記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年3月26日(火曜日)10時07分 於:本省会見室)

冒頭発言-「2012年版政府開発援助(ODA)白書」の公表について

【岸田外務大臣】本日の閣議において、「2012年版政府開発援助白書」の公表について報告をいたしました。
 本年の白書では、特集として、自由で豊かで安定した国際社会を実現するためのODA、日本への信頼を強化するODAを取り上げたほか、日本経済に貢献するODAにも焦点を当てました。また、日本の防災協力も取り上げました。
 ODA白書を通じ、国民の皆様がODAへの関心と理解を深めて下さることを期待いたします。

米軍再編問題

【朝日新聞 二階堂記者】嘉手納基地以南の返還計画について伺います。大臣はこれまでも、早急に進めるというようにおっしゃってますが、いつまでに決定したいというお考えでしょうか。辺野古沿岸部の埋立申請が出される中で、沖縄県知事に今の状態で理解を求めても難しいのではないかと思いますが、その辺のご見解をお願いします。

【岸田大臣】2月に行われました日米首脳会談においては、日米の首脳間において、普天間基地の移設と嘉手納以南の土地の返還計画を、ともに早期に進めるということで合意をしています。普天間基地の移設に関しては、埋立申請が行われるという作業が進んでいるわけですので、日米首脳会談で合意された嘉手納以南の土地の返還計画についても、早急に進めなければいけないと思っています。
 そして、今、現に作業を進めさせている、急がせているといった段階にあります。首脳間で合意された二つの課題、ともに進めていかなければいけないわけですので、早急に作業を進め、できるだけ早い時期に、スケジュールも含めた計画案を示すように努力をしなければいけないと存じます。具体的な日時については決めているものではありませんが、そうした全体の中でこの返還計画についても急がなければならないというように認識しております。

テレビ番組での発言

【香港フェニックステレビ リー記者】24日に大臣が、中国が地域の脅威になっていると発言されたようですけれども、改めてお伺いしたいのですが、大臣は、中国は東アジア地域の脅威だと認識されているのでしょうか。もしそのように認識されているのであれば、その理由も教えていただけますか。

【岸田大臣】先日、日曜日のNHKの番組において、私(大臣)が発言したことについての御質問かと思いますが、中国の不透明なまま進められる国防力の増強、あるいは周辺海域での海洋活動の活発化、我が国を含む地域の共通の懸念事項であり、我が国として中国側の動向について、引き続き注視をしています。
 私(大臣)の発言は、最近の中国による尖閣諸島周辺海域への公船の頻繁な派遣などを踏まえ、中国の不透明な軍事費の拡大、あるいは海洋活動の活発化に対して、我が国を含む関係各国の懸念が一層高まっていることを指摘したものであります。これまでの日本政府の認識を変更するものではありません。私(大臣)のこの発言は、「脅威」ではなく「懸念」ということを述べようとしたものであるということを申し上げたいと思っています。

広島高裁の選挙無効判決

【テレビ朝日 山下記者】昨日の広島高裁の選挙無効判決について、判決の内容を見られたうえでの受け止めと感想をお願いいたします。

【岸田大臣】昨日の広島高裁の判決については、まず裁判の判決は重く受け止めなければならないと思います。そして、判決内容を照査し、判決の今後の行方、これをしっかり見守ったうえで、適切に対応していかなければならないと考えております。
 いずれにせよ、格差の問題は国会全体として取り組んでいかなければいけない課題だと認識をしております。

【中国新聞 城戸記者】関連して質問させてもらいたいのですけれども、先ほど国会全体の問題として受け止めるとおっしゃいましたけれども、今回の格差がなぜ放置されてきたのだろうか。それと今後の今の衆院選挙制度改革の協議について与野党、どういうように協議を進めればよいのか、そこら辺の大臣の御見解を教えていただきたいと思います。

【岸田大臣】まず、格差の問題については、前回の衆議院選挙を迎えるかなり以前から問題点を指摘され議論は行われてきました。しかし、残念ながら結論を国会で出すことはできなかった。そして、結果として、0増5減案が成立したのは解散の当日ということになってしまいました。こうした問題に対して立法府としてより早く具体的に対応しなければならないという指摘は、これは謙虚にしっかり受け止めなければならないと思います。
 そして、今後については、まずは成立した0増5減案に応じて区画画定の作業等を進め、具体的な対応をしなければならないと思いますし、加えて解散前にこの通常国会において対応するということが、あれは確か三党の中で合意されていたと記憶をします。こうした公党間の約束は大変重たいものがあると思います。是非、この具体的な対応を進め、結果を出さなければならないと思います。内容については、今実際この具体的な案が取り上げられ、議論が進んでいると思いますが、是非、こうした案を中心に結果を出すよう国会全体として真剣に取り組んでいかなければならないと認識しています。

日中韓FTA

【NHK 新井記者】昨日、日EUのEPA交渉の開始で合意しましたが、本日、日中韓のFTAの実務者レベルの交渉が始まるわけですけれども、中国・韓国とは領土問題を抱えて難しい時期ではありますが、どういった姿勢で日本として交渉に臨むか、改めてお考えをお聞かせください。

【岸田大臣】日中間、そして、日韓間、こうした我が国にとって大切な隣国関係ですが、こうした国々との間には確かに難しい課題も存在し、難しい状況も存在するわけですが、是非こうした大切な二国間関係については個々の課題が全体に影響を及ぼさないようにしっかりとマネージしていかなければならないと考えています。そして、こうした国々、日中韓の間での経済連携というのは地域の繁栄に大きく関わる課題だと思っています。是非、こうした経済連携について、しっかり議論を積み重ねていきたいと思っています。

米軍再編問題

【読売新聞 舟槻記者】最初の質問に戻らせていただき恐縮ですけれども、普天間の返還と嘉手納以南の返還の関係ですけれども、昨年の日米安全保障協議委員会では、その二つは切り離すと、パッケージではないということで一応合意されたというように承知しているのですけれども、この二つは相変わらずというか変わらず切り離されているものなのか、それとも仮に切り離されているとしても何らか交渉の中で、例えば普天間の移設が遅れれば嘉手納以南も遅れるということがあり得るのかどうか、大臣の御認識を伺いたいと思います。

【岸田大臣】切り離されているという基本的な方針は全く変わっておりません。ただ、ともに進めなければいけない大切な課題だということは間違いないと思います。
 この米軍再編を進め、そして、沖縄の負担を軽減するためにこの二つを進めていかなければいけない、こうした方針で臨むべきだということを申し上げております。それぞれ大切な課題です。それぞれ全力を挙げて進めるべく努力していきたいと考えております。

クールジャパン

【フリーランス 安積氏】今、習近平氏が外遊されていまして夫人が同行されているということで少し話題になったのは、夫人のバッグが、いつもでしたら要人の持っていらっしゃるものは海外製、フランス製とかそういったものが多いということですが、広東製のバッグをお持ちだということが話題になっているそうです。それで、安倍政権というか自民党政権は公約としてクールジャパンを提唱されているわけですが、外相は外遊等の機会も多くていらっしゃいまして、また外国の要人とも会われることが多いと思いますが、クールジャパンの一環として、例えば国産品のものというか国内ブランドのものをなるべく身に着けるとか、そういたところの御配慮などはされていらっしゃいますでしょうか。

【岸田大臣】確かにそういった配慮というのも大切だと思っています。事実、私(大臣)がつけている時計も国産、日本製でありますし、そういったことも気配りとして大切なことなのではないかと考えております。
 そういったきめ細かな配慮を持ちながら外交を進めていく、こういったことも大切なのではないかと考えます。

テレビ番組での発言

【香港フェニックステレビ リー記者】先ほどの中国の脅威のことですけれども、改めて確認したいのですが、大臣は「脅威」という言葉使いは不適切だということでしょうか。

【岸田大臣】先ほど申し上げたのは、この間の発言について真意を御説明させていただきました。あの発言の真意は先ほど御説明させていただいたとおりでございます。
記者会見へ戻る