記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成28年5月5日(木曜日)21時30分 於:ベトナム社会主義共和国・ハノイ)

冒頭発言

【岸田外務大臣】本日午後は,フック首相及びミン副首相兼外相とお会いし,率直な意見交換を行いました。G7伊勢志摩サミット・アウトリーチ会合にご出席いただく予定のフック首相には,議論への積極的な貢献を期待する旨お伝えしました。ミン副首相とは,政治・安全保障分野を中心に二国間や国際場裏での協力について充実した意見交換を行いました。
 外務大臣に就任して3年5か月を経て,今回,ASEAN10か国全てを訪問するとの一つの節目を迎えることができました。外務大臣として,実際の行動を通じて日本のASEAN重視の姿勢を示すことができたと考えています。
 今回の私のメコン諸国歴訪は,新政権が誕生したばかりの各国との間で,日本との友好協力関係を再確認することが最大の目的でした。メコン諸国との関係強化こそが私の訪問の目的であることを改めて申し上げておきたいと思います。
 バンコクでのASEANスピーチにあるとおり,私はASEANの「多様性」を活かしつつ,「連結性」を強化して,ASEANの大いなる潜在力を開花させる上での欠かせないパートナーであるという点を各国に伝えました。
 各国からは日本の強みを生かした「日メコン連結性イニシアティブ」に対して賛同を得ることができました。このイニシアティブに基づき,「生きた連結性」を具体化するために3年間で7500億円の対メコン支援を進めてまいります。
 今回の訪問は,まだ1日残っておりますが,メコン諸国との関係強化という目的は達成できたと考えています。日本としては,引き続きあらゆる分野において,メコン諸国そしてASEANとの強固な協力関係を発展させていく考えです。

質疑応答

【記者】ベトナムの会談なんですけれども,南シナ海問題が議題に上ったかどうかということと,あと,ベトナムはこれまで訪問した東南アジア諸国と違いまして直接の当事者国でもあります。そこら辺の危機感ですとか,切迫感というものはどのように感じられましたでしょうか。

【岸田外務大臣】南シナ海問題については,一方的な現状変更の試みが国際社会共通の懸念であり,こうした問題についてASEANが一体となってメッセージを発出することが重要である,こうした認識を共有いたしました。しかし,いずれにしましても,今回の私の訪問の趣旨は,新指導部が発足した国との関係を再確認することであり,日本がASEANにとって欠かせないパートナーであるということを確認することであります。

【記者】別件なんですけれども,明日北朝鮮が36年ぶりの党大会を開くわけですが,北朝鮮は最近で言うと挑発的な行動を繰り返していますが,明日党大会が行われるということについてはどう見ていますか。

【岸田外務大臣】明日,北朝鮮が党大会を予定しております。北朝鮮の問題につきましては,北朝鮮が先般の安保理決議採択後も挑発行為を繰り返している,こうしたことは深刻であり,断じて容認はできないと考えています。引き続き,関係国と連携しながら,北朝鮮に挑発行動を自制し,累次の安保理決議等を誠実に実施していく,こうしたことを働きかけていかなければならないと考えています。併せて,あらゆる事態に対応できるよう,情報収集・警戒監視に万全を期していきたいと考えております。第7回党大会,明日に予定されているこの党大会は,金正恩体制下において初めて開催されるものです。北朝鮮が体制固めを進めていく中において,同大会がどのように位置づけられるのか,政策や幹部人事でいかなる決定がなされるのかなど,こういった点については注目しております。

【記者】北京から始まった歴訪は,今回,ベトナムで最後ですけれども,毎回取り上げていた南シナ海問題に関して,何らかの一連の会談の中で成果があったのかどうかということについてお伺いできますでしょうか。

【岸田外務大臣】南シナ海問題についても率直な意見交換を行いました。いずれにせよ,ASEAN諸国歴訪の趣旨は,新指導部が発足したASEAN諸国との間において関係を再確認することであります。日本がASEANにとって欠かせないパートナーであるということを確認する意味で有意義な訪問であったと思っています。

【記者】今の質問に関連してなのですが,昨日,中国の副報道局長が大臣のASEAN歴訪の中での南シナ海問題に懸念を各国で示されたことについて,日本は域外国にもかかわらず執拗にこの問題で存在を示そうとしている,そういった批判というか見方で説明をしたのですが,これについてどういうふうに・・・。

【岸田外務大臣】今回のASEAN諸国訪問の最大の趣旨・目的は,新指導部が発足したASEANの国々との関係を確認するということでありました。その中で,南シナ海を巡る問題が議論に上ってきました。各国にとってこの問題が大きな関心事であるということの現れだと思っています。しかしながら,先ほど申し上げたように,今回の歴訪の最大の目的は,日本がASEANの大いなる潜在力を開花させる上で,欠かせないパートナーであるというメッセージを伝えることであるということです。各国の賛同を得た「日メコン連結性イニシアティブ」に基づいて,「生きた連結性」を具体化するために,しっかりと取り組んでいきたいと考えています。こうした点が今回の歴訪の最大の成果であると考えています。

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