記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成30年1月4日(木曜日)15時15分 於:パキスタン・イスラマバード)
冒頭発言
【河野外務大臣】今年最初の外国訪問として,長年の友好国であるパキスタンを日本の外務大臣としては9年ぶりの訪問ということになりました。アーシフ外務大臣及びバジュワ陸軍参謀長と会談をし,また,アバシ首相に表敬をいたしました。日本はパキスタンが民主主義と法の支配の下で安定した発展を遂げていくという中で引き続きしっかりと協力をしてまいりたいと思っております。二国間の問題では,テロとの闘いでパキスタンが果たしてきたこれまでの努力を高く評価をするというメッセージを伝えると同時に,テロ及びテロとの闘いで犠牲となった方々への哀悼の意を表しました。全てのテロ行為を断固として非難をし,パキスタンが引き続き,全てのテロに対して厳しい姿勢で立ち向かっていくことをお願いをすると同時に,日本としても,パキスタンのテロ対策を支援してまいります。また,在留邦人への安全確保のお願いをいたしました。また,参謀長及び外務大臣とは,パキスタンがこのインドとの核の競争の中で抑止力を必要としていることは認識をしておりますが,その中でもCTBT 及びFMCTにパキスタンがしっかりと入るというのが,国際社会の中でパキスタンの立場を強くすることにもなり,また,それが同じようにインドの核軍縮につながるということならば,この地域にとって有益であり,パキスタンにとっても有益なのではないかということを申し上げました。また,安保理改革についても,ゴールは少し違うかもしれませんが,テキストベースで安保理改革の議論を始めるという所は,方向性が同じなのではないかという問いかけをしたところでございます。また,北朝鮮につきましては,核或いはミサイルの問題に関して、圧力を最大限まで高めるということが重要であるとともに,拉致問題の早期解決に向けて協力をしていこうということで一致をいたしました。また,バジュワ陸軍参謀長とは,特にアフガニスタン情勢について懇談を行い,パキスタン・アフガニスタン両国の安定が地域の安定にとって極めて大事だという認識を共有をいたしました。パキスタンはアフガニスタンの安定のために大きな役割をこれまでも果たしてきたと思いますが,今後ともこのパキスタンの取り組みについて,しっかりと協力をしてまいりたいというふうに思います。私からは以上です。
質疑応答
【記者】中国が一帯一路の実現に向けた「真珠の首飾り」戦略の下でですね,インド洋沿岸の開発支援を進めていて,中には中国の負債に苦しんで,港湾の権益譲渡を迫られたような国もあると思います。中国は海洋進出を進める中で,南アジアの国々に,日本として,どう支援していきたいのか教えてください。
【河野外務大臣】この南アジアの今回の訪問国はいずれもインド洋の支援として非常に重要なところだというふうに認識をしております。連結性の強化という意味でも様々日本として協力をしていきたいと思っております。こうした協力をしていく中で,港湾をはじめとするインフラについては,一つは,透明性をきちんと確保するということ,それからインフラがすべての国に対して解放されている必要があるということ,あるいは,支援の受け手の国々の財務の健全性が確保されているというような様々な質の高いインフラというものが今国際的なスタンダードになりつつあると思いますので,インフラの開発については,こうした国際的なスタンダードをしっかりと維持した質の高いインフラというものをやっていくということを広めていきたいというふうに思っています。
【記者】先ほどの大臣の話にもあったんですが,北朝鮮に対して,外交関係のあるパキスタンに対して,どのような話をされたのか具体的にお話していただけますか。
【河野外務大臣】金正恩の新年の辞にもあるように北朝鮮は相変わらず核やミサイルの開発を続けていくという意思を明確にしております。そんな中で安保理決議に基づく圧力を最大限にして北朝鮮の体制に政策の変更を迫る必要がある、ということでは一致をいたしましたし,様々パキスタンもこうした国際社会の取り組みに全面的に協力をしてくれるということでございます。日本と様々なことを協力してやっていきたいという話がございましたので,外交関係の見直しを含め,これからパキスタンが色々取り組んでくれるということに期待をしていきたいというふうに思います。
【記者】文在寅大統領が今日韓国で元慰安婦の女性らと面会して,日韓合意について政府が一方的に進めたもので内容も手続きも誤りだったと謝罪した上で,今月にも打ち出す見通しの合意に対する新たな方針に関して元慰安婦の意見を反映させたい考えを示しましたが、受け止めをお願いします。
【河野外務大臣】日本としてはこの日韓合意について言うべきことはきちっと言っておりますので,これ以上付け加えることはありません。
【記者】北朝鮮に関してパキスタンが外交関係を含め見直してくれることを期待する,と今仰りましたけど,会談の中でパキスタン外交関係については。
【河野外務大臣】パキスタンはですね,これまで外交関係がありましたが,例えばカラチの総領事館のように経済活動もない中で,そうした規模を維持することが本当に必要なのかという問題提起をしてくれているようでもございますので、様々北朝鮮の問題については国際社会と歩調を合わせていくというような話がありました。