記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成29年12月7日(木曜日)14時16分 於:大臣接見室前)

冒頭発言

【河野外務大臣】日本時間の7日の午前3時,エルサレムについてトランプ大統領が発表を行いました。我が国はイスラエル・パレスチナの間の紛争の二国家解決を支持しており,エルサレムの最終的地位の問題も含め,これまで累次採択されてきた国連安保理諸決議や,これまでの当事者間の合意などに基づき,当事者間の交渉により解決されるべきとの立場を取っております。我が国としては,トランプ大統領が恒久的な和平合意の促進への強固なコミットメントや,二国家解決への支持を表明したことは,評価をしております。又,エルサレム市内の主権の境界線を含む,最終的地位は当事者間の交渉に従わなければならないと明確に認めたことの重要性に深く留意しております。
 しかしながらこの発表を契機として今後の中東和平を巡る状況が厳しさを増したり,また中東全体の情勢が悪化し得ることについて懸念しており,本件の動向については大きな関心を持って,これから注意して参りたいと思っております。

質疑応答

【記者】アメリカが今回,こういった宣言,トランプ大統領が宣言しましたが,賛成反対というか,どういった態度を日本政府として示されるお考えですか。

【河野外務大臣】日本は大使館を移動するつもりはございません。

【記者】この問題に関して,関係各国等々と電話会談などで意見を交わしたということはございますでしょうか。

【河野外務大臣】昨日,サウジアラビアの外務大臣とは電話会談を致しました。

【記者】国連安保理では今月日本が議長国をつとめますけども,議長国としてこの問題,どのように議論していこうとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】緊急会合の要請が来ていると承知をしておりますので,その場で様々議論が行われることになると思います。

【記者】ティラソン国務長官が声明の中で,こうした決断をする前に同盟国を含め,友好国とは事前に相談をしてきたんだというふうに言っているんですけど,日本として,この決定をアメリカが発表する前に事前に相談を受けたことはあるのか,その場合日本はどのような対応をしたのか教えて下さい。

【河野外務大臣】外交上のやりとりについては差し控えたいと思います。

【記者】日本政府は中東和平に関しては仲介役として邁進して来ましたけども,その方針に関しては変わりはないでしょうか。

【河野外務大臣】全く変わりはございません。日本は中東の和平というのが日本あるいは世界の平和と安定と繁栄に大きくかかってくるという認識を持っておりまして,日本としては中東の和平にしっかりコミットしていきたいと思います。

【記者】とすると,今回のアメリカ政府の発表が中東和平の仲介役を担うことについてどのように影響すると考えられていますか。

【河野外務大臣】先ほど申し上げたとおり,中東の和平につながるところ,あるいは今後の中東情勢に様々懸念が出てくることは注視していきたいというふうに思っています。

【記者】今後アメリカなどの関係国と意見交換をするお考えはありますでしょうか。

【河野外務大臣】様々な国と意見交換はやって参りたいと思います。

【記者】この決定,そもそもですね,中東和平にどのような,プラスのものが生じるとすればどのようなものだというふうに大臣はお考えになっていますか。

【河野外務大臣】アメリカが少なくとも二国家解決にコミットし続けているということ,それから最終的な境界線のことについてエルサレム市内の主権の境界線を含む最終的地位は当事者間の交渉に従わなければならないということにコミットしているということはアメリカのコミットメントを明確にしたということはあると思いますが,今回のこのことを受けて,中東全体の情勢が悪化しうる,あるいは中東和平を巡る状況が厳しさを増すという懸念がありますので,この件の動向については注視していきたいと思っております。

【記者】そういう懸念がある中で,ある意味,選挙中の公約を果たすためにですね,このような決定をしたんじゃないかという指摘も,当然トランプ大統領の今回の決定にあると思うんですけど,これについてはどのようにお考えですか。

【河野外務大臣】アメリカ政府内の決定のプロセスについてコメントするのは差し控えたいと思います。

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