記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成29年6月30日(金曜日)10時19分 於:官邸エントランスホール)
日EU・EPA閣僚級協議
【記者】日EU・EPA交渉についてですが,今日から閣僚級の協議が始まります。まだ重要品目として,チーズや自動車など重要な課題が残っておりますが,どのような姿勢で臨まれるのか,意気込みをお願いします。
【岸田外務大臣】日EU・EPAにつきましては,もう3週間にわたって首席交渉官交渉,東京で行ってきました。一進一退,大変激しい議論が本日まで続いています。その中で今日から閣僚同士の会合を行いたいと思います。G20の際の日EU首脳会談も念頭に置きながら,全力で取り組んでいきたいと思います。相手のある話であり,予断することは難しいですし,当然のことながら激しい,厳しいやり取りになると考えます。ただ,国益の観点からも全力で取り組んでいきたい,このように思っています。
米国の対北朝鮮独自制裁
【記者】北朝鮮問題についてですね,アメリカが中国の企業などに制裁を加えることを決定しました。改めまして,日本としてはどのような対応を取るのか,お願いします。
【岸田外務大臣】米国による北朝鮮に対する制裁ですが,6月29日,米国が中国に拠点を置く銀行1行に対し,米国の金融システムへのアクセスを禁止する措置を講じるとともに,北朝鮮の大量破壊兵器の拡散に関与しているなどとして,1団体・2個人を新たに制裁対象に指定する旨発表した,このように承知をしています。
この措置は,米国の北朝鮮に対する断固たる姿勢を示すものであると受け止めておりますし,我が国としてもこれを強く支持をいたします。引き続き,米国を始め関係国とともに連携をしながら,北朝鮮に係る諸懸案の解決に向けて努力を続けていきたい,このように思います。
都議会選挙関連
【記者】都議選が始まりましたが,稲田大臣の発言や下村幹事長代行の金銭問題の話などが出てきております。昨日,内田会長は初の例会でも,改めてますます状況は厳しくなってきていると発言しましたが,内閣の一員として,また派閥の会長としてどのように対応していきたいのか,お願いいたします。
【岸田外務大臣】稲田大臣につきましては,発言が誤解を招きかねないものであるとして撤回をされたと承知をしています。下村幹事長代行についても,記者会見において説明をされたと承知をしております。都議選挙,今度の日曜日です。いよいよ選挙は大詰めを迎えています。是非,この厳しい選挙,政府与党としても厳しい状況をしっかり受け止めて,努力を続けていかなければならない,このように思っています。
米国の対北朝鮮独自制裁
【記者】アメリカの制裁発表を受けて,政府としては歩調を合わせて独自制裁等々の検討,その部分はどうなるんでしょうか。政府としての対応は。
【岸田外務大臣】我が国の対応としては,先日も「キャッチ・オール規制」の導入など,状況を見ながら,我が国としてあるべき対応について不断に検討しながら,順次,実施をしております。アメリカのこうした対応については支持をいたしますし,今後とも状況を見ながら,我が国の対応も考えていかなければなりません。そもそも北朝鮮の反応等も見ながら何が最も効果的なのか,こういった観点から検討を続けていくべきであると考えます。
慰安婦像に関する条例
【記者】韓国,釜山の市議会でですね,像を市が管理するようにするという条例が,今日,成立する見通しですが,こうなると像の撤去が難しくなるという見通しなんですけれども,日本の対応はどうなっているのでしょうか。
【岸田外務大臣】ご指摘のような件があること,これは承知をしております。そして一昨年の日韓合意,これは慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決される,こうしたことを確認したものであります。にもかかわらず慰安婦像の設置を固定化する動き,これは我が国の立場とは相いれないと考えます。こうした考え方については,これまでも累次,韓国側に伝えてきていますが,引き続き,韓国側に対してあらゆる機会を捉えて,合意の履行の重要性をしっかりと伝えていき,履行の実施を求めていきたいと考えます。
米韓首脳会談
【記者】今日からですね,米韓首脳会談が行われます。他国同士の会談ではありますが,北朝鮮問題など連携が必要かと思います。どのような成果を期待されていますでしょうか。
【岸田外務大臣】米韓首脳会談,日本時間30日深夜に行われると承知をしております。おっしゃるように第三国間のやり取りですので,コメントすることは控えなければならないとは思いますが,北朝鮮への対応を含めて幅広い分野において,日米韓の連携は重要であると認識をしております。今回の首脳会談においても,こうした連携の重要性が確認されることを期待したいと思います。
長期政権の緩み
【記者】都議選の質問の中にもありましたが,稲田大臣の発言などですね,長期政権のおごりですとか,緩みがあるんじゃないかという指摘,コメントあるかと思います。大臣,政権発足当初から外務大臣という要職にあって,この政権4年半,ご覧になってきて,そういう緩みであるとか,おごりであるとか,そういうのが出ているというふうにお感じになりますでしょうか。
【岸田外務大臣】4年半,政府,政権としては様々な課題に直面し,その時々において全力で取り組んできました。しかし様々な最近の出来事を通じて,緩みがあるのではないのか,こういった指摘があるとしたならば,謙虚に受け止めなければならないと思います。その上で,是非,政府としても与えられた責任をしっかりと果たしていくよう努力を続けていきたい,このように思います。