でかなり厳しい対応をとってこられたんですけれども,一方で,大臣はかなりミャンマーへの支援を積極的に訴えてこられたわけで,今後,欧米諸国とどのように協力していけたらいいか,昨日の成果を踏まえて大臣としてのご見解を伺えればと思います。

【河野外務大臣】ラカイン州のイスラム教徒の件では,昨年のG7の外相会合の中で,かなり時間をとって話をいたしました。ジョンソン,当時のイギリスの外務大臣とは,バイで共同声明の書きぶりについて相談をしましたし,平場でも話をさせていただきました。日本として,今のアウン・サン・スー・チー政権が,極めて脆弱な基盤の上で民主的な政権がいま運営をされていることに対する配慮というのが必要だということを申し上げてまいりましたし,他方,アウン・サン・スー・チー政権に対しては,この問題に対して透明性をしっかり確保した形で,説明責任を果たしていく必要があるということを申し上げてまいりました。だんだんいろんな国がその必要性について,ご理解をいただいてきているというふうに思っておりますし,日本とドイツとこれからいろいろ連携をしながら,実際にイスラム教徒がミャンマーに自発的に尊厳を持った形で安全に帰還できるそういう支援を連携していけたらというふうに思っているところでございます。
 ベネズエラの件につきましては,情勢を総合的にずっと見てきたところでございまして,何か一つのきっかけというよりは,総合的な情勢が変わりつつあるということでございます。

邦人に対する旅券返納命令について

【ジャパンタイムズ 吉田記者】先ほどのパスポートの件なんですけれども,個人情報とかは分かるんですけれども,本人がオープンにしているときに何らかの配慮を示す意味が分からないということと,これはジャーナリストが取材に行こうとするときに行けなくなるということは,政府としてどういう判断があるのか,どういう事情があるのか,議論がなければならないと思うんですね。ですから,そこらへんの事情を,訴訟とか手続きがどれだけかかるかは分かりませんけれども,本人がオープンにしているときになぜそれが言えないのか,政府が,ジャーナリストなんなりが海外で仕事をしようとするときに駄目だと,決定を,力を行使するときに,公の議論というのがすぐにあってしかるべきだと思うんですけれども,そこらへん,どのような考えの背景なのか,言えないならなぜ言えないのかというのをちょっとお願いしたいんですけれども。

【河野外務大臣】不利益処分に関する個人情報でございますので,本人がオープンにするか否かに拘わらず政府としては差し控えたいと思います。もし,ご本人が情報を公開されているのならば,そういう形で情報は公開をされるんだろうと思いますが,少なくとも個別の不利益処分について,政府が申し上げることは差し控えます。

【ジャパンタイムズ 吉田記者】公の建前という議論は分かるんですが,彼だけではなくて,実際にジャーナリストなり新聞社が取材に行こうとしたときに,ノーという力が行使されたと,そういうときに処分を全部手続きをやるまで何も言わないのかというのは,かなり実効的に,リアリティとして強力というか,取材する側としては,非常に困る,あるいはその情報を待っている人たちにとっても困るという状態が出てくると思うんですけれども,それに対する説明責任というのは要らないんでしょうか。

【河野外務大臣】不利益処分に対しては不服申立,あるいは訴訟という手段がありますので,必要ならばそういう手段を取られると思います。

【共同通信 斎藤記者】今のパスポートの話,ちょっと角度を変えてお伺いします。一般論としてお伺いします。イエメンにしてもかつてのベトナムにしても,かつての内戦のときのカンボジアにしても,当然,行けば,ジャーナリストやカメラマンが行けば,命に関わるような事態になることは容易に想像される。そうした中で,かつてで言えば沢田教一さんであったり,一ノ瀬泰造さんであったり,もっと古くはキャパだったり,そういう人たちが現地に入って,自分の命の代わりにと言ってもいいんでしょうか,歴史に残る写真を残してきたと。それが多くの平和運動だとか反戦運動につながってきたというのは,これは否めない事実だと思います。
 今,イエメンが問題になっています。イエメンの人たちがいろんな方法で発信するのもあるかもしれませんが,欧米,あるいは日本のジャーナリストが現地に入ることによって伝わるという面も否めないと思います。
 こうしたいわゆる戦場ジャーナリズムというものと,邦人保護,これに注力しなければいけない外務省の立場,これは当然,ジレンマがあるのは分かります。河野さんは政治家として大局に立って,戦場ジャーナリズムというものと,それから邦人を保護しなければならないというこの問題と,どういうふうに整合性をとっていったらいいのか,何かお考えがあれば聞きたいと思います。

【河野外務大臣】基本的に,今でも多くのジャーナリスト,日本人のジャーナリストが海外で取材活動をされていると思います。それは安全なところだけでなく,様々な危険のあるところで取材をされているんだろうと思いますし,そういう,身の危険を顧みずと言うとちょっとあれかもしれませんが,そうした危険な場所で取材をされているジャーナリストに,私は敬意を表したいというふうに思っております。

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