記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成27年3月20日(金曜日)8時30分 於:官邸エントランスホール)
チュニジアにおける銃撃テロ事件
【フジテレビ 藤田記者】今回,チュニジアの銃撃事件で過激派ISが犯行声明を出していますが,こうした国際的なテロの広がりということに外務省としてどういった取り組み,対応をしていく予定でしょうか。
【岸田外務大臣】まず,チュニジアの大統領は犯行主体について身元を特定し,イスラム過激派であるとの見方を示しており,アンサール・シャリアに言及していること,これは承知しております。また,ISILが今般犯行声明を発出したということも承知をしています。
こうした様々な情報をふまえて現在政府としても事件の背景につき情報収集を行っているところであり,こうした観点から警察はTRT-2を派遣したところです。いずれにせよ,犯行主体が誰であれ卑劣なテロ行為に強い憤りを持つと共に断固非難を致します。
【フジテレビ 藤田記者】今回,邦人3人が亡くなるということになったんですけれども,前回のシリアでの邦人殺害事件の教訓というのは今回の事件に活かされる部分はあったのでしょうか。
【岸田外務大臣】シリアの事件を受けて,我が国として邦人の安全について今一度再点検をすると共に,全世界の在留邦人に対しまして注意喚起を行いました。加えて,外務省において検討チームを行い,さらに対応として加えるべきことについて検討を行うと同時に出来ることからどんどん実行に移しています。
今回チュニジアのこの事件を受けて,在チュニジア大使館より速やかに在留邦人に対して安否確認を行うと共に一斉メールを発信し,注意喚起を行いました。スポット情報を発出致しましたし,危険情報の引き上げも行いました。是非引き続き,海外における邦人の安全に万全を尽くしたいと考えています。
日中韓外相会議関連
【フジテレビ 藤田記者】日中韓外相会議が明日開催されますけれども,大臣は就任されてから初めての韓国訪問ということで今回の日中韓外相会議でどういった成果を収めたいとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】日中韓外相会議,3年ぶりに開催をされます。幅広い分野にわたる3国間の協力関係につきまして総括し,そして現状と今後の取り組みについて議論すると同時に地域,国際情勢につきましても意見交換を行ってきたいと考えています。
3か国における協力案件,環境,防災,テロ対策,更にはFTA等,幅広い分野にわたります。是非,こうした実務的な協力案件,そして地域国際情勢について議論すると同時に是非3ヵ国の協力を軌道に乗せる良い機会にしたいと考えます。
【フジテレビ 藤田記者】韓国滞在中に朴槿恵大統領への表敬という可能性もあるかと思うのですが,もし表敬して面会する機会がありましたら首脳会談に続くメッセージというものを日本側から総理から何かメッセージ,または親書みたいなものを渡す用意はございますでしょうか。
【岸田外務大臣】朴槿恵大統領への表敬,できれば良いと思いますが現地での具体的な日程につきましてはまだ今現在,調整中であります。
【テレビ朝日 藤川記者】関連なんですけれども,大臣の韓国訪問に続いて週末には日韓の賢人会議,そして来週になりましたら与党の訪中団ですとかボアオフォーラム等という形で中国,韓国との要人の往来が続きますけれども,こういった機運をどのように関係改善につなげていきたいとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】日中,日韓こうした二国間関係において,様々な分野,様々なレベルにおいて意思疎通が積み重なること大変意義あることであり,歓迎すべきことだと思っています。こうした意思疎通を積み重ねることによって,高い政治のレベルにおいての意思疎通もしっかり実現し,それぞれの関係をしっかりと軌道に乗せていきたいと思います。
日中・日韓外相会談
【香港フェニックスTV 李記者】昨日,日中安保対話がありました。明日,日中韓外相会議がありますが,日中の間のバイ会談の調整はいかがですか。そして,もしこの会談が実現されれば,どのようなことを議題にされたいですか。
【岸田外務大臣】昨日の日中安保対話は4年ぶりの対話,この安全保障分野における対話でありました。そして明日,日中韓外相会談を行う際に日中外相会談も行う予定にしていますが,今具体的な日程は調整中であります。
そして,日中外相会談が行われたならば,昨年11月のAPECでの首脳会談を両国間においては様々な対話の動きが動き始めています。こうした動きを確実なものにするために,両国関係をより一層進めるためにしっかりと日中外相間でこの意思疎通を図り,意見交換をしていきたいと思っております。
【共同通信 蒔田記者】日中,日韓それぞれのバイで歴史認識や領土のことは触れる可能性はあるのでしょうか。
【岸田外務大臣】それぞれの関心事を述べることにはなるかと思いますが,今の段階で何を取り上げるか述べるか,これを予断することは控えたいと思います。
アジアインフラ投資銀行(AIIB)
【NHK 栗原記者】中国が提唱しているアジアインフラ投資銀行についてなのですけれども,日本やアメリカが参加について慎重な姿勢を示す中でイギリスをはじめ,フランス,ドイツ,イタリア等,欧州の各国が参加を相次いで表明しております。これについての評価と,日本の今後の対応についてお伺いできますでしょうか。
【岸田外務大臣】AIIBにつきましては,従来から日本として考えなければならない諸点について中国側に申し入れを行っています。現状においては慎重な対応を考えております。
ガバナンスの確立をはじめ,我々としての考え方を引き続き伝えていきたいと思っていますが,第3国の動きについて私の立場から何か申し上げるのは控えたいと思います。