記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成29年4月10日(月曜日)10時00分 於:イタリア・ルッカ)

冒頭発言

【岸田外務大臣】先ほど9時25分から30分間,米国のティラソン国務長官と会談を行いました。ティラソン長官には,まず私の方から,日本は化学兵器の拡散と使用を抑止するために責任を果たそうとする米国の決意を支持する旨を伝え,引き続き日米で連携していくことを確認しました。
 また,ティラソン長官からは,北朝鮮問題について,先日の米中首脳会談についての説明があり,中国の役割が重要であると一致をしました。改めて日米同盟の強化にともに取り組んでいくことを確認致しました。
 さらには,ティラソン長官の方から,来週のペンス副大統領の訪日について,日米同盟強化の良い機会になろうという発言があり,私からも,日米経済対話を有意義なものとするために,私も積極的に貢献したいと申し上げました。
 本日夕刻から,G7外相会合が始まります。国際社会が直面する喫緊の課題,あるいは緊迫する地域情勢について,忌憚のない意見交換を行い,国際秩序の牽引役としてのG7の連携をしっかりと確認したいと考えています。

質疑応答

【記者】先ほど行われた日米の会談について,米軍のシリアのアサド政権への軍事行動について,日本側から国際法上の根拠等について説明を求める場面はあったのでしょうか。また,それについてアメリカの説明はあったのでしょうか。

【岸田外務大臣】シリアにつきましては,ティラソン国務長官から,米国は,女性や子供を含む無実のシリア市民が多く死傷していることを受け,化学兵器が二度と使用されないようにするために行ったものであるとの発言がありました。
 それに対し,私からは,先ほど申し上げたとおり,日本は化学兵器の拡散と使用を抑止するために責任を果たそうとする米国の決意を支持する旨を伝え,引き続き日米で連携していくことを確認いたしました。これに対し,ティラソン長官からは,日本の明確な支持の表明を感謝するという趣旨の発言がありました。ティラソン長官のとの間で,やりとりを行いましたが,今,申し上げた以上のことについては詳細は控えたいと思います。

【記者】北朝鮮問題をめぐって,日米で中国の役割の重要性について一致したとのことですが,具体的に中国について,どのような役割を期待するといった議論があったのでしょうか。

【岸田外務大臣】北朝鮮問題への対処については中国の役割が極めて重要であると一致をしました。そして,日米両国は中国に対し更に大きな役割を果たすよう働きかけていくことで一致を致しました。具体的な中身については控えたいと思います。併せて,ティラソン長官との間では日米韓の連携も重要であると確認しました。

【記者】午後からはG7の本体会合が始まりますが,大臣自身として,シリア問題あるいは北朝鮮問題それぞれについて各国にどのような訴えをしていきたいと思われますか。

【岸田外務大臣】本日始まるG7の外相会合ですが,シリア問題,北朝鮮問題等,喫緊の課題,国際社会が直面する喫緊の課題について,忌憚のない意見交換を行いたいと思います。こうした難しい問題を前にして,国際秩序の牽引役としてのG7の連携,結束が重要だと思います。それを確認して,明確なメッセージを発信するという機会にしたいと思います。
 シリア問題については,大変緊迫した状況の中にあるわけですが,化学兵器の被害が二度と起きないよう連携を強化することも大事ですし,併せて私の方からは停戦の合意を実現すること,そしてその後に政治プロセスを進展させるということ,さらには人道状況の改善が大変重要であることを訴えたいと思います。その上でしっかりとした議論を行いたいと思います。
 そして,北朝鮮問題については,度重なる核実験や弾道ミサイルの発射,こうした挑発行動,これは新たな段階の脅威であると説明し,それとともに国際社会の安全保障に対する明らかな挑戦であり,断固容認できないということ,G7としての緊密に連携が重要であるということを訴えていきたいと思います。併せて拉致問題についても,理解と支持を得るべく,今回も引き続き,しっかりと説明をしていきたいと思います。G7外相会合においては,前議長であり,最古参の外相として,是非,今申し上げた議論をしっかりリードし,貢献していきたいと思っております。

【記者】北朝鮮情勢に関して,アメリカの原子力空母の動きなんですが,カールビンソン,朝鮮半島に向かったということで北朝鮮の挑発行為に備えるということのようですが,朝鮮半島の情勢,かなり緊迫度が上がっているのかなと思うのですけれども,こうしたアメリカの軍事的行動について,今回の会談で説明があったのかというのと,今回の空母の動きというのは大臣自身どのように受け止められているでしょうか。

【岸田外務大臣】日米同盟の強化に向けては,今日も限られた時間ですが,いろいろやりとりを行いました。ただ詳細については控えたいと思います。空母カールビンソンの動き,今米韓の合同演習の動きもあり,いろいろな動きがあるとは承知しております。引き続き注視はしていきたい,このように思っています。

【記者】関連して,北朝鮮なんですけれども,ティラソン長官はABCのインタビューでシリアへの攻撃引き合いに出しまして,国際規律に反するであるとか,他国の脅威になる場合というのは,対抗措置も辞さないということを明言されているんですけれども,こういったことは今日の会談では説明があったのか,またその受け止めについてお願いします。

【岸田外務大臣】シリアの問題について,説明はティラソン長官からありました。しかし,この後停戦がしっかりと履行されるということ,政治プロセスが重要であるということ,こういったことについて意見交換を行いました。併せて私の方からは,人道状況の改善,これは何よりも大事であると言うことも申し上げました。こういったやりとりを行った次第です。それ以上詳細については控えます。

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