記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成29年4月25日(火曜日)8時48分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

平成29年版外交青書の閣議配布

【岸田外務大臣】平成29年版外交青書の要旨を閣議で配布いたしました。今回の外交青書では,昨年の日本外交を振り返り,G7議長国として主催した伊勢志摩サミットや広島外相会合など,我が国の外交が世界をリードした昨年の動きについて記述をしています。

北朝鮮関連

【記者】北朝鮮では,今日,朝鮮人民軍の創設記念日ですが,これに合わせて挑発に踏み切るのではないかという見方もありますけれども,現状,政府としての分析と対応についてお聞かせください。

【岸田外務大臣】北朝鮮の動向については,重大な関心を持って平素から情報収集・分析に努めていますが,具体的な情報については事柄の性質上控えなければなりません。我が国としては,米国,韓国等の関係国と緊密に連携しながら対応していかなければなりません。
 その中で28日には,ニューヨークで北朝鮮の非核化に関する安保理閣僚級会合,これが開催される予定になっています。国会の事情が許せば私(大臣)自身,出席をし,米国,韓国に加え北朝鮮に大きな影響力を持つ中国,ロシアとも協力しながら,北朝鮮の挑発行動の自制,さらには累次の安保理決議の遵守,しっかりと働きかけを行っていきたい,このように思います。また併せて,国民の生命,財産を守るべく高度な警戒監視体制を維持し,いかなる事態にも対応できるよう万全の態勢を取ってまいります。

【記者】大臣からお話がありましたニューヨークでの会合,これに大臣ご自身が出席される意味というのは,どういうところにあるとお考えなのかということと,そこでの会合で,大臣として最も力を入れて訴えたいというのはどういったところにあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】まず今回は,北朝鮮に関する安保理の閣僚級協議ですので,各国とも閣僚級が出席することが想定されます。具体的な出席者については,まだ確認中でありますが,北朝鮮に関連する関係国の閣僚が集まるわけですので,日本としましても,できれば閣僚が出席し,しっかり意思疎通,情報交換を行うことが重要であると考えています。
 内容については会議の前に予断することはできませんが,北朝鮮に関する情報交換もちろんでありますが,先日のG7外相会合においても,あるいは日米の首脳電話会談においても,中国の役割の重要性については指摘をされています。こうした,いかに北朝鮮側に働きかけていくか,こういった点についても議論されるのではないかと想像をしております。いずれにせよ,こうした北朝鮮問題について,今の緊迫した情勢を踏まえて,率直な意見交換を行いたい,このように考えています。

日米韓六者会合首席代表者会合

【記者】加えまして,今日は日米韓高官協議がありますけれども,ここでの成果,期待する点をですね,改めてお願いします。

【岸田外務大臣】25日,本日から東京において,日米韓の六者会合首席代表による会合を開催いたします。我が国の金杉アジア大洋州局長が議長を務めることになります。最近の北朝鮮情勢について,しっかりと意見交換を行うと同時に,日米韓の連携のあり方について議論をし,そして政策のすり合わせを行いたいと思います。
 また,本日から28日まで,中国の武大偉(ぶ・だいい)六者会合首席代表が訪日をいたします。アジア大洋州局長と協議をいたします。中国ともしっかり意見交換を行いたい,このように思います。

シリアのジャンダール火力発電所支援

【記者】シリアの件で一件お願いします。日本のUNDPを通じて支援している火力発電所のことなんですけれども,ここから軍事施設に電力供給をしている可能性があるということが取材で分かったんですけれども,これに対する受け止めとですね,大臣,15年にこの件で,支援がどのように使われているか確認していくことが大事なことだとおっしゃっていますけれども,実際,確認されたのかと,今後,確認していく考えがおありになるのか,お願いします。

【岸田外務大臣】ご指摘の件,シリアのジャンダール火力発電所に対する支援であると承知をしますが,この支援については,シリア危機の影響下で厳しい生活環境に置かれているシリアの人々の生活に必要な電力を供給するものです。今世紀最悪と言われているシリアの人道状況に対して,緊急,人道的性格を有するものであると認識をしています。
 そして使い道について確認することは重要だという点については,当該発電所で発電される電力,これは国内配電網を通じて,医療,教育施設等のシリア国内の人々に対して広く配電されているということを承知をしております。電力供給先を特定しているものではないということは,確認をしているところであります。

平成29年版外交青書

【記者】外交青書,今日,閣議で配布されましたけれども,今回,北朝鮮の核・ミサイルの能力の状況が,新たな段階の脅威というように書かれていますけれども,これ改めてなぜなのか,大臣から直接…。

【岸田外務大臣】北朝鮮の核,弾道ミサイル開発,新たな段階の脅威であるということを申し上げていますが,それは昨年来の北朝鮮の挑発行動,2回の核実験,そして20数発の弾道ミサイルの発射,そして今年に入っても弾道ミサイルの発射を繰り返しています。そしてこうした数だけではなくして,内容においても,移動式の発射台SLBMの使用,さらには同時に複数のミサイルを発射させる,また北朝鮮自身,核弾頭の小型化に成功したということを宣伝しているという状況にあります。こうしたことを踏まえて,新しい段階の脅威に至っているという表現で我が国の認識を明らかにしているということであります。

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