記者会見

河野外務大臣会見記録

(平成29年11月2日(木曜日)15時37分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)再任の御挨拶

【河野外務大臣】河野太郎でございます。第4次安倍内閣で外務大臣に再任をされました。またよろしくお願い申し上げます。
 前回も申し上げましたが,自分としては,引き続き6つの重点分野でいきたいと思っております。
 第一に,北朝鮮問題を始め,厳しくなる日本を取り巻く安全保障環境の中で,日米同盟をしっかりと強化していくこと。
 第二に,中国,韓国,ロシアを始めとする近隣諸国との協力関係を強化していくこと。
 第三に,保護主義が一部台頭する中で,自由貿易の旗振り役として日本が前へ進んでいくこと。
 第四に,軍縮,気候変動など,地球規模の課題にしっかり取り組んでいくこと。
 第五に,中東の平和と安定に日本として,更に関与をしていくこと。
 第六に,インド太平洋地域を自由で開かれた国際公共財としていくこと。
 こうしたことを中心に,外交問題に取り組んでまいりたいと思っております。

(2)ベトナムAPECダナン閣僚会議出席

【河野外務大臣】11月7日から8日までベトナムのダナンで開かれるAPEC閣僚会議に出席をいたします。記者の皆様と是非ダナンでお目にかかりたいと思いますので,お待ちしております。
 APEC閣僚会議におきましては,G7,G20の成果も踏まえ,APECにおける自由貿易をしっかりと牽引していく,そういうメッセージを発信していきたいと思っております。
 議長国のベトナムを始め,参加国とバイの会談も行いますので,国際情勢について広く意見交換をしてまいりたいと思います。

トランプ米国大統領訪日

【読売新聞 後藤記者】5日から,トランプ米国大統領が来日されますけれども,6日の日米首脳会談では,安保分野とか経済分野について議論が交わされると思いますが,安保・外交についてそれぞれどのような成果を期待されますでしょうか。

【河野外務大臣】まだ,日程の詳細その他も調整中でございますので,今,成果についてとやかくコメントする段階にはございません。

【朝日新聞 田嶋記者】関連してなんですけれども,トランプ大統領と安倍首相がですね,ゴルフを一緒にする予定になっております。首脳同士の信頼関係の強化につながるという期待する声がある一方でですね,北朝鮮情勢が緊迫している中でのゴルフについて批判の声もありますけれども,大臣としてはですね,このゴルフ外交の意義というのはどのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】外務大臣になりまして,様々バイ・マルチの場でいろんな国の外務大臣とお目にかかる中で,やっぱり最後は人間関係が非常に大事だと思います。細かい具体的なことは申し上げられませんけれども,先の日本が提出しました核兵器廃絶決議案についてもですね,最後,電話会談その他を行ったときに,ある面これまでの人間関係で日本の決議案に対する態度を変えていただいたりというようなこともございましたので,外務大臣レベルでも個人的な関係がやはりあるかないか,そこがうまくいっているかどうか,というのは非常に大事なんだと思います。
おそらく首脳の関係は,更に個人的なレベルでの信頼関係がどれだけ厚いかというのは,やはり様々なことに影響してくると思います。
 私(大臣)も外務大臣がいろんな国からいらっしゃるときに,今日もチュニジアの外務大臣がいらっしゃいますし,先般,ボスニア・ヘルツェゴビナの外務大臣いらっしゃいましたし,できる限り,夕食か昼食を一緒にということをやろうと思っております。夕食会が,それが時間があればゴルフということになっても,それで信頼関係が増すということはいいことだと思っていますし,ゴルフ場で様々なことがきっと話し合われるのだろうと思っております。
 北朝鮮がミサイルを撃とうとしている,あるいは核実験をしようとしているから,日本が,あるいは日本の総理が何か行動を規制されるということは,それ自体,脅威に屈していることになりますので,危機管理態勢をきちんと取っている中で,こうしたことが行われるのは,私(大臣)は全く問題ないと思っております。

日本人被爆者によるノーベル平和賞授賞式でのスピーチ

【フリーランス 上出記者】冒頭でもちょっと発言された核廃絶に関連してですが,核兵器禁止条約については日本は反対しております。それで今回ですね,ノーベル平和賞を取ったICANの平和賞の授賞式にですね,日本人の被爆者の方がスピーチをされます。これはある意味で広島の方たちから大変歓迎の声があるのですけれども,大臣のお立場からは,この日本人被爆者のノーベル平和賞受賞スピーチについては,どのように受け止められているかお聞かせください。

【河野外務大臣】広島でどういうことが起きたのかということを知ってもらうというのは,非常に大切なことだと思いますし,戦争を知らない,私(大臣)もそうですが,次の世代の者に戦争の,あるいは核の経験を伝えていくというのは極めて貴重なことだと思っております。そういう意味で,我々もオバマ前大統領に広島に来てほしいという働きかけはずっとやってきたわけですから,被爆者の方が様々な場でそうした経験を話す機会を頂くというのは,日本政府としても大変喜ばしいことだと思っております。

日露関係

【リア・ノーボスチ通信 奈加記者】ロシア関係についてですが,これからの予定,大臣のロシア訪問含めて教えていただきたいのと,最近,共同経済活動にはちょっと進展がありましたので,それについても教えていただきたいと思います。

【河野外務大臣】11月,12月のなるべく早い段階でロシアを訪問したいと思っております。様々,ラヴロフ大臣を始め,あるいは日露経済委員会の場でご相談をしなければいけない,決めていかなければいけないこともありますので,なるべく早い段階で相談をしたいと思っております。
 現地調査の結果を受けて,作業部会の議長間の協議を立ち上げまして,今後の進め方その他についての議論が,今日,明日で行われますので,なるべく作業部会そのものも早く進めていきたいと思っております。大変いい視察だったと伺っております。

トランプ米国大統領訪日

【共同通信 福田記者】成果についてはお話ができないということだったんですが,日米についてですね。ただ,このタイミングで日米の結束を改めて確認することの意義について,大臣から所感をお願いします。

【河野外務大臣】北朝鮮の危機ということもありますが,トランプ大統領,これまで日米は100%共にあるという,その立場を1ミリたりとも揺るがしたことはありませんし,ティラソン国務長官,マティス国防長官をはじめ,アメリカ政府一体としてその姿勢を貫いていただいております。そういう中にあって,同盟国のトップが来日されるわけですから,日米の同盟の結束が非常に堅いというのは,様々な場面を通じて世界に発信していくことになると思います。

【NHK 石井記者】関連して,アジアをトランプさん歴訪するという形ですけれども,初のアジア歴訪ということで言えばですね,日本も含めて,その後,韓国,中国,ベトナム,フィリピンなわけですけれども,その意義はどういうふうにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】アメリカはオバマ大統領の時に,アジアピボットということをうたわれましたが,アジアピボットと言うかどうかは別にして,アジアの重要性というのを引き続き新政権になっても,認識をしてくれている,重点を置いてくれているということの表れだと思っております。今,我々は潜在的な成長力著しいアフリカから中近東,インドを経由して,太平洋をアメリカへ至るまでの,「自由で開かれたインド太平洋」を国際公共財にしていこう,次の経済発展のためのすべての国に開かれた大切な国際公共財にしていこうということをうたっておりますが,そういったことについて,日米でもこれからしっかり取り組んでいけるようにしてまいりたいと思っております。

「自由で開かれたインド太平洋戦略」

【時事通信 大津記者】大臣,今,おっしゃっていただいた「自由で開かれたインド太平洋」の関係なんですけれども,国際公共財にしていきたいということですが,日米首脳会談でも改めてそういうメッセージを,共同で打ち出していきたいかということと,連携の具体策として,日米豪印の首脳級で作る戦略対話の意義について,改めて教えていただけでますか。

【河野外務大臣】まだ,具体的にどういう議題で,あるいはどういう成果をというのは調整をしているところですから,今,首脳会談の成果について申し上げるのはちょっと時期尚早かなと思っております。
 「自由で開かれたインド太平洋」というのは,すべての国の経済発展に資することでございますから,これは沿岸国を含め,あるいはアメリカを含め,様々な国の協力を頂いて,海賊対策ですとか,あるいは法の支配というようなこと,あるいは防災というようなこともあると思いますし,そうしたことをきちんとやっていけるようにしてまいりたいと思っております。
 今,日米印,あるいは日米豪の枠組みで,様々貿易などを含めた議論をしているところで,これをいずれ何らかの形で,日米豪印という形の議論にしてまいりたいと思っております。TPPでアメリカが抜けてしまったものですから,ちょっと日米豪というようなものを中心に,もう一度自由貿易の大切さみたいなことを,このアジア・太平洋の中でやはり訴えていかなければいけませんし,オーストラリアと一緒に,アメリカにTPPへどうぞ,戻ってきてくださいというような呼びかけもやっていかなければいけないかなと思っております。
 また,日米印はインフラを初め,今度,新幹線のプロジェクトも始まりますし,アジアにおけるインフラの重要性,そういうことについても議論をしていきたいと思っています。

【日経新聞 林記者】今の質問に関連して,日米豪印の枠組みというのは,中国を刺激するようなメッセージにもなり得ると思うんですけれども,そのあたりをどうお考えでしょうか。

【河野外務大臣】全く中国を念頭に云々ということではありません。一つは今申し上げたような自由貿易,この地域での自由貿易をどうしていくか,それはいずれ,どこかの段階でインドもそういうところへ加わってもらうということは将来的にあると思いますし,今,日米印ではインフラをどのように,このアジアの,かなり旺盛なインフラ需要にどう応えていくか,あるいはどういうことでやっていくか,あるいは質の高いインフラを国際スタンダードにしていかなければならないというような話をしておりますので,いずれそういう議論は,併せてやっていく必要性は当然にあるだろうと思っております。

外務大臣を経験しての所感

【NHK 辻記者】8月3日に就任されてから,再任されたわけですけれども,3か月たちました。大臣,河野カラーというか,自分の色というのは,やっていく中で自然に出てくるものだと思うと,当初おっしゃっていましたけれども,3ヶ月がたち,様々な外相会談もありました。今,自分,3カ月経って外相という仕事を改めてどういうふうに受け止めておられるかということと,当初思っていたことと違っていることとか,どういうことを感じておられるでしょうか。

【河野外務大臣】当初思っていたよりも,やはり人間関係の重要さというのが思っていたよりも大きいなというのを改めて感じております。やはり外交というのは最後,人間がやっているんだなというのがよく分かるというか,分かったというか,それは外務大臣同士もそうですし,先方の政府とこっちの大使,あるいは,こっちの政府と先方の大使の関係,あるいは外務省のそれぞれの次官級以下,それぞれのレベルの協議を見ていると,やっぱり人間的な馬が合うというのは,すごく影響があるというのは,ですからやはり,人間関係を作っていくというのは非常に大切なんだなと思っております。
 もう一つは,やはりこれだけ国際化が進んで,ICTが使われる時代になってきましたから,やはり少し外務省も現代化していかないといけないかなという部分はあるんだと思います。例えば,査証の申請数が爆発的に今増えてきていて,このまま行ったら,それは今,入管が大変だといって入管のニーズが増えて,あれしていますが,それはその前段階の査証のところもやっぱりそうなんだろうと思いますし,この間終わった総選挙で言えば,やっぱり在外投票の投票のしにくさというのは,今回,特に私がブログに書いたせいかもしれませんけど,相当多く投票しにくいとか,投票できなかったとか,何とかしろという声は頂きまして,先ほど野田総務大臣と,とにかく次の参議院選挙は在外投票はインターネット投票ができるぐらいの勢いで,実際にそうなるかどうかは,今ここで申し上げるとあれかもしれませんが,それぐらいの勢いでやらないと,これはどうにもならんねと,総務大臣も実は,インターネット投票,国内も大事だと思っていらっしゃったので,総務省の立ち上げる場に外務省も入れていただいて,在外投票でテストしましょうというみたいな話もしておりましたが,やはりそういう新しい技術というのは,どんどん入れていった方がいいのかなと,今,電話会談を本当に電話でやっていますけど,世の中は皆,スカイプでやったり,テレビ電話やったりしているわけで,それは相手の表情が,相手の表情が見えちゃうとネクタイを緩めて電話会談をやっていますというのがばれるから,厳しい面も逆にあるのかもしれませんけども,やはりここはいろんなことが考えられるんではないかなと思っていますので,外交というのは昔ながらのしきたりの部分と,新しい技術を入れる部分と,これはいろいろあって,それは足腰の部分なのかもしれませんけど,そういうところはあるかなと,ちょっと思っております。

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