記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成28年4月5日(火曜日)8時45分 於:官邸エントランスホール)
武大偉・中国外交部朝鮮半島特別代表の訪日
【テレビ東京 山本記者】昨日,中国の武大偉(ぶ・だいい)特別代表が来日しまして,今日,石兼アジア大洋州局長と会談をします。第2次安倍政権発足以来で初めての公式来日かと思いますが,今回来日に至った経緯とですね,北朝鮮問題で鍵を握る中国に対してですね,日本からどのようなメッセージを伝えていくか,ということを教えてください。
【岸田外務大臣】4日から8日にかけて,武大偉中国外交部朝鮮半島特別代表が来日をされ,ご指摘のように本日,石兼アジア大洋州局長と協議を行います。最近の北朝鮮情勢,核実験,弾道ミサイルの発射を含む情勢について情報交換,意見交換を行い,日中両国の間で連携を確認する,こういった会議になることを期待しています。訪日の目的については,中国側も同様の内容を発表していると承知をしております。
【テレビ東京 山本記者】今回,大臣自身は特別代表と会談されるご予定というのは…。
【岸田外務大臣】武大偉特別代表訪日中に,石兼アジア大洋州局長を始め,外務省の然るべき人間がお会いすることになるとは思いますが,私(大臣)自身は,国会日程もあり,何もお会いする日程は決まっておりません。
【テレビ朝日 千々岩記者】今回の武大偉さんの訪日というのは,北朝鮮問題に特化した話なのか,それとも大臣の訪中を含めた二国間の話もされるのか,その辺りいかがですか。
【岸田外務大臣】中国の外交部も,今回の武大偉特別代表の訪日は,北朝鮮問題についての協議であるということを,明らかにしていると承知をしています。我々もそのように考えています。
岸田大臣の訪中
【朝日新聞 安倍記者】大臣のこの春の訪中の,今,調整,検討状況というのはどうなっているのでしょうか。
【岸田外務大臣】以前から申し上げているように,私(大臣)自身,春頃,訪中をしたいと考えております。それは変わってはおりません。そして調整を続けております。ただ今現在,具体的な日程は決まっておりません。
武大偉・中国外交部朝鮮半島特別代表の訪日
【毎日新聞 小田中記者】中国から,今回の武大偉代表の訪日については,六者協議の再開に向けた協議であるという報道官の発表があると思うのですけれども,六者の再開という面については,日本政府の立場としてはどのようなものか,改めてお伺いできますでしょうか。
【岸田外務大臣】今回の協議で具体的にどんなやり取りがあるのか,協議の前に予断をすることは控えますが,六者協議につきましては,有効な枠組みだとは承知しますが,ただ,今現状を考えますときに,まずは北朝鮮側から非核化に向けて,前向きな,そして建設的な言動を示すことが,先ではないか,重要ではないかと考えます。北朝鮮側の非核化に向けた姿勢が示されること,これがまず大事ではないかと考えます。
G7外相会合(「核兵器なき世界」と抑止)
【共同通信 河内記者】大臣はG7外相会合で,「核兵器なき世界」の実現を目指して,「広島宣言」を発表されるとのことですが,一方で北朝鮮の,今言った核開発など,日本周辺の安保環境は厳しさを増していて,米国の核の傘の重要性というのも高まっていると思います。日本が掲げる非核の理想と,安保上の現実の溝を日本政府として,どう埋めていくお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】従来から申し上げています日本の考え方は,核兵器の非人道性に対する正確な認識と,そして厳しい安全保障環境に対する冷静な認識と,この二つをしっかり踏まえた上で,現実的かつ実践的な取組を進めていく,そのことが核兵器国と非核兵器国の協力につながって,具体的な結果につながっていくということであります。こういった取組こそ,核兵器のない世界に向けて,結果として最短の道であるということを従来から申し上げています。
日本の考え方は今申し上げたとおりであります。その考え方の中にあって,今回,G7は核兵器国と非核兵器国,双方の主要国が含まれる,貴重な枠組みであると考えています。この枠組みで合意をして,統一のメッセージを国際社会に発すること,これが今回のG7外相会談におけるメッセージ発出の意味であると考えています。よって,この厳しい安全保障環境と,我が国が核兵器のない世界を目指そうとしている,実践的,そして現実的な取組,何ら矛盾することはないと思います。こうした北朝鮮の,国際社会の核不拡散体制に対する挑戦と言ってもいいような挑発行動を前にして,我々は今一度,しっかりと従来の考え方を確認し,国際社会に堂々と取組を訴えかけていかなければならないと考えます。