記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年9月10日(火曜日)14時50分 於:大臣接見室前)

冒頭発言-ファム・ビン・ミン・ベトナム社会主義共和国外務大臣の来日について

【岸田外務大臣】9月12日から14日まで,ベトナムのファム・ビン・ミン外務大臣を外務省賓客としてお迎えいたします。
 滞在中,私とミン大臣が共同議長を務める「日ベトナム協力委員会」の第5回会合を開催いたします。また,ミン外相との間でワーキングディナーを行う予定にしております。
 本年は,日ベトナム外交関係樹立40周年です。今回の訪日を通じてベトナムとの幅広い協力関係を一層深める考えでおります。

日中関係

【NHK 坂本記者】沖縄の尖閣諸島が国有化されてから明日で1年になります。その前に無人機が尖閣の北100キロ沖を通過したり,本日は領海の中に7隻中国の公船が入っているなど,中国からの様々な挑発行為ともとれるような行為が続いているのですが,それについての認識と最近の動きについて外務省はどのように対処していらっしゃるか教えてください。

【岸田外務大臣】まず,無人機の飛行については,防衛省と情報を共有し,引き続き注視をしております。また,中国公船の領海侵犯につきましても,状況を今,把握しながら注視しているところです。そして,9月11日を迎えるわけですが,基本的な認識としまして,日本と中国,この二国間関係については,我が国にとりまして最も重要な二国間関係の一つであると考えております。
 そして,世界第2位と世界第3位の経済大国の関係は,地域,あるいは国際社会の平和と繁栄にも大きく関わる問題でありますし,この二つの国の関係が安定しているということは,両国国民のみならず,地域や国際社会にとっての利益であると考えております。現在,日本と中国との関係は,大変難しい局面にあるわけですが,個別の問題があったとしても,この両国間の関係全体に影響を及ぼさないように努める,こうした戦略的互恵関係の基本的な姿勢に基づいて,しっかりと両国関係をコントロールしていかなければいけない,このように考えています。
 そして,この二国間の関係において,我が国は対話をすることは大変重要だと思っておりますし,対話のドアは絶えずオープンしております。高いレベルでの政治的な対話も含めて,様々なレベルでの対話について,我々のドアは常にオープンであるということ,しっかりとこれも訴えていきたいと考えております。
 9月11日を前にして,二国間関係について基本的な考え方は以上です。

【NHK 坂本記者】日中の間では,首脳会談,外相会談ともに行われない状態が続いておりますが,対話のドアは常にオープンだという話しがありましたけれども,それについての認識はいかがでしょうか。

【岸田外務大臣】対話については,事務レベルをはじめ,様々なレベルで対話は現在までも行われております。また,環境をはじめ個別のテーマにおいては,様々な対話も行われております。ぜひ,引き続き,こうした対話は積み重ねていきたいと存じます。そして,その上で,やはり高い政治レベルでの対話も実現していきたいと思っています。
 こうした,対話,意思疎通の重要性はしっかりと訴えていきたいと考えています。

シリア情勢

【NHK 坂本記者】シリアについては内戦状態が長引いていまして,米国の軍事介入があるのかないのかが,注目されています。その中でロシアからも新たな提案がなされたわけですけれども,そのあたりについて,どのように認識していらっしゃるか,日本政府として,どのように対応していくべきか,どのようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】今ありましたように,各国がそれぞれ化学兵器が二度と使われてはならないという思いで様々な努力をしておられます。こうした努力は支持したいと思います。
そういった意味から,今あった,ロシアの提案については,まだ詳細を確認をしなければいけない点はたくさんありますが,基本的には,これは前向きな動きとしてとらえたいと思っています。是非,この提案の内容ですとか,あるいはシリア側の反応ですとか,こういったものに注視しながら関係各国としっかりと連携していきたいと考えております。
 是非,今後とも,暴力が停止される,そして対話が行われる,更には人道的状況が改善される,こういった方向に向けて,我が国もしっかりと努力をしていきたいと考えています。

五輪の東京開催決定

【共同通信 武井記者】2020年五輪の東京開催が決まりましたが,これについて外務省として今後どのように取り組んでいくのか,お聞かせください。

【岸田外務大臣】まず,2020年東京オリンピック・パラリンピック開催が決定したこと,大変喜ばしく思っています。今回の決定につきましては,日本国内関係者,それぞれの立場で大変な努力を積み重ねてこられました。これはオールジャパンで招致に取り組んだ結果だと思っております。多くの関係者の方々の努力に心から敬意を表したいと存じます。そして,これから7年後にオリンピック・パラリンピックが東京で開催されるわけですが,外務省としましても関係各省としっかり連携しながら協力をしていきたいと考えております。
 具体的には,7年間それぞれの場面で様々な努力が必要となってくると思います。連携を深めながら外務省としてもしっかり責任を果たしていきたいと考えております。
 今の段階では,その程度のことしか申し上げられないと思います。

日中関係

【共同通信 小野記者】尖閣諸島に戻るのですが,現状の認識として大臣は,尖閣の日本の実効支配は揺らいでいない,船が頻繁に入って来ている状況ですけれども,そういう揺らいでいないという認識はありますでしょうか。

【岸田外務大臣】我が国は,この問題に対しては,我が国の基本的な立場をしっかりと訴えながら,毅然,かつ冷静に対応しております。我が国の立場,方針は変わっていないと考えています。

秘密保全法

【フリーランス 上出氏】秘密保全法について,概要が先日発表されまして,これは報道の自由にも関わることで,たいへん重要なのですけれども,なかなか詳しいことが分からない文面とかも含めて,はっきりと報道の自由について担保するというような規定がないのですね。大臣はどのくらいこの点について知っておられて,今後の流れ,国民の心配,報道陣の心配なども含めて,どういうように展開してくといいとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】報道の自由が重要だということについては,申し上げるまでもないと存じます。この法律につきましては,政府としてしっかりと国民の理解を得るべく説明責任を果たしていかなければならないと思っています。今後の議論に私(大臣)も注視しながら,しっかり内閣の一員として責任を果たしていきたいと思っています。

日露関係

【北海道新聞 栗田記者】先般,ロシアで首脳会談がありましたが,それの評価と初の日露2+2に向けて,どういうように進めていきたいか大臣のお考えをお聞かせください。

【岸田外務大臣】日露関係については,首脳会談,今年に入って複数回開催をされるなど,トップレベルの意思疎通は進んでいると感じています。そして,2+2についても確認をされたわけです。具体的な課題についてもしっかりと成果が上げられるように外務大臣の立場からも努力していきたい,このように思っております。(了)
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