記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年1月9日(火曜日)14時55分 於:大臣接見室前)
冒頭発言
【河野外務大臣】本日9日,韓国の康京和外交部長官が,日韓合意に関する立場を発表したと承知をしております。この日韓合意は,国と国との約束であり,たとえ政権が代わったからといっても,責任を持って実施をされなければならないというのが,国際的且つ普遍的な原則であります。合意の着実な履行は国際社会に対する両国の責務であると認識をしております。2015年のこの日韓合意で慰安婦問題の最終的且つ不可逆的な解決を確認したにもかかわらず,韓国側が日本側に対して更なる措置を求めるというようなことは,我が国として全く受け入れることは出来ません。北朝鮮の脅威に対峙をしている中で,日韓両国が様々な分野で協力を進め,未来志向の関係を築く上で,この日韓合意は欠くべからざる基盤となっているはずです。我が国としては,韓国政府が合意を最終的且つ不可逆的なものとして,着実に実施するよう,韓国側に対し,引き続き強く求めて参りたいと思っております。
質疑応答
【記者】改めまして最終的且つ不可逆的な解決とした日本の立場とは全く今回の韓国側の発表は相容れないというふうな立場でしょうか。
【河野外務大臣】日韓合意というのは,最終的且つ不可逆的にということで合意し,国際社会からもこの日韓合意というのは高く評価をされている訳ですから,韓国側もこれを着実に履行することを日本としては求めていきたいというふうに思います。
【記者】日本政府が拠出した10億円についてですが,韓国政府が自らの予算で拠出するという立場を示していますけども,それに関してどういうふうに対応されるのでしょうか。
【河野外務大臣】韓国政府が発表した以上のことを私もまだ承知をしておりませんので,その真意についてしっかり説明を聞きたいと思います。
【記者】改めて合意の履行も含めて韓国側と,康京和外相とですね,直接電話なりで会談する今後のご予定はございますでしょうか。
【河野外務大臣】まず,東京及びソウルで韓国側に対して直ちに抗議を申し入れることにしております。
【記者】韓国側が10億円を拠出するということについて,今考えている韓国側の意図というのは,どういったものだと考えていらっしゃいますか。
【河野外務大臣】韓国側の説明をまず聞きたいと思います。
【記者】その説明を聞くための10億円に関する協議は日本政府としては応じるというお考えでしょうか。
【河野外務大臣】その10億円,充当するという意味をまずしっかりと理解をしたいと思います。
【記者】抗議されるということですが,これは大使を呼び出してというようなことなんですか。それとも事務レベルでの抗議というようなことなのでしょうか。
【河野外務大臣】まず,きちんと東京とソウルでしかるべくしたいと思います。
【記者】日韓合意の後,韓国側のこれまでの対応を見ても,今ソウルの日本大使館の慰安婦像がなかなか撤去されないなど,なかなか誠実な対応をしていないのではないかと思ったのですけれども,大臣はこれまでの韓国の対応についてどうご覧になっていますでしょうか。また日本政府とのギャップについてどう考えますか。
【河野外務大臣】両国が合意をしたものですから,着実に履行をしてもらうように引き続き強く求めて行きたいと思います。
【記者】北朝鮮への協力での基盤というふうにおっしゃいましたけれども,今回のこういう事態になると,その基盤が揺らぐというふうなことにはならないのでしょうか。
【河野外務大臣】日韓合意は国と国との合意であって,国際社会でも高く評価されているものですから,当然に韓国政府はこれを着実に履行するものと認識をしておりますので,この日韓がこれから未来志向でやっていこうという,その礎になるものの一つだというふうに思っておりますし,韓国政府も当然そのように認識していると思います。
【記者】北朝鮮について,今日南北協議が行われていますけれども,その中で離散家族の再会について平昌五輪期間中に行いたいとの考えが示されましたけれども,それについて日本政府は賛成しますか。
【河野外務大臣】今回の南北の対話について韓国側からまずしっかり話を聞きたいというふうに思っています。
【記者】今回の韓国側の発表の内容というのは,日本側に合意について更なる措置を求めるものだというふうに認識されていますか。
【河野外務大臣】日本側は日韓合意をしっかりと忠実に履行してきたというふうに,我々は認識しております。
【記者】ということは,合意に基づく義務というのは日本側としては完了済みだということですね。
【河野外務大臣】我々もきちんと日韓合意を履行しますし,当然に韓国側にも履行してもらうという,そういうつもりでおります。
【記者】真意の説明を聞きたいというのはいつまでに聞いて,どのように日本政府として対応するということですか。
【河野外務大臣】なるべく早くこの南北の対話の中身についてと併せてしっかりと聞きたいというふうに思っています。
【記者】10億円の扱いについて日本政府としてはどうすべきだというふうにお考えですか。
【河野外務大臣】10億円の充当という意味をまずしっかりと理解をしたところから始めたいと思います。
【記者】理解するには,やっぱり一両日中ぐらいには。
【河野外務大臣】まず,韓国側の説明をしっかりと伺いたいというふうに思っています。
【記者】率直に伺いたいのですが,合意の内容を誠実に着実に履行して欲しいと何度も官房長官や河野大臣から言っていたと思うのですけれども,それにも関わらず,韓国政府が今回このような発表をされたことについて率直に今どのように感じていらっしゃいますか。
【河野外務大臣】韓国側は国と国との約束を政府としてしっかり守ってくれると思っております。