記者会見

河野外務大臣臨時会見記録

(平成29年8月24日(木曜日)21時00分 於:モザンビーク・マプト・ポラナホテル)

質疑応答

【記者】まず,まさに今日TICAD閣僚会合が始まりました。去年ケニアでありまして,再来年には日本で行われます。今回の閣僚会合というものの位置づけとして,どういった成果を挙げていきたいとまずお考えになりますでしょうか。

【河野外務大臣】首脳会談で様々決められたことをですね,きちんと進展しているかどうかということをフォローアップするというのが今回の目的です。TICADのフォローアップは透明性を確保しながら,どういうものがどれだけ進んでいるかということを共有して前へ進めていきたいというふうに思ってます。特にアフリカの開発については,アフリカ側がオーナーシップを持って,様々な政府であったり国際機関であったり,あるいは民間企業,NGO,いろんなところとパートナーシップを組んでやっていただきたいというふうに思っております。そういう意味でフォローアップをきちんとやりながらアフリカ側が自分でオーナーシップを持って開発を進めていくという,TICADのプロセスにしっかり乗ったものにしていきたいというふうに思ってます。

【記者】そのアフリカに関してですけど,特に今中国が進出続けています。特に経済ももちろんそうですが,この前,東部ジブチではですね,いわゆる補給基地の運用も開始しています。そうした中国の影響力も拡大していく中で,今回の一連の会合を通してですね,日本の存在感と言いますか,どういう役割も含めてですね,どういうふうに高めていきたいとお考えでしょうか。

【河野外務大臣】日本が今までとらえてきた人間の安全保障という考え方は日本とアフリカ共有しているものだと思います。そしてもう一つは質の高い成長,そのためには質の高いインフラ整備といったものも必要になってくると思いますので,そういうところで,日本は日本にしかできない独自のものをやっていく必要があるんだろうと思います。また,ハード面だけでなくて,ソフト,特に国の根幹になるような制度というのを,日本はしっかり整備をするお手伝いをして,アフリカというと,国はあるけどもどちらかというと最後は部族だったり宗教だったりに頼るというところがありますが,国としてきちんとそうした宗教や部族といったものを超えてまとまっていける,そのための制度というのをやっぱり作っていくお手伝いを日本はしなければいけないかな,いろんな国で今アフリカ選挙が行われていますけども,たとえば選挙管理委員会がきちんと信用されたものになっていく,あるいは,司法制度がきちんと信用されるものになっていく,そういうソフト面での制度の確立というところも日本はしっかりとお手伝いをしていきたいと思います。

【記者】海洋面でも。

【河野外務大臣】アジアとアフリカという,今最も発展をする二つの大陸を結ぶ,そういう意味で自由な開かれた海洋戦略,自由で開かれたインド太平洋,これが大事だというところをアフリカ側とは共有していきたいと思います。

【記者】大臣,北朝鮮に関してお伺いします。先日東京でのインタビューで,「制裁の抜け穴」というような表現もされていらっしゃいましたけれども,今のアフリカ各国の北朝鮮対応での取り組み,どのように評価されていますでしょうか。明日以降のバイの会談,重ねられると思うのですが,北朝鮮についてはどういう呼びかけをされていくお考えでしょうか。

【河野外務大臣】アフリカ諸国の中で北朝鮮の労働者が入ってきているところもあれば,北朝鮮との様々な取引というのがあった国もありますので,国連の安保理決議をしっかりと履行していただきたいということは,バイの中でもお願いをしていきたいというふうに思っております。今度の安保理決議,特に中国あるいはロシアという国が賛成をしているわけですから,せっかくそこを止めようとしているときに,抜け穴がいろんなところにできてはいけないわけですから,そこは国際的な課題だということをきちんと強調して,アフリカ諸国の安保理決議に対する支援もお願いをしていきたいと思ってます。

【記者】現在の各国の取り組み状況に関しては,どのように評価をされていますか。

【河野外務大臣】まだ国連の報告が出ていない国があったりですね,いろいろ,多少ばらつきがあるところはあると思いますので,ただそれは何も避けているわけではなくて,出すに至っていないというようなところなんだと思いますので,きちんきちんと安保理決議を履行してもらえるように,一つずつお願いをしていきたいと思います。特に大きな問題が今分かっているというわけではありませんが,とにかく抜け道を作らせないというのが一番の基本方針ですから,それはしっかりやっていきたいと思います。

【記者】大臣,万博についてお伺いします。大阪万博ですけれども,今日から明日にかけてのバイ会談で,大阪への支持を訴えていくかどうか,どのように訴えるか,またそのアフリカ諸国の支持を得ることについて,フランスなども名乗りをあげていますが,アフリカの重要性,票田としての重要性について,どのようにお考えか。

【河野外務大臣】地域としてアフリカがどうも国の数がかなり多いということですから,アフリカの支持を得るというのは大事なことだと思っております。フランスとの競争だという話もありますけども,アフリカの中のフランス語圏の国からも支持をいただいているというところもありますので,そこは自信をもってやっていけばいいのかなと。大阪の市長もいらっしゃってサイドイベントもずいぶんいろいろと訴えてられたようですので,私の方は私の方で,バイの会談の中で,しっかりとお願いをしていきたいと思っております。

【記者】先ほどのオープニングセッションが2時間半にわたって遅れて,これはかなり異例のことだと思いますが,その理由について。また,西サハラの一団を入れる入れないで,少し混乱があったようですけれども,それが関係するのか,それを共催国としてどのように判断したのか,お聞かせください。

【河野外務大臣】いわゆる西サハラについては,我が国は国家承認しておりませんし,国連の加盟国でもありませんし,そもそもTICADに我が国から招待状を出しておりません。という立場を明確にした上で,そこの調整については,アフリカ側にお任せをしておりました。それは,日本が立場を明確にしておりますので,そこの調整をお願いしたところ,少し遅れましたが,調整がついたということでしたので,会場へ参りました。少し最初の全体会議が,短くなってしまったのは残念だなと思いますが,モザンビーク大統領,外務大臣,いろいろお心遣いをいただきましたので,そのことについては感謝申し上げたいと思います。

記者会見へ戻る