記者会見
河野外務大臣臨時会見記録
(平成29年9月20日(水曜日)19時07分 於:米国・ニューヨーク)
冒頭発言
【河野外務大臣】まず,安保理,安保理改革に関するG4の外相会合を主催致しました。顔ぶれも新しくなりましたので4人の外相の間で個人的な信頼関係を築いていこうということと,テキストベースでの交渉を今回始めようということでその決意をお互い確認し合ったということでございます。それから今日はフランスとブラジルの外務大臣との会談を行いました。ブラジルの外務大臣はG4のあと,少しその場に残って中南米における北朝鮮の問題,北朝鮮との外交関係,そうしたことについて少し意見交換を致しました。安保理決議を完全に履行するということが大切だということと,やはり北朝鮮に関する日本の立場を完全に理解するというお話を頂きました。中南米とも連携をして北朝鮮にしっかり圧力をかけていきたいというふうに思っております。そのほかにCTBTの発効促進会議に共同議長として出席を致しました。CTBTの早期発効の重要性を改めて強調致しました。そのほかに国連のPKOに関する安保理ハイレベル公開討論,第8回になりますグローバル・テロ・対策フォーラム,GCTF閣僚級会合に出席をして,PKOが直面する課題,その改革の必要性,あるいは今後の国際的なテロ対策についての我が国の考え方を述べて参りました。とりあえず今日,今までのところは以上でございます。
質疑応答
【記者】常任理事国入りを目指す4ヶ国の会合を行ったということで,大臣がですね,これまでニューヨークに滞在して,バイ会談,マルチの会合,いろいろあったかと思いますけども,その中で常任理事国入りを目指すべきだと思った,強く印象を認識したような場面とか瞬間というものはあったのでしょうか。そうした点を踏まえましてですね,なぜ日本が,常任理事国入りを目指さなければならないのかという理由も併せてお答え下さい。
【河野外務大臣】これまで例えばモザンビークのTICADの前後でのバイの会談ですとか中東での会談ですとか,いろんな会合を通じて,やはり今の国連がもはや,21世紀の現状を映していないという,強い,なんというのでしょうか,コンセンサスがあるように思えます。国連は,もう,できてから半世紀以上全く同じ状況で運営をされていますが,当時はアフリカの多くの国はまだ独立をしていなかったというような状況もございますし,21世紀の現実を国連が反映していないという思いは非常に多くの国が共有をしています。恐らく,3分の2に近い国が国連改革についてテキストベースでの交渉を始めるべきだと思っているということは様々な場面で確認ができると思いますが,核を持たない日本がですね,常任理事国として様々な安全保障の議論に参加するというのは,極めて有意義なことだと思いますし,アジアから民主国家であり,法の支配の下で様々やっていこうという日本が,「アジアの中で民主国家を代表して常任理事国に入るのもこれは極めて重要なことだと思っております。そういう意味で日本が常任理事国に入ることにほとんどの国は,賛同してくれているという現実がありますが,ルールを変えなければいけないということで,様々な地域によって違う思惑があったり,あるいは国によって違う思惑があったりということがありますが,ほとんどの国がテキストベースで安保理改革の議論を始めるべきだというところは思いを同じくしていると思います。是非,その思いをしっかりと通したいというのと同時に常任理事国の中でも,イギリスやフランスは改革を支持してくれていますので,イギリス,フランスも明確にそうした立場を述べてもらって,一気に安保理改革に向けての機運を高めていきたいというふうに思っています。
【記者】今日,核兵器禁止条約の署名式典が開かれましたが,日本は署名はしない考えですけれども,そのことに対して被爆者の一部などからは遺憾の声があがっています。日本政府としてどんなお考えなのか改めてご説明をお願い致します。
【河野外務大臣】前から申し上げているとおり,核兵器の非人道性と,この安全保障の環境に,厳しい環境に対する認識,その中で残念ながら,核兵器国と非核兵器国の間が分断されている,あるいは非核兵器国の間でも分断が大きくなっているというのが現実だと思います。究極的に核廃絶という思いは,共有を致しますが,日本のアプローチとは違うということで,我が国は署名は致しません。しかし,我が国はこの核兵器国と非核兵器国,あるいは非核兵器国の間,溝ができている間をしっかりと橋渡しをして,究極的な核廃絶,これに向けて前進をしていきたい,そういう思いで今日もCTBTの会合に出ておりましたし,NPTですとかCTBT,あるいはFMCTといった核兵器国も関与してきているこの枠組みをしっかりと前へ進めていく努力を,日本としてやっていきたいと思います。
【記者】関連で,今日のCTBTの会合で,大臣は未批准国,例えばアメリカ等々,未批准国に対して働きかけを行っているというご説明がありましたけども,例えば8月のティラソン国務長官との会談の際ですとか,具体的には米国・中国等々に対してどんな形で働きかけを,何をどう働きかけているのでしょうか。
【河野外務大臣】少なくとも,核兵器国もですね,核実験というものをやってこなくなっているわけですから,CTBTを発効させるということに究極的には異論はないのではないか,というふうに思っております。
具体的なやりとりについては伏せたいと思いますが,これまで1ヶ月,外務大臣就任して1ヶ月ちょっとですが,いろいろな国にやはり,きちっと前向きに取り組んでほしいというお願いはしてきております。様々,それなりに,それぞれの国に事情があるのも理解を致しますが,核兵器国も,このNPTの中で核軍縮に向けて努力をする,ということが謳われているわけですから,そこはしっかり,NPT,CTBTあるいはFMCT,核兵器国もしっかり取り組んでもらいたいところです。
【記者】関連で,さっき,国連が,その,核兵器禁止条約の場面で50ヶ国の署名が集まったと,今日のそのことに対しての受け止めと,核兵器禁止条約が批准・発効するという,そういう体制になった場合の非核兵器国との関係は。
【河野外務大臣】日本は,この条約に,交渉に参加しているわけではありませんから,この条約の署名国がいくつになったかどうか,ということについてコメントは差し控えたいと思います。いずれにしろ,唯一の戦争被爆国である我が国は様々な分断を乗り越えてこの核軍縮,核廃絶に向けて,世界が歩みを進めるように努力して参りたいと思います。
【記者】北朝鮮になるんですけども,さきほどですね,北朝鮮のリ・ヨンホ外相がニューヨークに到着されまして,記者団の前でですね,トランプ大統領の演説について,「いぬの鳴き声で我々が恐れると思うのなら,それは危険な妄想だ。」と述べて,依然,対決姿勢を鮮明にしているようですけども,受け止めの方をお願いします。
【河野外務大臣】北朝鮮がこれまで,様々な対話の中で,実は核開発を続けてきた現実を我々目の当たりにしているわけですから,国際社会一丸となって,北朝鮮にいまは圧力をかける,そして北朝鮮が,非核化に向けて明確な意思を表明し,具体的な行動をとった上で対話のテーブルにつく,というのが国際社会の共通した認識だと思います。今日も様々,会談がありましたけども,国際社会の中で,そういう認識というのが,かなり強く共有されていると思います。我々としては北朝鮮にしっかりと圧力をかけ続けていきたい,と思っております。
【記者】米朝間のトップの方でですね,非常にあの,激しい言葉のやりとりになっているわけですけども,不測の事態が生じないか,その辺の懸念については。
【河野外務大臣】トランプ大統領が「全てのオプションがテーブルの上にある」と,こう言い続け,日本や韓国に対して拡大抑止を含む,アメリカの抑止力を提供しているということは,全く,揺らいでおりませんので,我々としては,日米同盟,あるいは日米韓,連携をしっかり深めながら北朝鮮に圧力をかけていきたいと思います。
【記者】北朝鮮の関係なんですけども,河野元衆議院議長が記者会見で,「北朝鮮問題の解決のためには,日中韓が話し合いをしなければならないのに,それができていない。」という批判してらっしゃいますけど,外交の責任者は大臣です,受け止めをお願いします。
【河野外務大臣】日韓,日米韓,極めて密な連携がとれております。また,日中,あるいは日露外相会談,あるいは電話会談というものを通じて,朝鮮半島の非核化がゴールだという共通認識は共有しております。また,中国,ロシアは安保理決議に賛成をして,採択されてきておりますので,連携はしっかり取れている,安保理全体としての連携もしっかり取れているというふうに思います。
【記者】同じ会見なんですけども,今度行われる衆院解散について,権力者の自己都合でやってると,森友や加計学園についても説明しないと,衆院解散の方針も批判されてらっしゃいますけど,それについてはいかがでしょう。
【河野外務大臣】特にコメントありません。どうぞご本人に聞いて下さい。
【記者】拡大抑止について言及がありましたけども,その安全保障の中で核の傘に入っている日本として,安全保障と一方で核軍縮をどう進めていくかという二つの点が非常に難しい問題かと思いますけども,NPDIの会合,明日開かれて大臣参加されるわけですが,今後どのようにその問題に取り組んでいくのでしょうか。
【河野外務大臣】国際社会全体として,核兵器の数を下げていく,核軍縮を進めていくという必要はある,というふうに思っています。核兵器の数が,国際社会全体の中で,極限まで引き下げられている状況の中で,核廃絶に向けて大きな歩みができるというふうに思っておりますので,まず現在の安全保障環境の現実を見据えて,その上で核軍縮,やれることはしっかりやっていかなければいかんと思います。