記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成29年3月28日(火曜日)8時35分 於:官邸エントランスホール)

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冒頭発言

核兵器禁止条約交渉会議について

【岸田外務大臣】1月の外交演説で述べたとおり,私(大臣)は核兵器禁止条約交渉については,日本として主張すべきは主張していくことが重要であると述べてきたところです。今回ニューヨーク時間,27日に国連で行われました核兵器禁止条約交渉会議のハイレベルセグメントに,我が国からは高見澤軍縮代表部大使,及び相川軍縮不拡散・科学部長が出席し,その主張を述べたところであります。
 この主張の中身につきましては従来から申し上げておりますように,我が国の基本的な立場,核兵器の非人道性に対する正確な認識と,厳しい安全保障に対する冷静な認識,この二つの認識の下に,核兵器国,非核兵器国の協力を得,現実的・実践的な取組を積み重ねています。こうした基本的な立場に基づいて核兵器,軍縮・不拡散における5つの原則,すなわち核兵器の透明性の確保,さらには核軍縮交渉のマルチ化,さらには北朝鮮等の地域の核拡散問題への取組,さらには核の非人道性,そして被爆地の訪問,こうした5つの原則を述べたものであります。
 今回,会議が始まりましたが,昨日開始された会議には,現実に核兵器国の出席は1国もありませんでした。また我が国として,我が国の今申し上げたような主張,こういったものを満たすものではない,こういったことが明らかとなりました。こういったことからこうした会議のありようは,「核兵器のない世界」に対して現実に資さないのみならず,核兵器国と非核兵器国の対立を一層深めるという意味で,逆効果にもなりかねない,こういった考えにも至った次第であります。
 したがって日本政府としましては,諸般の事情,総合的に十分に検討した上,昨日のハイレベルセグメントに出席をし,日本の考えを述べた上で,今後この交渉へは参加しないということにいたしました。我が国としましては,引き続き核兵器国と非核兵器国,双方が参加する枠組み,NPTですとか,CTBTですとか,あるいはFMCT,あるいはG7,こうした核兵器国と非核兵器国の協力を得ながら進めていく議論に,しっかりと貢献することによって,「核兵器のない世界」実現のために努力を続けていきたい,このように考えます。

核兵器禁止条約交渉会議について

【記者】核兵器禁止条約の会議ですけれども,そこでは冒頭,被爆者の方がですね,核兵器による悲劇を繰り返すべきではないということで,条約制定についてのですね,思いを述べられました。一方で政府の立場というのは,交渉には参加しないという,今大臣がおっしゃられたようなことだと思うんですが,日本として発するメッセージはですね,全く違うものが出ているんじゃないかと,国際社会にとって分かりにくいものになるんじゃないかと思うんですけれども。

【岸田外務大臣】全くそうは考えておりません。日本政府の立場,考え方は,従来からもこれからも一貫しております。たった一つの立場,そして原則をしっかりと訴えております。その考え方に基づいて,現実に政府として対応したということであります。このメッセージは全くぶれておりませんし,これからも変わらないと考えています。そのために具体的な行動が大事だと思います。現実的な,実践的な取組を,是非,積み重ねていきたい,このように思います。

【記者】3点,関連でお願いします。まず1点目に,被爆地からはですね,今回の交渉を核兵器廃絶に向けた好機と捉えて交渉に是非参加してほしい,リードしてほしいという声が上がっていましたが,結果的にそのことに背く結果となっています。それについてどう思われるか。また,大臣も先ほど挙げられた現実的な手段というのは,今まで目に見える成果を上げていない中で,核兵器を持たない国からは,成果がほしい国からはですね,なかなか理解を得にくい内容になっているとも思うんですが,その距離ができた中で,どう橋渡しを今後されていくのか。最後に,同じ日にアメリカが記者会見しましたけれども,これについての受け止めと,日本の結果に対して何か影響があったかどうか,教えてください。

【岸田外務大臣】1点目の被爆者の方々の思い,これは大変貴重なものであり,重たいものがあると思います。その声を受けて,政府として現実的な結果を出すためにはどうあるべきなのか,これを真剣に,十分に検討した結果,政府の対応を決定したということであります。「核兵器のない世界」を目指す,こうした大きな目標に関しましては,政府も,被爆者の方々も共有していると思います。この目的に向けて政府の立場から何をするべきなのか,これをしっかり考え,これからも行動していかなければならない,このように思っています。
 そして我が国の今後の対応ですが,まさに核兵器国と非核兵器国がともに参加する枠組み,これをしっかりと,これからも辛抱強く努力することこそ,現実的であり,「核兵器のない世界」に向けての最短の道であると信じています。だからこそ我が国は,この先頭に立って努力をしています。CTBTにおいても,我が国は今現在,調整国,共同議長国を務めて,この議論をリードしています。FMCTにおいても,専門家パネル25か国の1か国に先日選ばれました。是非,しっかり議論を行いたいと思います。G7においても,昨年G7の議長国として,広島におけるG7外相会合において「広島宣言」をまとめました。NPDIについても,創始メンバーとしてオーストラリアとともに,こういった議論をリードしています。こうした様々な枠組み,我が国は今先頭を切って,議論をリードしていると自負をしておりますが,この取組,核兵器国と非核兵器国が協力してこそ,この枠組みは成り立つわけです。この核兵器国の協力なくして走ることが,こういった枠組みの議論に資するものかどうか,こういったことも考えながら我が国は努力を続けていきたい,このように思っています。
 あと,アメリカの発表があったということ,承知はしておりますが,我が国の対応は,我が国が決定いたしました。唯一の戦争被爆国としてあるべき姿を検討した上で,我が国の対応を考えました。アメリカについても是非,核兵器国として「核兵器のない世界」を目指すという目標に向けて責任ある対応をこれからも求め,ともに「核兵器のない世界」に向けて努力を続けていきたい,このように考えています。

【記者】今回の交渉の枠組みにも残って,粘り強く説得するという選択肢はなかったのでしょうか。

【岸田外務大臣】核兵器国は参加していません。こうした核兵器国が参加していない議論を,非核兵器国だけで進めることは,核兵器国と非核兵器国の亀裂,ますます決定的なものにしてしまうのではないか,そういったことを考えますときに,是非,両者への協力をしっかりと得た上で,現実的・実践的な取組を行わなければならない,このように考えます。

【記者】今回の判断にあたって,北朝鮮の核・ミサイル問題というのは影響したのでしょうか。

【岸田外務大臣】先ほど申し上げました,我が国の5原則の中には,北朝鮮を含む地域の核拡散問題についてもしっかり対応する,こういった原則が入っています。そして,そもそも基本的な立場の中に,厳しい安全保障に対する冷静な認識,これも踏まえた上で判断する,こういったことであります。こうした原則に基づいて様々な諸点を総合的に判断した,こういった次第であります。

【記者】去年の10月の時点で,大臣は交渉に積極的に参加したいというふうにおっしゃていたかと思うんですけども…。

【岸田外務大臣】交渉に参加したがどうか,言葉は分かりませんが,会議には参加いたしました。参加をして主張をいたしました。ただ今後の交渉については,参加はしないということであります。

【記者】核兵器国が参加しないということは,当時から見通しとしては分かっていたかと思うのですが,特に状況が変わったと…。

【岸田外務大臣】最後の最後まで,様々な情報がありました。会議が始まった時点で,それが明らかになった,そして我が国の主張をしっかり申し述べた,そして我が国の主張がこの会議の中で受け入れられることは難しい,こういった判断,これは会議がスタートした時点でしっかりと確認をし,そして今後の対応を考えた,こういった次第であります。

総務副大臣の台湾訪問

【記者】台湾の総務副大臣の訪問について,中国外交部が厳重に抗議を示すというふうに表明しましたが,こちら外務省の招待があったそうですが,そうなんでしょうか。

【岸田外務大臣】ご指摘の副大臣の訪問については,日本の地方担当の副大臣が,日本の地方の魅力の発信のために,台湾を訪問したということであります。このことは1972年明らかにした我が国の台湾に対する基本的な方針,すなわち非政府間の実務的な関係に反するものではないと考えています。
 我が国としましては,日本と中国との関係,これは大変重要に考えており,今年,日中国交正常化45周年,来年,日中平和友好条約40周年,こうした年を捉えて,是非,戦略的互恵関係の下,日中関係を前進させていきたい,このように思っております。

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