記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年3月18日(火曜日)9時09分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言-クリミアにおける住民投票の結果を受けたロシアに対する措置について
【岸田外務大臣】ウクライナ情勢につきまして,大臣談話を発表いたします。
ウクライナ・クリミア自治共和国における住民投票は,ウクライナ憲法に違反し,法的効力はなく,我が国はその結果を承認いたしません。
ロシアがクリミア自治共和国の独立を承認したことは,ウクライナの統一性,主権及び領土の一体性を侵害するものであり,遺憾です。我が国は,力を背景とした現状変更の試みを決して看過できません。
そして,このような動きを受け,我が国としては,ロシアとの間で一つは査証緩和に関する協議を停止し,また,新投資協定,宇宙協定,危険な軍事活動の防止に関する協定,この3件の新たな国際約束の締結交渉開始を凍結することとしました。
我が国として,ロシアが,国際法を完全に遵守し,ウクライナの統一性,主権及び領土の一体性を尊重して,クリミアの併合に踏み出さないことを求めます。また,ウクライナ東部において緊張が高まっていることについて深刻な懸念と憂慮を表明いたします。
ウクライナ情勢
【フジテレビ 山崎記者】この制裁に関しては,日露関係がかなり順調に,良好に推移してきた中での思わぬ出来事だと思うのですけれども,日露関係に及ぼす影響についてはどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】我が国としましては,ウクライナの現状,そして,G7関係諸国の対応,こういったものを勘案して我が国の対応を決定しています。 こうしたG7をはじめとする関係国との結束は大切にしたいとは思いますが,昨年来,安倍政権としましても露との関係を構築してきました。こうした日露関係に基づいて露に適切に対応していきたいと考えています。
【フジテレビ 山崎記者】日露関係には,影響はないというようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】引き続き,今申し上げた方針で取り組んでいきたいと考えています。ウクライナの情勢についても,また引き続きしっかり注視をしていきたいと考えています。
日朝赤十字協議
【フジテレビ 山崎記者】日朝関係ですけれども,明日からまた赤十字の協議が中国の瀋陽で行われますけれども,横田さん夫妻とキム・ウンギョンさんの面会ですとか,かなり対話への機運が盛り上がっているかとは思うのですけれども,大臣ご自身としての日朝協議に対する期待をお聞かせください。
【岸田外務大臣】まず,19日,20日と日朝赤十字会談が予定されています。政府からも関係者が同行したいと思っておりますが,その際に非公式な政府間協議が行われるかどうか,これはまだ決定はしておりません。ですから,今後の具体的な協議等については何も決まっていない状況ですが,我が国の北朝鮮問題に対する方針は従来通りであり変わりません。対話と圧力の下に日朝平壌宣言に基づいて拉致,核,ミサイル,この諸懸案を包括的に解決するべく,北朝鮮に真摯な態度を求めていく方針は全く変わりませんので,是非,北朝鮮側に対してはしっかりと働きかけをし,そして,真摯な態度を求めていきたいと考えています。
【フジテレビ 山崎記者】大臣ご自身は局長級の公式な協議が,できるだけ早く再開された方がいいというようにお考えですか。
【岸田外務大臣】こうした政府間協議,前回の日朝赤十字会談で1年4ヶ月ぶりに非公式な政府間協議が行われたわけですが,こうした北朝鮮に関わる諸懸案について,是非解決に向けて北朝鮮に真摯な態度を求めていく立場からしますと,様々な機会をとらえて働きかけはしていきたいと考えています。
【フジテレビ 山崎記者】来週,ハーグで核サミットが行われますけれども,これで米国や韓国との首脳会談というのが取りざたされていますけれども,これに対する大臣のお考えを。
【岸田外務大臣】我々は従来から対話のドアはオープンであると言い続けてきました。様々な機会をとらえて対話が行われることは,当然,我々としては望んでいるところではあります。ただ,核セキュリティ・サミットについては,公式には我が国からの出席者,まだ正式には確定をしていない状況でありますし,まだ,対話につきましては様々な調整中であると承知をしております。
ウクライナ情勢
【産経新聞 水内記者】対露制裁の方ですけれども,米とEUは資産凍結や渡航禁止など強い包括的なものに発動したと思うのですけれども,それと日本と今回,こう差を設けたところはどういうところに理由があるのでしょうか。
【岸田外務大臣】G7各国とは3月12日の共同声明をはじめ,たえず意思疎通を図り連携をしてきております。その中で我が国として,今日までの日露関係に基づいて適切に対応していきたいと考えています。今後につきましても,情勢をしっかり注視した上で適切な対応が求められることになると考えています。
【産経新聞 水内記者】事態が少し広がったら,また別のものがあるとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】事態はまだ流動的だと受け止めています。ウクライナの情勢,そして,各国の動向,こういったものについては引き続き注視をしていかなければならないと存じます。その上で我が国としても,引き続き適切な対応を考えていくことになると思います。
【北海道新聞 橋本記者】今夜,プーチン大統領の演説が予定されていますけれども,その内容次第では,さらなる制裁ということも視野に入るのでしょうか。
【岸田外務大臣】演説,日本時間で夜8時以降だというように聞いてはいます。どんな演説になるのか,その内容も注視しなければならないと思っています。
北朝鮮問題
【日本テレビ 中村記者】先ほど,古屋拉致担当大臣と総理と面会されていましたけれど,これは横田さんの・・・。
【岸田外務大臣】先日の横田ご夫妻の面会の話等,情報交換し意見交換をしたということです。
【日本テレビ 中村記者】総理から,何か指示はありましたでしょうか。
【岸田外務大臣】具体的なことは控えますが,基本的に今申し上げたような意見交換,情報交換が中心でありました。
ウクライナ情勢
【朝日新聞 菊地記者】予定されております,日露投資フォーラムですとか,4月予定されていますG8の外相会合への出席等についても,制裁を発動したということでこちらも検討対象に,出席するかどうか含めて,取り止めもあるということでしょうか。
【岸田外務大臣】G8の外相会合については,今G7の共同声明にもありますように準備会合等を見合わせている状況です。この先 どうなるのか,今の段階では予断はできないと思っております。
投資フォーラム自体は,民間主体のフォーラムですので,民間中心でのフォーラムの主催ということになると聞いております。今のところ開催そのものについては変更がないと承知をしております。
【朝日新聞 菊地記者】政府関係者の出席については取りやめは。
【岸田外務大臣】出席者等については,まだ調整中だと聞いております。
日朝赤十字協議
【NHK 渡辺記者】中国の瀋陽での日朝赤十字協議にあわせて,また課長級をやるということですけれども。
【岸田外務大臣】それについては先ほど申しましたように,まだ決まっていないということです。その非公式協議自体がまだ決まっていないからして,その先については,まだ現状決まっていないということです。