記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成28年3月15日(火曜日)8時45分 於:官邸エントランスホール)
今後の日中関係
【テレビ朝日 尾島記者】昨夜,中国の王毅(おう・き)外相と電話会談が行われました。北朝鮮の核実験以降,中国側がずっと電話会談に応じてきませんでしたが,久しぶりの会談を大臣は,改めてどう受け止めていらっしゃいますか。
【岸田外務大臣】昨日の電話会談,大変建設的な電話会談であったと思っています。北朝鮮問題,あるいは日中関係の進め方について意見交換を行いました。そして電話会談ですが,王毅外相とはこれまで6度ほど会談していますが,電話会談そのものが初めてであります。ですので,こうした意見交換は大変重要なものであると思います。日中関係の改善の基調を確認する意味で意義があったと思っています。
【テレビ朝日 尾島記者】大臣のこの春の訪中についても電話会談で話し合われたということなのですが,スケジュールについてはどのようなやり取りが行われたのでしょうか。
【岸田外務大臣】意見交換を行いました。引き続き調整するということです。
【TBS 深井記者】大臣の春の訪中というのは,大臣,変わらず春に訪中したいという意向は今もお持ちでしょうか。
【岸田外務大臣】従来から私(大臣)は,春頃までに訪中したいということを申し上げてきました。日中の間で対話を行うことは重要であると認識をしています。
【香港フェニックステレビ 李記者】大臣の訪中についてお聞きしたいのですが,大臣は今,日中の間でどのような課題を,これから中国と更に議論をしたい,そしてもし訪中が実現できれば,どのような意義があるとお考えですか。
【岸田外務大臣】日中の間においてはですね,ともに協力すべきことも含めて,たくさん議論することはあると思っています。日中関係は大切な隣国関係ですし,そして日本と中国は国際社会の平和,そして繁栄にも大きな責任を持っていると考えます。
こうした日中の外交責任者が,会って話すということは大変重要だと思いますし,その課題は幅広いものに及ぶのではないかと考えます。様々な機会をとらえて,こうした対話は続けていくべきであると考えます。
中国に関する世論調査
【朝日新聞 安倍記者】中国に関連してなんですが,内閣府が外交に関する世論調査をやりまして,中国に親しみを感じないという人が,8割を超えて過去最高になりました。この冷え込んだ世論について,どのように分析されていますか。
【岸田外務大臣】世論調査については,参考にさせていただき,またよくその内容についても検討してみたいとは思いますが,いずれにせよ外交に責任を持つ者としては,先方の外交部を始め,外交関係者としっかり意思疎通を図り,具体的な協力案件を進めるなど,二国間関係を進めていくことが重要であると考えます。そうした一つ一つの実績が,国民の見方や受け止め方にも影響が出てくるのではないかと考えます。
北朝鮮の国連安保理決議後の現状
【テレビ東京 鵜飼記者】北朝鮮をめぐってですね,挑発行動が続いていまして,金第一書記がまたミサイルや核実験をするようなことを示唆していますけれども,安保理決議が出て以降の,安保理決議であったり,国際社会の北朝鮮への圧力の有効性というのを今どのようにご評価されていますか。
【岸田外務大臣】決議は採択されました。しかし,これから履行することが大切です。実効性を確保することが重要だと思っています。その上で,北朝鮮の反応もしっかり見ながら今後について考えていくということだと思います。まずは決議の履行,しっかり確認をしたいと思います。
中国の尖閣諸島海域に対する司法管轄権に関する主張
【毎日新聞 小田中記者】尖閣諸島をめぐる司法管轄権問題についてお伺いします。全人代で中国最高裁の院長が14年9月の漁船との衝突事故に関して,尖閣諸島について司法管轄権を示したと主張されていますが,一方で,一部報道では公海上での出来事であると,管轄権問題を出すのは的外れであるという指摘もありますが,改めて事実関係としてはどのように受け止めておられますか。
【岸田外務大臣】ご指摘の事項については,一昨年9月,尖閣諸島の北北西約40海里で発生したパナマ船籍の貨物船と,中国漁船との衝突事故を指しているのではないかと思います。そして司法管轄権の意味については,必ずしもどういう意味なのか明らかではありませんが,いずれにせよご指摘の事項についてはですね,発生場所,尖閣諸島の領域外でもあり,そして接続水域でもありません。沿岸国の権利とは関係ない場所での事故だと考えます。国際法上,尖閣諸島とは関係ないものであると考えています。
尖閣諸島は国際法上も歴史的にも,我が国固有の領土であり,我が国は有効に支配をしています。中国側による尖閣諸島に関する独自の主張は極めて遺憾であると考えています。
【毎日新聞 小田中記者】抗議の方なんですけれども,それはいつ頃,どのクラスでされたのでしょうか。
【岸田外務大臣】既に抗議は行っております。3月14日に行っております。