記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年2月12日(金曜日)8時50分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

岸田外務大臣のカナダ訪問

【岸田外務大臣】本日から14日にかけて,カナダを訪問いたします。20年ぶりの日本の外務大臣によるカナダへの二国間訪問であり,昨年11月に発足しましたトルドー政権との間において,2か月後にせまったG7外相会合,あるいは伊勢志摩サミットへ向けて協力関係をしっかり確認してきたいと考えます。
 ディオン外相とは,昨年11月に外相が就任されてから後,一度,国際会議の場で,外相会談を行ってはおりますが,今回の訪問において,二国間関係に加え,北朝鮮への対応を含む地域情勢,そしてグローバルな課題についても,じっくりと議論して,個人的な信頼関係を構築していきたいと考えます。
 特に,本年は,G7の議長国として,国際社会の平和と繁栄をリードすべき年です。そのためにも,基本的価値を共有しアジア太平洋地域の重要なパートナーであるカナダとの関係を強化していきたいと考えております。

北朝鮮関連

【日本テレビ 鳥羽記者】北朝鮮についてなんですが,政府,一昨日北朝鮮への独自制裁を発表されました。この実効性について大臣はどのようにお考えですか。

【岸田外務大臣】北朝鮮に対しては,核,ミサイルを始めとする挑発行動の自粛を再三求めてきました。一方,拉致問題についてもいまだ解決に至っておりません。そういった中で1月6日の核実験に続いて,ミサイル発射が強行されたことは,断じて容認できないと考えます。そういったことから我が国独自の措置を実施することを決定したわけですが,まずはこれがですね,国連安保理における強い決議の採決につながることを期待いたします。
 そして我が国の措置と合わせて,韓国も独自の措置を発表しました。また,米国も今議会において独自の措置を議論しています。こうした各国の取り組みが合わさることによって,北朝鮮に対して,強い,しっかりとしたメッセージが伝わることを期待したいと考えています。

【日本テレビ 鳥羽記者】今大臣がおっしゃったように,今回日米韓の連携が非常にうまく働いたと思います。この日米韓の首脳が来月末にワシントンで首脳会談を行うという報道がありますが,この調整状況と,このタイミングで首脳が会談をするという意義をお願いします。

【岸田外務大臣】来月会うのではないかという報道,おそらく,核セキュリティ・サミットを念頭におっしゃってるのではないかと思いますが,核セキュリティ・サミットにおける日程については,今まだ具体的にはまだ何も決まっておりません。しかしながら,今日までも日米韓の首脳レベルの連携を大事にしながら取り組んできました。これからもこの連携は大事にしなければならないと考えます。そういった姿勢で具体的な日程についても考えていきたいと思います。

【毎日新聞 小田中記者】北朝鮮に対する独自制裁の関連で,改めてお伺いするのですけれども,一昨年ですね,ストックホルム合意に基づいて,日本は独自制裁の一部を解除しているわけですけれども,今回菅長官の会見の中でも,ストックホルム合意について日本側から破棄しないということを明言されましたが,破棄しないということと制裁を今回,再度,日本として独自制裁をですね,課す,強化するということ,整理というか整合性をどのように考えていらっしゃるのでしょうか。

【岸田外務大臣】北朝鮮の今日までの様々な動きを見る中で,度重なる挑発行動,そして拉致問題が解決をしていない,そういったことは容認できないことは,当然のことであります。そして今回,我が国独自の措置を決めた次第です。ただ,従来から拉致問題を始め北朝鮮との関係においては,対話と圧力,行動対行動,こうした原則を大事にしていくんだということは申し上げてきました。その対話と圧力の,この対話の部分,ストックホルム合意に基づいての対話の窓口を我々から閉ざすことはしない,これはその通りであります。拉致問題と全体との関係については,今申し上げたような整理をしています。是非,拉致問題については全ての拉致被害者の帰国を目指して,引き続き努力をしていきたいと考えます。

【毎日新聞 小田中記者】その対話継続の部分なんですけれども,なかなか公式協議としては日朝間で協議が公式なものとしては一昨年からストップしているわけですけれども,それについて日本側から何かまた動きをですね,出していきたいという,そういうことを検討・・・。

【岸田外務大臣】今申し上げているのは,我々の方から対話の窓口を閉ざすことはしないということであります。是非,北朝鮮側から建設的な態度を示してもらいたいと考えています。

【毎日新聞 小田中記者】ボールは向こう側にあるということですか。

【岸田外務大臣】とにかく,対話については我々から閉ざすことはいたしません。

【テレビ朝日 千々岩記者】当初ですね,独自の制裁というのは国連安保理の制裁決議に合わせて,もしくはその後という見方が強かったのですが,結果として韓国,アメリカを含めてですね,国連の決議よりも前ということになりました。この背景についてお伺いします。

【岸田外務大臣】今おっしゃっているのは,今までの国連決議のありようを念頭におっしゃったんだと思いますが,そもそもこれ前後関係,別に決まっているものではありません。何よりも核実験に続いてのミサイル発射という挑発行動に対して国際社会が迅速に一致して,明確な強いメッセージを北朝鮮に発することが重要だと考えます。そういったことからそれぞれ独自措置も考え,そして引き続きではありますが,国連安保理での強い決議の速やかな,迅速な採択に向けても努力をする,こういったことを国連安保理の緊急会合においてもプレス・ステートメントとして確認をした,こういったことだと思っています。いずれにせよ,そうした具体的な動きが合わさることによって,北朝鮮に対して明確なメッセージを伝えることが重要であると考えます。

【時事通信 石垣記者】独自制裁の強化を決めたことを受けて,北朝鮮に対してそういった方針というのは外交ルートなどを伝えたのか,それとも伝える予定はあるのか。

【岸田外務大臣】独自措置の内容ですか。

【時事通信 石垣記者】決めたことについて・・・。

【岸田外務大臣】それは,今、事務的にどうしたか確認してはいませんが,当然伝えているはずです。

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